幸せな日常
エルリンがメニスに来て2週間が過ぎた。
「おはよう、ロゼッタ」
エルリンは畜舎の掃除をしながら、来たばかりのロゼッタに挨拶をした。
「エルリンおはよう、ずいぶんと早いのね」
「居候の身だからね、これくらい当然よ」
「フフ」
「どうしたの?」
「エルリン、明るくなった、来たときはずっと眉間にシワが寄ってたのに」
「なに?私の事イジってる?」
「さあね」
ロゼッタはクスクスと笑う。
エルリンはロゼッタの笑顔に喜びを感じるようになっていた。
「そうだ、エルリン、今日は村の広場に買い物に行きましょう」
「行っても大丈夫かな?」
「もちろんよ」
小高い丘にあるロゼッタの牧場を、降りてすぐの村の中心に広場があり、朝はそこで市が開かれていた。
「ずいぶん賑わってるね、みんな村の人なの?」
思った以上の人混みにエルリンは驚きを隠せなかった。
「このあたりで市が開かれるのはここだけだから、あちこちの集落から人が集まるの」
ロゼッタも市での買い物に興奮している様子である。
一般人以外にも冒険者や兵士も集まっている。
「そういえば国境の警備隊の駐屯地もあるのよね?」
「たった数人なんだけどね」
「え!?それって」
「どこも人手不足なのかも」
「・・・・」
市は大いに賑わっていた。村の特産品や行商人が持ち込んだ商品など、人々が買い物を楽しんでいる中、エルリンも例外では無かった。
「楽しい?」
「うん!」
エルリンとシャロンが同時に返事をする。
「一緒だね、エルリンお姉ちゃん!」
エルリンは照れ笑いをした。
一通り買い物が終わり、村で唯一のレストラン兼酒場で一休みすることになった。
「大きなお店ね、村にこんな場所があったなんて」
「夕方からは酒場になるの、ここのマスターが情報通でね」
「ママ!ソーセージ食べたい!」
ロゼッタがソーセージと飲み物を注文する。
「今度、1人で来てもいいかな?」
「首輪の事?」
「そう、これだけは放置出来ないから」
「マスターに聞いてあげるわ」
そう言ってロゼッタは颯爽とカウンターに足を運ぶ。
「ちょっと!」
エルリンはロゼッタの行動力に少し困惑する。
「ママはここの店長さんと友達なんだよ」
シャロンはソーセージを頬張りながら言った。
「そ、そうなんだ」
「ああ、こちらが?」
ロゼッタが40代くらいの小洒落た男性を連れて来た。
「エルリンよ」
ロゼッタが男にエルリンを紹介する。
「あ、はじめましてエルリン・ファリルです」
「こちらこそ、この店のマスター、ジョシュだ、実はその・・・今日はちょっと忙しくて、また後日来てくれるかい?」
「え〜!」
ロゼッタが残念な声を上げる。
「ロゼッタ!私は構いませんので、忙しいのに失礼しました」
エルリンはジョシュに頭を下げる。
「ホントに申し訳ない、今度ゆっくり聞きますから」
エルリンは首輪を外す手がかりが得られると期待していた。




