闇夜の狩人
夜も更けた頃、ゼルギアの帝都、ゼルンの郊外に兵士達が集まっていた。
「これよりアルバに向かい、黒の翼のボス、ダネルを確保する」
「ダネルはラファエラと名乗る女を操り、マグリッドを崩壊寸前に追いやった疑いがある」
指揮官らしき男が兵士達に告げる。
「アルビル隊長〜」
一人の兵士が手を挙げる。
「何だ?ケンウッド」
「そのラファエラって女が、マグリッドの兵士100人くらいを一人で殺したって、本当っすか?」
「本当だ、それ以外にも協力者がいたようだが、今、最も有力なのは、ホールでのパーティーに出演していた踊り子の3人が主犯とされている」
アルビルが淡々と答える。
「ヒュー!めっちゃ美人だっんでしょ?一戦交えるのが楽しみっすね!」
ケンウッドが嬉しそうにはしゃぐ。
「とにかく、ウリヤス様の威信を取り戻すと共に、ゼルギアをケンカを売ったツケを払わせねばならん、ただ、ラファエラと名乗る人物しかり、背後に何がいるかも調べねばならん」
隊長は神妙な面持ちで語った。
その頃、小高い丘から、その一行を望遠鏡で監視している男がいた。
「こちらキュルス、情報どおり、ゼルン部隊が集結中」
「こちらラファエラ、了解・・・ありがとうキュルス、本来はラグの側にいるべきなのに」
エルリンは森の中にいた、右後ろにはレミー、その後ろにはブラッドサッカー部隊が待機していた。
「いつまで無駄口を叩いてますの?瞬殺して帰りますわよ!」
レミーがエルリンの通信のまどろっこしさに文句を言った。
「私こそ一介のプロトヴァンパイアですが、お力になれるなら幸いです。」
エルリンの状況を知らないキュルスがマイペースで会話する。
「・・・ありがとう、それと戦力の詳細はわかる?」
エルリンがレミーの文句を普通にスルーする。
「数は30、装備を見る限り、精鋭部隊のようですね。あと気になるのが、フードを被っている三人です、体格が異様に大きく、人族とは考えにくいですね」
キュルスが少し緊張した様子で伝えてくる。
ーー考えられるのは魔人か。
ゼルギアならプラムの時のように、召喚して引き連れているかもしれない……。
「レミー、ごめんなさい、今回はブラッドサッカーだけ借りていくわ、あなたは待機していて欲しいの」
エルリンはレミーに申し訳なさそうに言った。
「はあ!?せっかく来てあげましたのに、待機ですってぇ!ゴリラの分際でおちょくってますの!?」
レミーのコメカミの血管がピクピクする。
「ち、違うのよ、もし敵が思ったより強敵だったときに助けに来て欲しいの、真打は最後に来るものでしょう」
「フン!死んだら地獄まで追いかけて、もう一度殺しますわよ!」
レミーは鼻を鳴らすと、さっきまでの怒りが嘘のように腕を組んだ。
「あの・・・聞こえてます?」
キュルスが放置されている事に気付いた。




