新たな鎖
馬車が大きな屋敷の前で停まった。
エルリンは拘束された状態のまま、衛兵に連れられて屋敷内に通された。
広間に通されると膝まづくように衛兵に言われた。
猿ぐつわを衛兵が外すと
「必要時以外に発声した場合はこの場で切り捨てる、わかったな」
エルリンは首を立てに振った。
しばらくすると、豪華な衣装に身を包んだ男が入ってくる。小太りで白の口ひげと髪の毛、偉そうな態度。いかにも貴族という風貌だ。恐らくこの男がクジミナ・ラ・ペンナ子爵だと想像がついた。その男は大層な椅子に腰掛けると話しだした。
「そいつがエルリン・ファリルか?赤い戦鬼というからどんなゴツい女が来るのかと思っておったが、存外美人ではないか」
「時間があれば、ちょっと楽しみたかったが・・・」
男は続けた。
「わたしはクジミナ・ラ・ペンナだ、お前も名乗るがいい」
「はっ、わたしはエルリン・ファリルと申します」
エルリンは深々と頭を下げた。
「単刀直入に言おう、わたしの兵士となって、辺境の領地ソヤン村を警護してもらいたい」
「え?あ、はあ・・・」
「貴様に選択権はない、夫と娘がブルディナ地方におるのだろう?」
「!まって・・・」
次の瞬間、衛兵がエルリンの腹に蹴りを入れた。
「がはっ!」
エルリンは床に倒れ込んだ。
「必要な装備は用意してやる。詳細は現地の警備兵に聞くがいい」
衛兵がエルリンに首輪をはめる。
「逃亡は出来んぞ、その首輪をしている限り、貴様の命はわたしが握っていると思え」
首輪には魔法がかけられている、発信器かもしくは首が締まるか、どのみち奴隷と同じような扱いと言うことだろう。
それから数日後、牢獄から出たエルリンはすぐさま馬車に乗せられてソヤン村まで運ばれた。
村までの道中、衛兵にディッザールとの戦いがどうなったのか聞くことが出来た。
戦況は泥沼化しており、敵の城壁を突破できず撤退となるのも時間の問題だと聞かされた。
エルリンはランドールの未来に絶望を感じずにはいられなかった。




