014「告白……そして」
「あ、あの~、すみません……ダイオウガ君、ちょっとよろしいですか?」
「?? はい?」
「「「「「ウ・ラ・ラ・ちゃぁあぁぁあぁぁ~~~~~~ん!!!!!!!!」」」」」
ブルーノ・アッガスが失神ということでダイの勝利となったが、『どうしてブルーノ・アッガスが失神したのか?』ということに誰も理解できていなかった。
そこで舞台には本選のベスト16から試合解説を務める放送部部長で学院のマスコットアイドル的存在の『ウララ・ウィンスター』が登場し、今の試合の内容を聞き出すこととなった。
「今の試合、私たちが見る限りだと、ブルーノさんが勝手に壁にぶっ飛んで失神したように見えたのですが実際は何かやったのですか?」
放送部部長ウララ・ウィンスター……3年生で完全に年上なのだが髪色がピンクで身長が師匠よりも低い155センチ前後の見た目(つまりは幼女)、そして、しぐさや喋り方の拙い感じが、もう、なんていうか、すごくかわいらしい。さすが『学院のマスコットアイドル』と言われるだけのことはある。ああ~、これは『一家に一ウララ』だわ~。
「あ、あの、ダイオウガ君……ボ、ボク、一応、3年生で先輩……だから!」
先輩が頬を赤らめながら上目遣いで『プチおこ』な感じで呟いた。
何という破壊力!
しかも、ボクっ子……だとっ?!
ああ、神は何というモノ(ウララぱいせん)を作りたもうた。
ま、まさか、これがウララ・ウィンスターの『外殻魔道具』とでも言うのかっ?!
「ち、違いますっ?!」
「えっ?! ウララ先輩、どうして怒って…………て、あれ?」
すると、舞台袖にいたリリカが叫ぶ。
「あんた、心の声がまた出てんのよっ! バッカじゃないのっ!!」
「え? あ……」
げ……また声に出てたのか。
リリカはそう言うと腕組みをしてプイッと横を向いた。何でお前がそんなに怒ってるんだ?
「サイテーです、ダイ君」
「え? あ、あの、クレアさん……」
ジーーーーーーー。
生きてても何の価値もない、どうしようもないクズを見るかのようなジトッとした冷酷な瞳で俺を蔑むクレアさん…………こ、怖いっ!
「ダイ………………はぁぁぁ~」
「!? た、ため息っ」
眉間に手を当て残念そうにハァァと深いため息を吐くシャロンさん。
「ウララ先輩、ごめんなさい。ホント、ごめんなさい」
とりあえず、軽く土下座してみた。
「!? や、やめてください、ダイ君。わ、わかりました……今回は許しますから」
ウララ先輩は俺のいきなりの土下座にビックリし、思わずさっきの発言を許してしまった。まあ、これもすべて俺の作戦だったんだけどな。
やっぱり、ウララぱいせん最高だぜっ!
そして、俺はウララ先輩のファン、親衛隊にも謝ったほうがいいだろうな~と思い、観客席にいる親衛隊のほうを見て謝ろうとした……が、
「「「「「てめえ、この野郎、ダイオウガ~~!………………わかってんじゃねーか~~~~~っ!!!!!!」」」」」
「え? あ、ど、どうも……」
俺はウララ先輩の親衛隊に怒られる方と思ったが、まさかの『共感ポイント』だったようですごく受け入れてもらえた。よかった…………のか?
「……ダイ君、サイテーです」
クレアがボソッとさっきよりも冷たく低いトーンで呟いたのは聞かなかったことにしました。
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「あ、あの、いいかげん教えて下さいね、ダイ君。ここまでですでに1300文字ほど消費しましたから……」
「やだ、すっごいメタ的っ!」
そんなメタ的ノリはこの辺にして、ダイは事の顛末を説明した。
「えーと、ブルーノ先輩が斧で切りかかってきたのですがあまりに隙だらけだったので、とりあえず手刀で斧を破壊させていただきました」
「え?」
「その後もまたブルーノ先輩があまりに隙だらけだったので、思わず『もしかしたら先輩、俺が一年生だから気を遣ってんのか?』と思ったので懐に入って掌底を一発かましてやりました。『先輩、俺なら大丈夫です、本気出してください!』という気持ちを込めてっ!」
「は?」
「それで壁に激突した後、『いよいよ先輩の本気が見れるぞ。こっからが本番だっ!』と思ったのですが、どうやら先輩打ちどころが悪かったようで失神してしまいまして…………まあ、ラッキーでしたっ!」
「「「「「ん、んんん~~~~~~~~???」」」」」
どうしたのだろう?
ウララ先輩が驚いているような、困っているような、俺がこれまで生きてきた中で見たことのない表情を腕組みをしながら浮かべている。あと、先輩以外の周囲もまたそんな表情を浮かべ『んんん~』と腕組みをして首を横にしていた。
「そ、それじゃあ、俺はこれで……し、失礼します」
「は、はあ……」
皆、どうにも納得していないようだったが、とりあえず埒が明かないということで俺は退場した。
何よ~、俺、ちゃんと説明したじゃん。
「「「どうしてこうなった(の)っ!!!!」」」
「……ええっ?!」
試合を終えてクレアたちのほうへ戻ってきた途端、今度は3人がハモりながら俺に近づき問い詰めた。
「ダ、ダイ君、君は一体、舞台で何を……ていうより、素手で外殻魔道具を破壊って……」
「ダイ君! な、何がどうなって……あと、え~と…………お、おめでと……」
「え~い、まどろっこしい!」
発狂にも似た雄叫びを上げたリリカが俺の胸倉をガッチリホールド。
「おうおうおうっ! ネタは上がってんだ、こんちくしょうっ! さっさと吐きやがれいっ!」
お前、本当に異世界人か?
「だ、だからさっき舞台でも言ったろ! 先輩の斧を破壊した後、掌底を一発打っただけだって……」
「そうじゃねえ! そうじゃねえだろ、おうっ! ネタは上がってるって言ってんんだっ!」
「!?」
そうして俺はリリカの真意に気づいた。
これはマズイ。
「え? あ、いや、まあ、その……た、たまたま?」
「「「いや、たまたまであんな動き出来るわけないでしょ(だろ)?!」」」
「うっ?!」
リリカと共に横からクレアもシャロンも入って的確なツッコミを入れる。そして……、
「ねぇ、あんたさ、もしかして…………ていうか、この試合ではっきりしたわ。ダイ、やっぱりあんたが………………『ミーシャ・アイゼンハワーの愛弟子』だったんでしょ」
「……リリカっ!」
「お、おい! リリカっ!」
リリカが真顔でダイに核心を突く言葉をぶつけた。
そんなリリカの言葉に驚くもしょうがないか、と納得するクレアとシャロン。
「い、いや、だ、だから言ったろ? 俺は、そのミーシャ・アイゼンハワーの愛弟子じゃないって……」
「ダイ、聞いてっ!」
「「!? リ、リリカ……っ!」」
俺が何とかごまかそうと話を始めた時、いきなり、リリカが俺の顔を両手で掴んだ。
「いい、ダイ? あたしはね、あんたのこと大切な、大事な、かけがえのない仲間だと思ってる……」
「リ、リリカ……」
俺の顔を両手で強く掴み、真正面から俺の目を見てリリカがゆっくりと言葉を紡ぐ。
「だから、ちゃんと答えてっ! あなたも私たちのことを同じように大切な仲間だと想っているのなら……」
「……」
リリカはその言葉を出すと同時にうっすらと涙を浮かべていた。
そんなリリカの言葉に俺ははっきりと確信した。
父さん、母さん、兄さん……ごめん。大切な仲間だと言ってくれたリリカに、クレアに、シャロンに、これ以上ごまかすなんてできないっ!
ダイはリリカの両腕にそっとやさしく手をかける。
「……ダ、ダイ?」
「……うん、そうだよ、リリカ」
「え……?」
ダイはリリカの目をまっすぐ見ながら呟く。
「俺は…………ミーシャ・アイゼンハワーの弟子だ」




