邪神の加護
「へぇ~!何をするのか知らねぇが、レディのお誘いを待つほど気長じゃないんでね!」
ケンウッドのスピアが怒涛のようにエルリンを襲う。
エルリンはそのスピアをギリギリで見極めながら、
ーーー不死の神イライザ様、我が手に貴方様のご加護を・・・ヴァンペイルウエポン
これはイライザ教の秘術だ。武器に邪神の加護を宿し、人族の魂を傷つける力を与える。
ギフトヴィントミューレがオーラを纏う。
まるで片手剣を持っているかのように、ギフトヴィントミューレが軽くなる。
ケンウッドが警戒する。
ーーーこいつ!神聖魔法だと、聞いてねぇし!
ケンウッドのスピアがさっきまで押していたが、それをさばくエルリンの動きが上回っていく。
ーーーくそ!ここは一旦!
ケンウッドに焦りが見える。
「どうしたの?」
エルリンがほくそ笑みながらケンウッドに語りかける。
「こういうのはどう?」
エルリンはギフトヴィントミューレに念じる。
ーーー斬撃になれ
振り切ったギフトヴィントミューレから風のような斬撃が走る。
ケンウッドは寸前でかわすが、スピアが柄が切れて刃の部分が地面に落ちる。
「チッ!」
ケンウッドは冷や汗をかきながら舌打ちをする。
後方では、キュルスが魔人に連続で魔法を浴びせる。
何とか一匹を倒したが、また二匹残っている。
隊長のアルビルは最後のブラッドサッカーを倒したが、残った兵力の少なさに愕然とする。
ーーーこれではアルバどころではない、まだ伏兵がいた場合、全滅する。ここは一旦引いて、背後にヴァンパイアがいたとわかっただけでも、よしとするか・・・
「ケンウッド!一旦引くぞ!」
「クソッ!しゃあねぇな・・・」
エルリンの耳に通信が入る。
「逃げますわよ!追わなくてよろしいんですの!?」
「こちらキュルス、どうしますか?」
「ーーーこちらも、かなり戦力を失ったわ、レミーごめんなさい、貴方の部下を・・・」
「フン!・・・ワイン5本ですわ」
「私達も退却しましょう」
エルリンはレミーの一言に緊張が緩んで、いつもの声になっていた。
「では、このキュルスがラファエラさんに何かご馳走しますよ、力及ばずでしたので」
キュルスが少し落ち込んだ様子で言った。
「いえ、あなたはよくやってくれたわ、ありがとう」
エルリンは精一杯の思いを込めて、キュルスに感謝した。




