無くしたものを数えて
シュトラーダ王国に拘禁されたまま運ばれてきたエルリンは、しばらくして軍法会議にかけられることになった。
「エルリン・ファリルの行為は本来なら死罪に値するが、これまでの功績を加味すると、無期拘禁刑が妥当と思われる」
議長は淡々と述べた。
エルリンは無期拘禁刑、牢獄からいつ出られるともわからない極刑である。
「わたしは、何をしたかったのかなぁ・・・」
牢獄の中でエルリンは考えていた。
ランディルの希望を夢見ていた日を、愛する家族の事を。
「もう、私には何もない・・・」
「フレッド・・・あなたの顔が思い出せない、あなたという人が・・・思い出せない」
「全部・・・なくなっちゃった・・・」
どれくらい月日が経ったのか、うなだれて考えに押し潰されそうになった日々が過ぎると、エルリンはトレーニングを始めた。
不衛生な牢獄生活で命を落とす者が多いが、エルフは幸いなことに病気や毒に強い体質である。毎日カチカチのパン一切れでも耐えられる。
トレーニングを始めてから、壁に石で日数を記録するようになった。気がつけば3年程の月日が流れた。
ある日、衛兵がエルリンに声をかけた。
「エルリン・ファリル出ろ」
「え?」
エルリンは牢屋から出されると、水の浄化魔法で体の汚れを浄化され、綺麗な服に着替えさせられた。
「これは一体どういうことでしょうか?」
「クジミナ・ラ・ペンナ子爵がお前に会いたいそうだ」
「??」
エルリンは腕を縛られ、猿ぐつわをされた状態で馬車に乗せられた。




