長命の苦悩
ソヤン村に来て1年後、エルリンはすっかり村に馴染んでいた。
その日も近所に住む老婆リリアンが、エルリンに住む場所を貸してくれることになっていた。
「リリアンさん、本当によろしいのですか?。」
「構いやしないよ、出てった息子の家だ、あんたもいつまでも詰所で寝泊まりじゃ不便だろうに」
「いつも良くしてもらって、恐縮です」
「なんもなんも、この村は女が少ないし、自警団に女おらんかったから、あんたが来てくれて相談もしやすくなって助かっとるよ」
エルリンに自然と笑顔が溢れる。
エルリンとティモンが夜の当直で一緒の時だった。
「この村には慣れましたか?」
「ええ、すっかり・・・それと私に敬語はやめてください」
「あ、あ〜、わかりま・・わかったよ、エルリン、君も敬語は不要だ」
「あ〜、わかったわ」
「その、前から聞きたかったんだが、その・・・何でここに?」
「全て知ってると思ってたわ」
エルリンは事情を全て話した。
「ひどいな・・・まるで奴隷扱いだ」
「私もどうかしてたんだよ・・・」
重い空気が流れた。
「あ、私見廻りしてくる」
エルリンはここに居場所を見つけたいと思った。
家族の元に戻れない事が心残りだが、どうしようも無いなら、それが一番だと。
その願いは叶うことになるが、気がつけば30年の月日が流れることになる。
エルリンは娘のラミーナが35歳になっていると考えないようにしていた。
エルリン66歳、長命は決して良いことだけではないのだ。




