ファフナロッタ
エルリンとファフナロッタはゼルギアの国境を越えようとしていた。
「敵影なし、進みましょう」
ファフナロッタが周囲を偵察し、エルリンに報告をする。
「ありがとうファフナロッタ、行きましょう」
ファフナロッタはプロトヴァンパイアと呼ばれるヴァンパイア族で、ブラッドナイトになれなかった不良品と言われていて、ブラッドナイトの能力を一部しか引き出せない。
しかし、ブラッドナイトの弱点も一部しか引き継がないという利点もある。
ファフナロッタはヴァンパイアの最大の弱点とも言える太陽光の弱点が大幅に軽減されている。
多少動きが鈍くなるだけで、日中も活動ができる。
シュナイゼルがエルリンに同行させたのも、これが理由だと考えられる。
「ラファエラ様、2時の方角、ゼルギアの都市アルバです。情報収集しますか?」
ファフナロッタが淡々と報告する。
「ファフナロッタ、その様付けやめてくれないかなぁ、ここは城じゃないし、フランクに行きましょう」
エルリンが呆れた口調で告げる。
「は、はあ、ではラファエラ、どうします?」
ファフナロッタは渋々言い直したが、エルリンはまだ納得していなかった。
「ラファエラも良くないなぁ、これから潜入調査なんだし、エルリン・・・いや、長いからリンにしましょう、ファリルもファでいいわ、リン・ファにしましょう!」
エルリンは一人で勝手に盛り上がっていた。
「では改めて、リン、どうしますか?」
ファフナロッタは表情一つ変えずに言った。
「はぁ〜い、行きましょう」
エルリンはファフナロッタのそっけない態度に、少し寂しさを感じた。
アルバの検問所を偽装した通行証で切り抜けた後、スカウトギルドを訪ねることになった。
「存外賑わってるのね、中流の民も結構いるんだね」
エルリンは出店通りに胸を躍らせていた。
「任務中ですよリン、それにいきなりスカウトギルドは危険では?」
スカウトギルドは斥候スキルを持つ冒険者や兵士が、情報交換を行う組織であるがゆえ、こちらの素性もバレやすい。
「リン、聞いていますか?優秀なスカウトなら私がヴァンパイアだと見破る可能性もあります」
「ファフナロッタは前で待ってて、中には私一人で行くわ」
リンは自信ありげに言った。
「私達はどこからどう見ても冒険者だから何とかなるよ」
「リン、あなたはエルフという自覚がないのですか?・・・目立つんですよ、その見た目は・・」
ファフナロッタが冷静に注意した。
エルリンはため息をつくと渋々口を開いた。
「怪しまれたら逃げましょう、それ以外絶対に戦わない方向で」
「・・・それは、作戦・・・ですか?」
ファフナロッタは呆気にとられて、言葉をつまらせた。




