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発覚

「ケンウッド隊長、ヴァンパイア領内に長居すると危険ですよ」


「確かにな・・・だが、ラファエラは領内にいる」

ケンウッドは少し緊張した様子で言う。


「ヴァンパイアが鉱山を運営してるなんて、信じられませんね」

副長らしき女性が不安を隠しきれない表情で話す。


「アンリよぉ、お前、さっきからうるせぇぞ、元ゼルギアの俺への嫌がらせか?」

ケンウッドがアンリを睨みつける。


「隊長は今やシュトラーダの斥候部隊です。それにラファエラを追うことと、今回の任務は別です。」


「フン!お前らはラファエラのヤバさを分かってねぇ、ゼルギアの政権を一夜でひっくり返した相手だぞ!」

ケンウッドが目を大きく見開いて力説する。


「正直、にわかに信じられませんが、ヴァンパイアがランドール最強と言われてる以上、有り得ない話ではありませんね」

アンリは周囲を警戒しながら、ケンウッドの話に付き合う。


!!


皆が慌てて身を隠す。


「あれは・・・集落、しかも、人間の?鉱山まで・・」

アンリは驚愕する。


「コイツは最悪の展開だな・・・」

ケンウッドはそれ見たことかと言う表情をする。


アンリはケンウッド以外の三人へ静かに手を振り、草むらへ伏せるよう指示した。


「見てください隊長、あいつらは魔物を解体しています、あれは、ひょっとしてオーク!?」


「聞いたことあるぜ、ちょっと前にシュトラーダにいた赤い戦鬼とか言うエルフが、オーガを食ってたってな」


2人の間に沈黙が走る。


「隊長が戦った、そのラファエラって女は、エルフだったんですよね?まさか・・・」

沈黙を破ったのはアンリだった。


「ああ、恐ろしく強かった、あいつが赤い戦鬼だとしたら、ヴァンパイアに協力して、何を企んでやがる」


「この光景を見たら、信じないわけにはいきませんね、一度報告する為に引きましょう」

茂みに身を隠しながら、アンリは進言する。


「お前達は戻れ、俺はラファエラを待つ!」

ケンウッドの表情が狂気に染まる。


「隊長、いけません!少し冷静に・・!!・・・」

アンリは何かを感じ取って、後方に合図を送る。


その直後。


「ぎゃあああ!」


「隊長!見つかった!」

アンリが身をかがめながら撤退を促す。


「何!?」

ケンウッドも身をかがめて振り向く。


「ラッセルがやられました!」


アンリが腰のサーベルを抜く。

ケンウッドもスピアを構える。


「キャハハ!みーっけ!」

何者かが金属鎧の音をさせながら、猛スピードで近づいてくる。


何者かに攻撃を受けたアンリが、とっさにサーベルで受ける。

しかし、グレートメイスがサーベルを叩き折りながら、アンリの右肩を砕くと、そのまま右腕がちぎれて宙を舞う。


「ぐがぁああああ!」

アンリが叫び声を上げてのたうち回る。


ケンウッドは思わず距離を取り、スピアを構える。

「アンリ!」


ケンウッドが見たのは、黒い金属鎧を着た、女のティンテッド、そして体格に似合わないグレートメイスを担いでいる。


「なんだぁ~こんな奴ばっかりかよ、ヴァンパイア軍は・・・」

ケンウッドの頬に汗が流れる。


ティンテッドの少女はケンウッドをじっと見つめる。


その背後から、


「ぎゃあああ!」


「うわぁぁぁ!」


残る二人の断末魔だけが森に響いた。


「そっちはどう?」


そう言いながら姿を現したのは、白い無機質な仮面に、ウォーハンマー・・・・。


「ラファエラ!」

ケンウッドは全身の血が煮え立つような感覚に襲われる。


「あら?あなたどっかで・・・?」

エルリンはケンウッドを見て必死で思い出そうとする。


「なに?知り合いなの?」

アストリッドが無邪気に笑う。


ーーーこんなの二人も、相手出来っかよ!


ケンウッドはそう心中で呟くと、一目散に逃げ出した。

「せめて情報だけでも・・・アンリ、すまねぇ!」


「リン、どうする?」

アストリッドは逃げたケンウッドを見て、エルリンに指示を仰ぐ。


「ああ!」

エルリンは思い出した。

「手強かった、スピア使いのゼルギア兵士!・・・・なんでシュトラーダのレザーアーマーを?」


「リン!」

アストリッドが痺れを切らす。


「あ、ごめんごめん、逃げるなら放っておきましょう、いつかはここもバレるって思ってたし」


「リンがそう言うなら・・・」


「シュトラーダがどう出てくるかなぁ・・・」

エルリンは森の向こうへ消えていくケンウッドの背中を見送りながら、小さく呟いた。


シュトラーダ軍が、どんな連中だったのか。


ーーその事を、彼女はいつしか忘れていた。

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