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異世界チートはテンプレでおなしゃすっ!  作者: mitsuzo
第一章

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12/22

010「ガールズトーク(1)/調査結果と疑惑と期待」



――『ランカーズトーナメント』3日前。



 昨日、実家に戻っていたリリカがバタバタと慌ただしく部屋に入ってきた。


「ハアハア……た、ただいま、クレアっ!」

「お、おかえり、リリカ。ど、どうしたのっ?! そんなに急いで……」


 ここはアルキメド王立学院高等部の女子寮の部屋。


 ルームメイトのリリカが血相を変えて部屋に入ってきた。


「この前、ハアハア、調査して、た……結果が……出たの……ハアハア」

「調査? 結果? 何の?」

「前に調べたでしょ……ハアハア……ダイ……ダイオウガ・エスティオットの調査だよっ!」

「えっ?! あ! そう言えば……」


 そう、リリカは入学式の日の夕方、私がダイ君を『ミーシャ・アイゼンハワーの愛弟子』かもしれないという話を聞いてダイ君の身辺調査を家の使用人に命令していた。


「で、でも、それは……『ミーシャ・アイゼンハワーの愛弟子』はレオン君だって、本人が自分で……」

「う、うん。確かにレオンは自分で『ミーシャ・アイゼンハワーの愛弟子』と言っていた。で、でも…………ふぅ~!」


 リリカは一度深呼吸し、呼吸を整えた後、


「ダイ……ダイオウガ・エスティオットも『ミーシャ・アイゼンハワーの愛弟子』である可能性が……ある!」


 一息で力を込めてその一言を告げた。


「えっ?! ま、まさか……!」

「あたしもまだ確信はないけど、調査結果を見る限りでは……いろいろと不可解な点がいっぱいあるの、あいつ……」


 そう言うと、リリカは調査結果を広げて見せながらゆっくりと説明を始めた。


「まず……あいつは6歳から15歳までの9年間、親元を離れ、山奥で誰かと生活していたようなの」

「で、でも、それは別に普通じゃない? 例えば、親御さんのほうで何か事情があって、その期間だけおじいちゃん家で生活していたとか……」

「でも、その山奥ってアルキメド王国指定の特別立入禁止区域……あの『深淵の森』なのよ?」

「!? し、深淵の森って……あのA級からS級レベルの魔物が住み着いているっていう森のこと?」

「そう……国の上級魔法士10人がかりであの一帯に結界をかけて封じ込めた、あの『深淵の森』よ。おかしいでしょ? そんな、特別立入禁止区域で9年間も生活してたなんて?!」

「う、うん……」

「それだけじゃないわ……ダイにはお兄さんがいてね、最初はピンとこなかったけど、実はあの『王立軍』の新鋭隊長に最年少で抜擢されたレイオウガ・エスティオットなの」

「あ! 聞いたことある! 確か、私たちと5つ違いの人でしょ? 確か、初等部の5年生くらいから中等部へ『飛び級』して、高等部には首席で入学・卒業したっていう、あの『学院史上最強の天才』って言われている人……」

「うん! それがダイのお兄さんらしいの」

「ウソっ!? まさか……」

「事実よ。ダイの両親は一応辺境地だけど『アルキメド20』の領主で下級貴族……だから、ちゃんと公式の文書で家族構成は確認できるわ」


 と、言ってリリカはクレアに学院内にある図書館でアルキメド王国内の貴族の一覧と各貴族の家族構成などが書いてある公文書のコピーを渡した。


 そこには、確かにエスティオット家の家族構成が書かれている。


「ほ、本当だ。確かにエスティオット家の家族構成にレイオウガ・エスティオットって書いてある……」

「ええ。ダイがあまり目立たないからレイオウガ・エスティオットなんて名前出てこなかったわ。そもそも、あいつ自分からすごいお兄さんがいるなんて言ったことないしね」

「う、うん。でも、そんなとこがダイ君の良いところだけどね!」

「……」


 リリカがポッカリ大きな口を開けてクレアを見つめる。


「な、何?」

「え? 気づいてらっしゃらない? じゃあ、いいです」

「え? な、何を……?」

「ううん、いいの。じゃあ、話続けるね」

「?? う、うん」


 アイヤー、コノコ、ムイシキダッタアルヨー。


 どこぞの国のカタコト言葉を心で口ずさみながらリリカは話を続けた。


「でね……ダイの兄さんのことだけでもすごい発見だったんだけど実はこれだけじゃないの。ていうか、むしろ、次の可能性の話がもっとすごいっていうか……」

「え? お、お兄さんのこと以上にってこと?!」

「うん。これ……ダイの家の家族構成が書いてある公文書に両親の写真を見つけだんだけど……」

「え? ご両親?」

「うん。この写真なんだけど……」


 リリカは一枚の写真をクレアに見せた。その写真は『アルキメド20』の領主として任命されたときのダイの両親、ライオウガ・エスティオットとマリア・エスティオットが写っていた。


「これが……ダイ君のご両親……」


 クレアはポーッとしながらその写真を眺めていた。


 リリカはため息を一つ入れつつ、


「次にこの写真を見てみて……」


 もう一枚の写真をクレアに見せた。


 そこには、猛々しく逆立つライオンヘアーの男とエメラルドグリーンの髪が美しく輝く女性が写っていた。そして、その二人は共に目の部分と口の部分が開いた『仮面』を付けている。


「こ、これって……『英雄五傑(ファイブスター)』の『戦場の暴君』と『冷徹の舞姫』?」

「うん、そう。そして、さっきのダイの両親とこの『英雄五傑(ファイブスター)』の写真を見比べてみて……」


 リリカはそう言って最初に見せたダイの両親の写真をクレアに渡す。


「えっ? な、何か、ダイ君のご両親と『英雄五傑(ファイブスター)』の二人が似て……る?」

「そう! すっごい似てるの」

「うん。二人のヘアスタイルと髪の色はほとんど同じに……見える」

「そうなの。あたしもこれ見てすっごく似てると思ったの。それでね、結論なんだけど……あたしが思うにやっぱり『ミーシャ・アイゼンハワーの愛弟子』ってダイのことじゃないかって思うの。それでね、もし、ダイの両親が『英雄五傑(ファイブスター)』だったら、その息子のダイがミーシャ・アイゼンハワーの愛弟子っていう線は十分あると思わない?」

「で、でも、ダイ君は自分で否定してたし、逆に、レオン君は自分で『ミーシャ・アイゼンハワーの弟子』て言っていたし……」

「となると、どっちかがウソをついているか、あるいは……」

「あるいは?」

「……どっちもウソをついているか」

「え?! どっちも? なんで?」

「それはわからないけど……でも、その可能性はあるんじゃないかな、てあたしは思う。実際、ダイがウソをついていたとして考えられる理由はおそらく……王族や貴族に利用されたり敵を作ることになるのを恐れてのことじゃないかな」

「リリカ……」


 そう呟くリリカの横顔は少し辛そうだった。


「まあ、ダイがウソをついていたとしたらその理由はわからないでもないけど、でも、レオンの場合は…………理由がわからないわ」

「た、たしかに」

「まあ、レオンが言っていた『英雄五傑(ファイブスター)』の息子っていうのはさっき図書館でダイの調べ物のときに見た貴族の家族構成でみつけたから事実のようだけどね……」


 と、言ってリリカはクレアに上級貴族であるレオンの父親、クリフ・リトバルスキの家族構成のコピーを見せた。


「ほ、本当だ……本当にあの『英雄五傑(ファイブスター)』の息子なんだね、レオン君」

「それで、資料にはレオンの学院入学の記録は確かに『高等部』からになっているんだけど、でもね……ちょっと気になるのが、この公文書のコピーを取ったときなんだけど……」

「え?」


 リリカの話では、そのリトバルスキの家族構成の原本である公文書の紙が、前後ページと比べて『新しい材質』だったとのことだった。


「そ、それって……誰かがそのページの内容を『紙ごと』入れ替えたってこと?」

「……わからない。これはあくまで私の推測ではあるけどね。でも、その可能性はあるかも。あと、ついでに言うとこの学院の今年の新入生で初等部と中等部に通っていない生徒はレオンとダイの二人だけってこともわかったわ」

「じゃ、じゃあ、二人のどちらかが『ミーシャ・アイゼンハワーの愛弟子』ってこと?」

「さあ、どうだろう…………実際、その『ミーシャ・アイゼンハワーの愛弟子』が新入生にいるっていう噂もただの噂でしょ? 信憑性がその程度であれば、その噂自体がただの噂かもしれない可能性がむしろ高いとあたしは思う。でも……」

「でも……」

「その噂が本当であるほうがいろいろと面白そうじゃない?!」

「リリカ……」


 そう言って、リリカはニカッとクレアに屈託のない笑顔を見せる。


「それにさ、あたし個人的にはダイがそうだったらいいな~って思うのよね。実際、可能性も高いと思っているし………………クレアもでしょ?」

「え?! あ、あの……う、うん」


 クレアはコクリと照れながら首肯する。


「だよねっ! ダイの奴バカだけど良いやつじゃん? でも、レオンってさ、何か、凄い爽やかなんだけど…………ウソっぽいんだよね」

「う、うん……」


 これにはクレアもリリカと同意見のようだった。


「別にレオンの悪口を言うわけじゃないけど……ここ数日、お昼のときウチらのテーブルにきて一緒に食べて話している時にレオンって何か隠しているというか、何か企んでいるような雰囲気があるんだよね……まあ、ただの直観だけど」

「う、うん。私もそれはちょっと感じた……かも」


 クレアも同意する。


「あと、これも何となくの感じだけど、ダイには妙に当たりがキツイところがあるな~、て……」

「わかる! すっごくわかるっ!!」


 クレアがリリカの言葉に食い気味に激しく同意した。


「あれ~? ちょっと今の同意は必死過ぎない? クレア~」

「あっ?!」


 リリカの言葉の意味に気づいたクレアの顔がカーッと紅潮する。


「べ、別に、そんなことないも~ん」


 プイッと頬を膨らませてそっぽを向くクレア。


「出た! 天然美少女リアクション! もう、憂い奴め……とぉー!」

「きゃっ! ちょ、ちょっと、リリカ~~っ!!」


 リリカがクレアに飛びついて抱き着いた。


「うふふ……かわいいな~、クレアは~(ほおずり、ほおずり)」

「もうっ! 何かおじさんっぽいよ、リリカっ!」


 しばらくしても離れないリリカに対して、『いいかげんしろっ!』とクレアが鉄拳制裁をお見舞い。


 その後、クレアは気絶したリリカをほっといて一人さっさとお風呂へと向かった。


 こうしてガールズトークの一日は幕を閉じた。



ふぅ~、何とか更新間に合った……。

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