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異世界チートはテンプレでおなしゃすっ!  作者: mitsuzo
第一章

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15/22

013「初戦、緊張…………んんん??」



「はあっ!」



 籠手(こて)の『外殻魔道具(ウェポン)』を纏うリリカが一回戦を瞬殺で決めて帰ってきた。


「やるな、リリカ……」


 シャロンがリリカに声をかける。


「ふふ、ありがとう。でも、その『やるな』ってセリフ、あたしの瞬殺を見てそのセリフが出るってことは…………次のシャロンの試合じっくり見させていただくわ」

「期待に応えられるよう頑張るよ」


 二人はまだ戦っているわけでもないのに今からバチバチ火花を散らしている。まあ、敵対のような感じではなく『どっちが強いか試してみたい』的な感じだが。


「ふー、じゃあ、行ってくるね、ダイ君っ!」

「頑張って、クレア!」


 次はクレアの試合ということで、俺はクレアを励ました。すると……、


「『頑張って、クレア!』じゃないわよ。クレアがこんな1回戦で負けるわけないでしょ? それよりも、むしろあんたのほうが頑張りなさいよねっ!」

「……うっせーなー、わかってるよ」


 リリカが俺にまたケチをつけてきた。もはや日常茶飯事でお家芸ですらある。


「クス……じゃあ、行ってきます!」


 クレアはそんな二人を見て、緊張が取れたようでリラックスした表情で剣の『外殻魔道具(ウェポン)』を持って舞台へ上がっていった。



「はじめっ!」



 審判が開始の掛け声を上げると同時に相手がクレアに強襲した。


 相手は籠手の『外殻魔道具(ウェポン)』を使っている。それに『薬』の魔道具……『内殻魔道具(メディシン)』も飲んで能力を上げているようだ。ちなみに、『内殻魔道具(メディシン)』を服用している人は特徴として、体の表面に『黄色』のオーラのようなものがユラユラと見える。


 そんな能力も上げた対戦相手の強襲は中々の速度だった。しかし……、


 フッ。


「えっ?! き、消えたっ!」


 強襲で勝負を決めたと思った相手がクレアの姿が目の前で突然消えて狼狽えている。


「こっちです」


 対戦相手が頭上から聞こえた声のほうに目を向けた…………瞬間、


「一の太刀、雷閃(らいせん)っ!」


 クレアは黄色の光を帯びた剣で上から一刀両断……したかに見えたが実際は相手の頭の上で剣を止めた……が、しかし、その剣に帯びていた黄色の光は雷のようなものだったらしく、相手にその雷撃だけを浴びせて気絶させた。


「勝者、クレア・フィオーネっ!」


 わぁぁぁあぁぁああぁ~~~~~~~!!!!!!


「あ、あれが『唯一心流(ゆいいっしんりゅう)』……初めて見たよ、俺」

「私も! 凄い速さの剣だった! ていうか、その前の移動のスピードに全然ついていけなかったしっ!」

「対戦相手なんて最初っから『内殻魔道具(メディシン)』を飲んで能力を上げていたはずなのに、それでも反応できなかったなんて……」

「さすが黄金世代と言われているだけはあるな、今年の一年はっ!」

「クレア様! 一生ついていきます~~~っ!!」

「クレアちゃん、マジ天使! ああ、俺もあの雷撃に打たれたいぃぃぃいぃ~~っ!!」


 若干、危ないやつも交じりつつ、だが皆、クレアの鮮やかな剣技と圧倒的な勝利に会場の観戦者や生徒たちが喝采を送った。


 それもそのはず、クレアの使った剣技は『唯一心流(ゆいいっしんりゅう)』というもので、魔術剣士の剣技の中でも至難の剣技と言われるものの一つだ。そんな滅多に見れない剣技を披露したクレアに多くの者が喝采を送るのも自然の道理である。


 ちなみに、クレアの見た目で皆つい忘れがちだが、実はクレアが有名なのは上級貴族という一面よりも、むしろ、この『唯一心流(ゆいいっしんりゅう)の使い手』のほうにある。


「す、すごいね、クレアの剣技……」

「ありがとう、ダイ君」


 涼しい顔で戻ってくるクレアに俺は見とれていたので、少し呆けた顔をしながらクレアを労った。


「『唯一心流(ゆいいっしんりゅう)』……初めて見たが噂通り凄い剣技だな」

「そ、そんな……私なんてまだまだです」


 謙遜するクレア。


「いや、さすがにその謙遜は無理があるわよ、クレア」

「え?! え?!」


 そこに、的確なツッコミを入れるリリカ。


 まあ、これだけの剣技を見せられてそのセリフは……ねぇ。


「だ、だって、私以外で凄い『唯一心流(ゆいいっしんりゅう)』の使い手はいっぱいいるし……っ?!」

「まあ、確かにいるけど……でも、やっぱり凄いわよ、クレアの剣技」

「リ、リリカ! もういいからっ!」

「いや、本当だよ、クレア。君の剣技は強さの中に美しさも兼ね備えている。そんな魔術剣士はそう多くはないと思うよ」

「も、もう!? シャロン君までっ!」


 そうして、クレアも順当に一回戦を勝ち進めた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「いよいよ私の出番か。いってくるよ……」



 そう言って、シャロンが剣を持ってゆっくりと舞台へ上がる。


「ふ~ん、シャロンも剣なんだ……どっちだろ?」

「前に聞いたけど、武術剣士みたいよ」


 と、クレア。


「そう言えば、皆、どうして『内殻魔道具(メディシン)』は使わないの?」


 俺は、さっきからクレアやリリカが魔道具の『外殻魔道具(ウェポン)』を使うことはあっても付与(パフ)効果の『内殻魔道具(メディシン)』を使わないことに不思議に思い質問してみた。


「え? ダイ、あんた、その質問しちゃうっ?!」

「え? え?」


 どうやら、また、見当違いの質問だったようだ。


「え、えーとね、ダイ君。それは……」


 リリカがまたバカにしながら答えようとしたのをクレアが気を利かして説明してくれた。


「『内殻魔道具(メディシン)』は『薬』のようなものだからいつでも飲めるものなのね。だから、戦いのときは『内殻魔道具(メディシン)』をすぐに使うのではなくて、相手の力量を見極めて必要なときだけ使う……て感じなの」

「なるほど……」


 クレアの話だと、『内殻魔道具(メディシン)』は皆、懐に忍ばせているようで必要なときに飲むのが一般的な使い方らしい。ちなみに、さっきのクレアの対戦相手が試合開始前から飲んでいたのはクレアの実力を知っていた為の対応だったようだ。


「ちなみにあたしも持っているけど、しばらくは『内殻魔道具(メディシン)』は使わないと思うけどね。フフフ……」


 リリカが横から調子こいたセリフを言ってきたので、


「ふ~ん」


 と、スカして差し上げた。


 リリカが俺の態度にやいのやいの言っているところで、


「勝者、シャロン・エクレールっ!」


 わぁぁぁあぁぁああぁ~~~~~~~!!!!!!


「「えっ?!」」


 俺とリリカが舞台に目を移す。


 すると、これまた何事もなかったかのような涼しい顔でシャロンが舞台から降りてきた。


「す、凄かったわね、あのシャロンって人……」

「おいおい、あいつも一年なのかよ」

「正直、何をやっているのかさっぱりだったんだけど……」

「キャー! シャロンくーん!!」


 場内が騒然としていた。


 それくらい、シャロンの戦いは凄かったらしい。


「どうだったかな? 私は期待に応えられたかな?」


 シャロンが爽やかな笑顔でリリカに声をかける。しかし、その声をかけられたリリカは目をバシャバシャと泳がせている。


「はぁ……ごめんね、シャロン君。実は……」


 クレアがリリカが試合中に小競り合いしていてその結果、試合を観ていなかったことを説明する。


「あと、ダイ君もね!」


 クレアがちょっぴり怒った仕草で俺にも注意する。


「「ご、ごめんなさい」」


 俺とリリカはシャロンに深々と謝った。


「いいよ、いいよ、そんな~。まだ、1回戦なんだから気にしないでよ」


 シャロンが大人な対応で言葉をかける。


「あ、ありがとう、シャロン君。あたしは悪くないの。悪いのは全部ダイだからっ!」

「ちょ! おま……!?」


 そんな感じで、俺はシャロンがどういう感じで勝ったが見なかったがクレアに聞くと、


「『乱連撃(らんれんげき)』っていう武術剣士の剣技が凄かった!」


 とのこと。


 あ~、見たかったな~。


 それもこれも全部、リリカのせいだよ……まったくっ!


 そんな、悪態をついていると名前を呼ばれた。


「一年、ダイオウガ・エスティオット……舞台へ!」


 ついに、俺の出番が回ってきた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「いよいよ、あいつの試合か……」



 舞台裏から試合を眺める男がいた…………レオン・リトバルスキだ。


「くっくっく、あいつも運が悪いね~。よりによって一回戦の相手が3年の『あいつ』かよ」


 レオンが皮肉交じりの笑みを零しながら呟く。その相手とは……、


「これより、1年ダイオウガ・エスティオットと、3年ブルーノ・アッガスの試合を始める!」


 ブルーノ・アッガスという3年生だった。


「ブ、ブルーノ・アッガス!……そ、そんなっ?!」

「ウソっ! よりにもよって対戦相手が3年生で、しかも、あの『ブルーノ・アッガス』が初戦の相手だなんて……どんだけ、クジ運悪いのよ、あいつ」


 クレア、リリカがダイの対戦相手を見てショックを受けている。トーナメントでは基本的に対戦相手が先輩だったりすることはよくある話ではあるのだが、


「だ、誰なの、あのダイの対戦相手って……有名な人なの?」


 シャロンが青ざめているリリカに聞いてみた。


「ブルーノ・アッガス……首都セントラル出身の上級貴族でアッガス家長男。学院ではその地位を利用して、いろいろとチンピラまがいなことをやってるわ」

「チンピラまがいのこと? 一体……何を?」

「あたしも直接見たわけじゃなくて、あくまで噂だけど……気に食わない奴にはとことん暴力でリンチをかけるとか、あと、気に入った女子には無理やり森とかに連れ込んで襲うとか……」

「ええっ?! そ、そんなの生徒会が許さないでしょ?!」

「それがね、シャロン君。ブルーノ先輩はこれまで一度も生徒から被害を訴えられたことがないの」

「えっ?! どういうこと……」

「真相はわからないけど、被害を受けた可能性のある生徒がいることは確かなの。でも、その人たちは訴えないし、聞かれても否定するの」

「な、なんで……」

「おそらく、その被害に遭っているのがすべて下級貴族とか一般民といった生徒ばかりだから……たぶん、上級貴族という地位を利用して……」

「口封じ……していると?」

「……おそらく。でも、証拠はないし誰も訴えないから生徒会もあまりブルーノには関わらないって感じらしいわ」

「そ、そんな……」


 シャロンがリリカやクレアの話を聞いてショックを受けている。


「はっ! じゃ、じゃあ、ダイの対戦相手がそのブルーノ・アッガスってすごく……」

「ええ、かなり最悪ね。ただでさえ、チンピラまがいな奴なのに実力自体もある奴だから余計にやっかいなの。その辺はクレアのほうが詳しいかも……」

「う、うん。ブルーノ先輩は一応、私の家と多少の繋がりがあるからいろいろと知っているけど、実力は学院内でも高いほうだと……思う」

「……ダイ」


 3人が不安に駆られる中、試合が始まった。


「はじめっ!」


 すると、シャロンが突然、ある『違和感』に気づいた。


「あっ! ダ、ダイのやつ……」

「何? どうしたの、シャロン?」

「あ、あいつ、『外殻魔道具(ウェポン)』…………持ってないぞ?」

「「えっ?!」」


 シャロンがそう呟くと、クレアとリリカがダイを見る。


 ダイは『外殻魔道具(ウェポン)』のようなものは何も持っておらず、全くの手ぶらで舞台に立っていた。


「ちょ!? それってヤバイじゃない! 試合止めなきゃ!」

「し、審判さん! 試合止めてっ!」


 クレアが必死に審判に声をかける……が、審判は『試合は止められない』というジェスチャーをする。


「そ、そんな……っ?!」

「『外殻魔道具(ウェポン)』を持たなかったダイが悪い……という判断なのだろう。実際、事前にそういう説明はありましたし……」


 シャロンが冷静に説明をする。


「あのバカっ!? 話聞いていなかったから……」


 リリカも相手が相手だけにさすがに心配している。


「よう、1年坊……。お前、『外殻魔道具(ウェポン)』は持っていないのかよ?」

「え? あ、ああ、そうですね、俺、その『外殻魔道具(ウェポン)』ってやつ使ったことないので」

「は? お前、バカか? そんなんでよく舞台に……俺の前に立てたな。頭、おかしいんじゃねーか? ぎゃははは」


 ブルーノがダイの言葉を聞いて、盛大に笑い飛ばす。


「さすがの俺もよ~、手ぶらのバカを相手にはしたくねーからよー、だから『まいった』って言えば見逃してやるよ、一年坊」


 ブルーノはニヤニヤとダイに棄権するよう呟く。


「ダイ! すぐに棄権するんだ!」

「ダ、ダイ! 試合のことなんていいからすぐに『まいった』って言って!」

「そうよ、ダイ君! 棄権してっ!」


 シャロン、クレア、リリカがダイに試合をすぐに棄権するよう声を上げる。


 すると、ダイがブルーノに言葉を返す。


「あ、お気になさらず。俺はこのまま(手ぶら)で大丈夫ですので」

「「「「……へっ?」」」」


 4人がダイの言葉に一瞬、耳を疑う。


「お、おおお、おい……おめえ、今、何つった?」


 ブルーノの眉間がピクピクと活発に脈動している。


「え? あ、だから、このまま(手ぶら)で大丈夫で……」

「死ねやーーーーーーっ!!!!!!」


 大きな斧の『外殻魔道具(ウェポン)』を持ったブルーノが、ダイの返事の途中で切り付けてきた。それは寸止めではなく、本気でダイの体を真っ二つにする勢いの鋭い振りだった。


「よっと」


 バキャンっ!


「へっ?」


 ダイはその大きな斧を手刀だけでコナゴナに砕いた。それを見たブルーノが目の前の光景に理解が追い付いていないのか完全に固まっていた。


「「「「「「へっ?」」」」」」


 今度はそれを見たクレアたちや観客、審判、生徒も含めた全員が目の前の光景に理解が追い付かず固まっている。


「それじゃあ、ブルーノ先輩……行きますね?」

「え?」


 ドンっ!


 すると、ダイはブルーノの懐に一瞬で体を入れ、掌底を一発当てた。


「おごっ……!!!!!!!」


 すると、ブルーノの体は舞台の端のほうまでもの凄いスピードで飛ばされ、壁に激突した。


「さあ! 勝負はこれからです、ブルーノ先輩っ!」


 ダイが目をキラキラ輝かせながらブルーノが起き上がるのを待った。だが、ブルーノはすでに意識が飛んでいるようですでに失神していた。


「あれ? ブルーノ先輩?」


 審判がハッと我に返ると、ブルーノのところへ駆け出し確認する。


「!? そ、そ、そそ、そこまでーっ! 勝者、ダイオウガ・エスティオットっ!」


 審判はブルーノの失神を確認した後、ダイの勝利を宣言した。


「え? な、何、今の? ブルーノが勝手に壁に飛んでいってぶつかったみたいだけど……」

「そ、そうね。今、ダイ君……な、何か、したの?」

「い、いや、何も見えなかったけど……」

「「「んんん~~~~???」」」


 リリカ、クレア、シャロンの3人ともダイがブルーノの懐に入り、掌底一発で吹き飛ばすまでの動きを全く捉えられていなかった。それは審判や観客も含め同様だった…………が、


「な、何だ、今の動きは! あれが本当の、奴の力……なのかっ?!」


 レオン・リトバルスキと、


「ダイオウガ・エスティオット、想像以上に………………強い」


 生徒会長ジュリコ・ウェンポートの二人はダイの動きに驚愕を覚えていた。




あぁああぁぁあああ~~~~、GWがぁぁ~~、終わるじゃ~~んよ~~~!

毎日、更新、もはや、ここまで……か。

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