絶望の中で
人族の合同軍と魔物王国ディッザール軍の戦いが始まった。両者が入り乱れる攻防戦、1時間も経たないうちに、両軍の戦力の1/3は削られていた。
エルリンも奮闘していた。ロングソードを振り回し、魔物を倒していく。
「うおおおおお!」
振り切ったロングソードの先から血飛沫が飛ぶ。
何も考えず、魔物を見たら切る。体の疲れ等気にしている余裕なんて無い。
敵の進行が途切れた瞬間、エルリンは深呼吸して周りを見渡す。
「つ、次は・・・」
エルリンの目に何かが飛び込んできた。とっさに目線の先に駆け寄る。
「ユーゴー!ユーゴー!」
血まみれで倒れているユーゴーを見つけた。
「ユーゴー、しっかり!」
ユーゴーを抱きかかえて揺さぶるが、すでに息絶えていた。
「そんな・・・」
悲しみに打ちひしがれてへたり込んでいたエルリンに誰かが叫んだ。
「リン姉!危ない!」
リュイがエルリンを庇う。リュイの背後からドラゴネットが襲いかかり、爪でリュイの背中を引き裂いた。続けてブレスの構えに入るドラゴネット。
我に帰ったエルリンはとっさに妖精魔法を唱える。
「氷の妖精よ、力をかして!アイスウォール!」
間一髪で氷の壁がブレスを防ぐ。エルリンは素早い動きでドラゴンの懐に飛び込み、レッサードラゴンの腹をロングソードで切り裂いた。
その後、リュイに必死で駆け寄る。
「リュイ!リュイ!どうして・・・」
「リ・・ン・・姉・・・い・・きて」
リュイは一瞬エルリンに手を伸ばそうとしたが、力尽きて息絶えた。
「うああああああ!」
エルリンはリュイを抱きしめて、咆哮に近い泣き声を上げた。
しばらくエルリンはリュイの亡骸の横でへたり込んでいた。そこから見える光景を見つめていたエルリンはか細い声でつぶやいた。
「何が希望よ・・・希望なんて無い、あるのは・・・絶望と・・死」
「ここは・・・地獄」
目の前には、燃え上がる炎と殺し合い、焦げた匂いと血の匂いが立ち込めている。
「フ、フフ、フフフ・・・フハハ・・・ハハハハハ、ハハハハ、アハハハハハハ!」
エルリンはゆっくりと立ち上がり、ロングソードを引きずりながらゆっくりと歩きだした。
「ーーーいいわ、やってやるわ、魔物共・・・皆殺しだ!死と恐怖を与えてやる!」
そう言うと、魔物の群れに突進していった。




