018「黒装束集団の襲撃」
「ダイオウガ・エスティオット。彼が、彼こそが…………本物の『ミーシャ・アイゼンハワーの愛弟子』であるっ!」
「ええええええーーーーーー!!!!!!!!!!」
周囲も驚いているようだが、俺のほうが一番驚いた。
「な、なんで、国王が……そのことを知ってるのっ?! そして、なぜ、このタイミングで……?」
俺は何が何だか訳が分からなかった。
そんな中、ジュリアーノ国王が話を続ける。
「さて……レオン君。どうして君は『ミーシャ・アイゼンハワーの弟子』だなんて嘘をついたんだい?」
ジュリアーノ国王が威圧するようにレオンを問い詰める。
「…………フン、なるほど。そういうことかい。バレちゃ~しょうがね~な~」
レオンは国王の問いに、これまでとは異なる『口調』で話を続ける。
「俺は『ミーシャ・アイゼンハワーの弟子』なんかじゃねー。あんなババアの弟子なんて反吐が出るぜっ!」
「何だとーっ! ミーシャ様の悪口言うなーーっ!!!!」
リリカはミーシャ師匠の悪口を言ったレオンに激しく突っかかり、舞台に出ていくイキオイだったが、そこはクレアとシャロンに全力で止められた。
「俺の師匠は親父と…………ナユタ様だけだ」
「ナ、ナユタっ?! ナユタとは…………ナユタ・ラマのことかっ!!」
レオンの言葉にジュリアーノ国王が大きく動揺しながら激しく問い詰めようとレオンの襟元を掴む。それに対してレオンはニタ~ッと残忍な顔つきで答える。
「ヘッヘッ……そうだ、ナユタ・ラマ様だ。あんたは知ってるよな~、ジュリアーノ国王さんよ~」
「バ、バカな……っ! ナユタ・ラマが生きて……」
ジュリアーノ国王はレオンの言っていることが信じられないとでもいうように顔を青ざめ震えている。そして、レオンは激しい憎悪に満ちた顔を近づけ呟いた。
「……生きてる。ナユタ・ラマ様は生きている。そして、お前らを……アルキメド王国を絶対に………………許さないっ!!!」
「なっ?! なんだっ!!」
レオンが最後の一言を叫んだ瞬間、観客席の最上段から十数人の黒装束の人間が姿を現し、
「火炎庭園っ!」
黒装束の一人が上級攻撃魔法のひとつで広範囲に炎が広がる『火炎庭園』を全観客席に放った。
「「「「「きゃぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー!!!!!」」」」」」
荒れ狂いながら迫る火炎が観客席を包み込もうとした……その時、
「「硬質化結界っ!」」
観客席の中から『レイオウガ・エスティオット』と、もう一人、生徒会長『ジュリコ・ウェンポート』が飛び出すと、同時に全観客席に硬度10の硬質化した透明のバリアのような上級防御魔法を展開し、相手の火炎魔法を防いだ。
が、しかし、舞台では数十人の黒装束がダイ目掛けて突っ込んでくる。
「ダイオウガ・エスティオットっ! 我らと一緒に来てもら……」
「「ウチの子に何してんだ、ボケェェェーーーーーーー!!!!!」」
ドゴォォォーーーンンーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!
黒装束の集団の両側から『目と口が開けた仮面』の男女が現れ、右からS級の火魔法と、左からは同じくS級の氷魔法を黒装束の集団に無慈悲に炸裂。数十人の黒装束の集団は一瞬で戦闘不能となった。
「ダイっ! 無事かーーーーー!!!!!!」
「ダイっ! ケガはない?」
ダイに声をかけたのはもちろん仮面をつけた親バカのライとマリアだった。
「ちょっ! ちょっとアレってもしかして……『戦場の暴君』と『冷徹の舞姫』じゃんっ! てことは……」
「ダイ君のご両親っ!?」
「えっ!? そ、そうなのっ?!」
リリカ、クレア、シャロン、各々がそれぞれのリアクションをする。
「と、父さん、母さんっ!? な、なんでここにっ!」
(しっ! 父さん、母さんは今、仮面をかぶっているから『英雄五傑』という体だから、『父さん』とは呼ばないようにっ!)
『いや、あんたが先に『ダイ』って言ったじゃん』…………という真っ当な指摘を入れたかったダイだが、今はそんな状況ではないのでとりあえず伏せておいた。
黒装束の集団はレオンを入れて5名、そして、ダイや王立軍を加えた王国側は十数名が舞台の上にいるなど、数では完全に上回っていた。
「この舞台だけでなく周囲もすべて王立軍が包囲している。抵抗はやめろっ!」
「レ、レイ兄さんっ!」
新鋭隊長のレイオウガ・エスティオットが黒装束の集団を一喝する。
「やあ、ダイ、久しいな。元気だったか?」
「はい。それにしてもレイ兄さんは相変わらずかっこいいですぅ~~~っ!!」
「あ、ありがとう……お、お前、テンション高いな」
「そりゃあ、もうっ! 兄さんとは久しぶりだものっ!」
ダイが大尊敬するレイを見て嬉しさのあまり興奮していたが、レイは若干引いている。
「やあ、ダイ君。無事でよかったよ」
「せ、生徒会長っ!」
「お、お兄様っ!」
「……え? お兄様?」
「な、何よっ! 悪いっ?!」
レイの横にいた生徒会長ジュリコ・ウェンポートがダイに声をかけた。すると、リリカが生徒会長のことを『お兄様』という言い方に思わず感嘆な声を出した俺はリリカに殴られた。
「な、殴ることないだろ?!」
「う、ううう、うっさいっ! お兄様はお兄様なんだよっ! 文句あるかっ?!」
「い、いや、別に何も言ってねーよ!」
「嘘つけっ! ダイ、あんた今、『え? 何? 兄貴にお兄様なんて言葉使うの? マジ、普段とのギャップあり過ぎっ!』って思ったでしょ?!」
「お、思ってない、思ってないっ?!」
「嘘つけーーーーーーっ!!!!」
「い、言いがかりだってーーーー!!!!」
そうして、また、リリカと俺の『ドッタンバッタン大騒ぎ』が始まろうとした、その時……、
ジャキンっ!
「ダイ君。わたしのリリカにちょっと馴れ馴れしいじゃないか…………殺すよ?」
「え……ええええええええーーーーーーーーっ!!!!!!!」
「お、お兄様っ?!」
突然、生徒会長が一瞬でリリカと俺の間に入ったと同時に俺の首に『外殻魔道具』である剣の切っ先を向ける。
「君とはいえ、私のリリカに手を出したら…………容赦しないからね?」
ジュリコの目が血走っている。こ、怖ぇえぇぇ~~~~!!!!
「お、お兄様やめてくださいっ! べ、別に、ダイは何もしてないですからっ!」
すると、リリカが必死にジュリコを宥めようとする。
「いや、リリカ。私にはわかっているよ。お前が『世界一可愛い』。だから、いろんな男が寄ってくるのはわかる。だが、それにしても、少し、ダイ君の態度がね…………馴れ馴れし過ぎるんじゃないかと私は思うのだよ」
「そ、そんなこと、そんなことないからっ!? お兄様、そういうシスコン、早く治してくださいっ!」
「「シ、シスコン……っ?!」」
俺とシャロンがリリカの『シスコン』という言葉につい大きく反応した。
「シスコンではないっ!? ただ、妹が心底大好きでこれからもずっと守ってあげたいと思っているだけだ~~~~!!!」
「それがシスコンって言うのよっ!!!」
ポカーン。
俺とシャロンは二人のやり取りにただただ唖然としていた。
「……ジュリコ先輩は、普段はすごいハンサムで気品漂う所作で完璧超人なんだけど、リリカのこととなると、いつも、こんな感じなの」
クレアが俺とシャロンにため息をつきながら説明をしてくれた。
うーむ、なるほど。『天は二物を与えず』ということか。
そんな感じで、俺たちや王立軍は黒装束の5人を完全に包囲したと思い、余裕をかましていた。実際、その場には俺の両親である『英雄五傑』の二人やレイ兄さん、シスコン生徒会長、そして、武道館の外には王立軍が包囲しているなど盤石の万全の態勢で黒装束の連中を包囲していた。
しかし、この後、俺たちはその『余裕』が間違いだったことに気づく。
ごぬん……。もう毎日投稿無理かも……。




