共闘
作戦を終えた3人は、あらかじめ指定していた集合場所に集まっていた。
街の目立たない場所に位置にある、ダネルが用意していた小さな隠れ家である。
貴族の払下げ物件を、伝を使って購入したらしい。
「作戦会議を始めましょう」
エルリンがテーブルに資料を広げる。
お茶の用意を終えたファフナロッタが椅子に座る。
「労いのワインはありませんの?」
レミーが指先でテーブルをトントンと叩きながら言った。
「ああ〜、私が後で買ってくるわ」
エルリンがレミーをなだめる。
「何なら私が」
ファフナロッタが2人に顔色を伺う。
「外は警備兵だらけで、ここにもやってくるかも知れないわ、一応顔を隠していた私が行ったほうがいいと思うし、食料も必要だから」
エルリンがファフナロッタに笑顔を見せる。
「私達の食料がありませんわ!」
レミーのトントンが更に激しくなる。
「あ〜、私のならちょっとくらい吸ってもらっていいけど・・・?足りない?」
エルリンが困った顔で答える。
「後でそこらを歩いてる兵士でも襲いましょう」
ファフナロッタがレミーをなだめる。
「とにかく、2人のおかげでこの街の全貌が掴める資料が手に入ったわ」
エルリンが仕切り直すと、話を続ける。
「作戦は次の段階に入るわけだけど、内容の確認をしておきましょう」
「今、街はかなり混乱してるはずです。」
「あなたの下手くそな演説が効いたようですわね」
「効果的な演説だったと思いますよ」
「自然植物公園の隅で分かりにくいとはいえ、ここも時間の問題かと思うので、早急に動きたい」
「私の働きを無駄にしたら、ワインだけでは済ませませんわよ」
「再度、私が引き付けつつ、2人が作戦の実行役で」
「ラファエラがゴリラネズミ役で、私共が華麗な暗殺者役ですわね」
エルリンのコメカミがピクッと動く。
「ん、ん〜、で、まずはこれ、遅効性の麻痺毒を、図面で確認した、ここと、ここ、そしてここに流し込む」
エルリンは気を取り直して続ける。
「ちょうど川から引いた水を、貯水してる場所ですね」
ファフナロッタが立ち上がって図面を確認する。
「私達が街から脱出する時、追撃を遅らせる事と、この街のウリヤス隊による防衛機能の弱体化が狙いよ、2人にはこの任務をお願いしたいの、隠密にも長けてるし、魔眼に魔法も使える」
「まあ、暴れ回るしか能のないゴリネズミよりかは適任ですわね、フフ」
ブチッ!
「あん!?」
エルリンがレミーを睨見つけた。
「なんですの!?」
レミーが睨み返す。
「あ、そう、例の皇帝の両親を暗殺するのはどうすんでしたっけ?」
ファフナロッタが・・・。
「・・・」
「・・・」
「フン!」
エルリンとレミーがハモる。
「上皇と皇太后は・・・私が殺す。」
「・・・暴れ回りながら、厳重な警備を突破できますの?」
レミーが真顔で尋ねた。
「図面のこの道・・・」
エルリンは図面を指差す。
「これは・・・抜け穴?」
ファフナロッタが息を飲む。
「かなり厳しい状況になりますわよ」
レミーが横目でエルリンを見る。
「ラファエラとして、この街の貴族にケンカを売った以上、ラファエラがやる方が効果的だと思う」
「・・・ファフナロッタ、麻痺毒作戦はあなたに任せますわ」
レミーがファフナロッタを見据える。
「承りました」
ファフナロッタは胸に右手を当て、恭しく深々と頭を垂れた。
「どういうこと?」
エルリンはレミーが何を言っているの分からなかった。
「あなた、脳ミソもゴリネズミですの?私が撹乱に協力すると言ってるんですわ」
エルリンは思わず言葉を失った。
「……ありがとう」
少しだけ目を逸らして礼を言う。
「失敗されては困るから、仕方なくですわ」
レミーは腕を組み、胸を張りながら言った。
「・・・とにかく、作戦は明日、日が暮れたら開始よ」
隠れ家の窓の隙間から日が差し込んでいた。
「ワイン、買ってくるわ」
エルリンは警戒しながら玄関の扉を開ける。
「一番高いのですわよ。」
レミーがそう言うと、エルリンは扉を閉めながら。
「ツンデレ吸血鬼!」
「な、なんですって!」
バタン・・・
扉がしまった後、ファフナロッタは大きなため息をついた。




