毒蝶のラファエラ
エルリンはシュナイゼルに連れられて、通称「ヴァンパイア城」に着いた。
霧の中にたたずむ比較的小さな古城である。
中に入ると清掃が行き届いているか、綺麗に状態に保たれている。
ブラッドサッカーと呼ばれる赤い肌のコウモリのような化け物が、城のあちこちに見られる。
大きな部屋に入ると、シュナイゼルは豪華な椅子に腰掛けて言った。
「エルリン、ここが君の家だど思って好きにするがいい」
「ラグ、レミー、エルリンを部屋に案内してやってくれ」
シュナイゼルが2人のブラッドナイトに命令する。
エルリンが部屋に案内される道中、女ブラッドナイトのレミーが口を開いた。
「シュナイゼル様の珍獣好きにも困ったものですわ」
「めったなことを言うもんじゃない」
ラグがレミーに口を慎むよう注意する。
「6元始の1人、奇知のシュナイゼル・・・その名の通りね」
「レミーやめろ」
ラグが少し呆れた表情を浮かべる。
エルリンを部屋に案内した途端、レミーがエルリンに掴みかかり、壁に押し当てる。
「下等なエルフが何を考えてるか知らんが、妙な真似をしたらその首をへし折ってやりますわ!」
「わかった、肝に銘じておく」
「フン!」
レミーはエルリンを睨みつけると、その場を立ち去った。
大食堂でシュナイゼルはワインを飲んでいると、エルリンが入ってくる。
「おお〜!そのドレス、ピッタリだなよく似合っている」
シュナイゼルは嬉しそうに言った。
「ドレスなんて初めて着たわ」
エルリンはここに来てからずっと、感情を表に出さない人形のように振る舞っていた。
シュナイゼルは嬉しそうに言った。
「ドレスなんて初めて着たわ」
エルリンはここに来てからずっと、感情を表に出さない人形のように振る舞っていた。
ブラッドナイトになれなかった下位のプロトアヴァンパイアが、メイド服を着てエルリンに料理を運んでくる。
シュナイゼルがワインを飲みながらエルリンに話しかける。
「誰も味見出来んから、口に合うかは分からんが、食べてくれ」
「いただくわ、腹ペコなのよ・・・ヴァンパイアってワインは飲めるのね」
「酔えないが、飲み物はある程度な」
エルリンは料理をくちに運ぶ。
「うん、意外といけるわ」
「それで、私をヴァンパイアにもせず、何を企んでいるので?」
「お前はそのままにしておくほうが面白いと判断したまでだ」
エルリンは食事の手を止めた。
「・・・・先に言っておくわ、私はもう人族の味方でもなんでもない、何とでも戦ってやる!」
シュナイゼルはワインをグラスに注ぎながら言った。
「一つ頼みがある、君がここにエルフのままでいるのは、仲間からすれば面白くないようだ、そこで、何らかの結果を出してほしい、戦いでも何でもいい・・・」
「わかったわ」
エルリンはスープを食べながら思い出していた。
ロゼッタのスープ・・・
食事が終わった後、シュナイゼルはエルリンを倉庫に連れて行った。
「ここは・・・?」
様々な道具や書物がところ狭しと置かれていた。かなり古いものも多く保存されている。その光景にエルリンは驚きを隠せなかった。
「エルリン、この中から好きな道具を使うといい、私のオススメは、この白い皮の鎧だ、魔力が込められていて、防御力と運動性を上昇させる」
シュナイゼルは綺麗な皮の鎧をエルリンに勧めた。
「ん?どうした?」
シュナイゼルは一点を見つめるエルリンに気がついた。
「これ・・・」
エルリンはある武器を指差した。
「さすがだな、やはりウォーハンマーがお気に入りか?エルフが持つような武器ではないのだが、いいだろう、これは魔法文明時代に作られたものらしく、名前はギフトヴィントミューレ、ヘッドの部分が毒蝶に似ていることから付けられたらしい、通常のウォーハンマーより軽く、魔力によって打撃意外に斬撃も出せる」
エルリンはギフトヴィントミューレを手に取った。
「気に入ったようだな」
シュナイゼルはエルリンを見つめてほくそ笑んだ。
ひと通り装備を選び終えたエルリンは、新しいウォーハンマーの素振りを始めた。その様子を見つめながらシュナイゼルが言った。
「お前がここで活動するなら、私が名前を与える」
「お好きにどうぞ、もうエルリン・ファリルは疲れてきたし・・・」
エルリンは素振りを続ける。
「そうだな・・・お前はラファエラだ、毒蝶のラファエラ」
エルリンはギフトヴィントミューレを撫でながら言った。
「大切に使わせていただきます。私は、毒蝶のラファエラ」
ーーーロゼッタ・・・さようなら




