再会と別れ
ラミーナを抱っこするエルリンとフレッドの座るテーブルには、封の開けられた召集令状が置かれていた。
「運命なのかな・・・」
エルリンが物憂げに呟く。
「エルリン、3人で逃げよう!」
フレッドが声を荒げて立ち上がる。
「だめだよ、捕まったら全員重罪だよ、フレッドとラミーナにそんな罪は背負わせられない」
「エルリン・・・僕のそばにいてくれ」
フレッドは涙を流した。
エルリンも自然と涙が溢れる。
「私も・・・二人といたい」
エルリンはラミーナを抱きしめる。
「フレッド、お願いがあるの・・・ラミーナを連れて、先にブルディナ地方へ行って」
エルリンはラミーナの頬をなでる。
「この任務が終わったら、正式に軍を辞めて追いかけるから」
「なんで・・・君は・・・」
「大丈夫、ランディルの希望は諦める、生き残る事に専念して、必ず2人の元に戻るわ」
作戦本部に出向いたエルリンは驚愕した。
東にあるドレイク率いる魔物の王国、ディッザールに侵攻するという。
シュトラーダ王国と隣国リミドア共和国の合同作戦だと言う。
長年戦争を繰り返してきた一番の仇敵である魔物軍と決着をつける覚悟と言える。
しかし、長期戦となるのは間違いなく、しばらく帰って来れないどころか、死ぬまで戦わなければならない可能性がある。
エルリンは逃げたい気持ちで一杯になったが、その気持ちをグッと内にしまった。
愛する者のため、ここで逃げるわけには行かない。
家に帰るとフレッドが荷造りを終えて、ラミーナをあやしていた。
「ただいま」
明らかに落ち込んでる様子であった。
「おかえり・・・どうだった?」
エルリンを気遣って、優しくたずねた。
「・・・少し時間かかるかも、でも必ず生きて2人に会いに行く!」
フレッドとラミーナを抱きしめる
次の日、フレッドとラミーナが馬車に乗ってこの町を出ていった。
わずかな月日だったが一緒暮らした小さな借家、エルリンはこんなに広い家だったのかと感じていた。
敵陣まで行軍する為、傭兵が広場に集まっていた。
エルリンに声をかける人物がいた。
「エルリン隊長!」
リュイとユーゴーである。
「リュイ!ユーゴー!久しぶり、元気そうね!」
「また隊長と戦えるなんて、最高です!」
ムードメーカーのユーゴーが大声で言った。
「生きて帰りましょう!絶対に!」
同性として見習うべき包容力の持ち主リュイ、少し緊張しているように見える。
これまでエルリンが経験したことのない地獄が始まろうとしている。




