日常
ヴァンパイア領内の鉱山近くに、人間牧場の為の集落を建設していた。
黒の翼から派遣された職人達と、ファフナロッタが打合せをしている。
「ファフ、お疲れ様!」
様子を見に来たエルリンが、ファフナロッタに声を掛ける。
「あ、リンおかえりなさい・・・ん?」
ファフナロッタはエルリンの足元に目をやる。
「リン、足に何か付いてますよ」
「ハハ、離れないのよ」
エルリンが困った顔で応える。
アストリッドがエルリンの足にしがみついていた。
「リンが遊んでくれないなら、このままずっとくっついてるもん!」
「後で一緒に訓練しよっか、アストリッドがどれだけ強くなったか、見せてほしいな」
エルリンはアストリッドの頭を撫でながら言った。
アストリッドはエルリンの足から離れると、エルリンの手を握って、笑顔を見せた。
「絶対だよ!」
「じゃあ、ちょっとだけエルリンを貸してくれる?」
ファフナロッタは棒のついた手作りの飴を差し出した。
「うわぁ~!飴だぁ!やったぁ!」
アストリッドはエルリンの手をぱっと離すと、嬉しそうに飴を受け取り、そのまま夢中でかじりついた。
「ファフ、ありがとう」
エルリンがファフナロッタに礼を言った。
エルリンがアストリッドを見て朗らかになっていたのを、ファフナロッタが現実に引き戻す。
「集落の進捗は順調です、この分だと1ヶ月後には安定した集落として機能します」
「ワインはいつから入れるの?」
エルリンがファフナロッタに訊ねる。ヴァンパイア城では家畜にする人間をワインと呼んでいる。
「2週間後には」
「わかったわ、黒の翼に随時ワインを入居させましょう」
エルリンには人族をワインと呼ぶことに、もはや抵抗が無いように見える。
「鉱山の準備も進めてますが、こちらはもう少しかかりそうです」
「ありがとう、ファフに任せきりだったわね」
エルリンはファフナロッタの肩に、そっと手を置いた。
「いえ、リンも大変だったでしょう」
「レミーがいたから大丈夫よ、そうそう、飼育するワインの食料も必要ね」
「畑や畜舎も用意しましょう、狩りにいくなら、少し早いですがアストリッドを連れて行ってみては?予定を合わせてもらえるなら、私も同行します」
「それはありがたいわ」
エルリンはファフナロッタに笑顔で言った。
エルリンは急に振り返って、アストリッドに抱きつく。
「さあ、アストリッド、訓練しましょう!」
「えへへ!リンに勝っちゃうかもよ!」




