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落とされた後の上がりって、大体良いことの前触れ中編

今週入ってから暑いですねー。個人的には暑い季節って苦手なんですよねー。

 中へ入れば、まとめられたゴミ袋と束ねられた雑誌類が玄関で出迎えてくれた。それらは俺達の足の踏み場を邪魔するように佇んでいる。

 リッコはそれを跨ぎながら部屋の中へと入っていく。その後ろを追うように俺はリッコに付いていく。


「ごめんな、こんな状態で」

「いーや別に。俺がいきなり来たのが悪いんだし。寧ろ悪かったな、最後の仕上げって時に来ちまって」


 リッコはこう言ってるが、多分謝るのは俺の方だろう。いきなり来たこともそうだが、作業の手を止めさせてしまった。


 玄関からキッチンを通り、リビングへ行くと、リッコは普段使っている座椅子へと腰を下ろす。その流れで俺もその辺に置かれていた座布団を下に敷き胡座をかいた。


「しっかし初めてかもしんねーな。お前が掃除してる時に来るのって」

「確かにそうかも。まあ、頻繁にやらないってのもあるけど」

「お前……そこは流石にやろうぜ……」

「ガンちゃんは普段やってんの?」

「俺がやる前にラルがやってくれる」

「あー。ラルちゃんなら分かる気がする。真面目だし、気が利くし」

「その分ちょっと気を使うけどな」


 見渡せば、見違えるくらい綺麗になったというかなんと言うか。

 とりあえず以前来たよりかは遥かに綺麗になっているし、床に埃だったり縮れ毛だったりとかの類いも落ちていない。

 これだけでもこいつがどれだけ頑張っていたかを表していた。


 そしてそれは、隣のキッチンにも言えることで。

 普段はいつ使ったか分からないような皿やコップ等、何かしらが置いてあるシンクも今は何も置かれていないし、それどころかピカピカに輝いている。その横では、これまた指で擦ればキュッキュッとでも音がしそうな食器が並んでいた。


「そういや、お前飯は?」

「あー。夢中になってて忘れてた」

「ちょうどいいや。俺もまだなんだ。だからあれ捨てに行く次いでに買いに行こうぜ」

「……うん、わかった」


 なのにどうしてだろうか。当のこいつからはやりきったっていうような達成感を感じられない。いつものこいつなら、ウザったいほど自慢してくるはずだというのに。


 まあおそらくだが、普段やらないことをして疲れているのだろう。俺はそう解釈して、リッコを買い物へ誘う。

 すると、リッコは何かを躊躇うように間を置いた後、コクリと頷いた。

 うーん、何か悪いことでも言ったか俺。



 ◆◆◆



「――ってことがありまして」


 飯も食べ終え、俺達はベランダで一服をしていた。

 吐いた息は煙色の空へと昇っていき、吸い込まれるように溶け込む。

 それをぼーっと眺めながら、俺はリッコの話に耳を傾けていた。


「で、それが掃除を始めたきっかけになったと」

「……はい」


 恐る恐るというかなんと言うか、何やらオドオドした様子で何があったのかを説明し始めるリッコ。そしてそれが終われば、今度は不安そうな顔をして俺を見据えている。

 けれども、語られたそれがあまりにも馬鹿馬鹿しかったのと、こいつの表情がツボに入り、俺は思わず笑ってしまった。

 そんな俺を見て、リッコは顔を赤くしながら否定した。


「ククッ……フフッ……」

「なっ!? わ、笑うなぁ〜!」

「悪い悪い。けど……ククッ。だからお前は童貞なんだよ」

「……悪いなんて思ってないよね? 絶対思ってないよね!? 寧ろ、ディスりにきてるよね!?」


 そう喚くこいつを無視して、俺は次の一本に火を点ける。そして、こいつが語った話を頭の中で整理した。


 えっと、こいつが可愛いと思ってる女のパンツを覗いていたら、それが本人にバレた。そして、殴られた。

 んで、自らを罰するためと改心するために、こいつはお宝であるあれを捨てるため掃除をしていたと。


 まあなんと言うか……クソ程どうでもいい話だ。

 いやそもそも、そんなことする前に先にすることがあるだろうが。その女に謝るとか、土下座するとか色々あるだろうが。なのにどうして掃除から入った? 

 うーん、ダメだ分からん。こんな時ウルがいれば、話がすんなりと進むのだろうか。


 いや、やめよう。こんなことを真面目に考えているとこっちまで頭が退化しそうだ。

 俺はこれ以上考えることをやめ、リッコに問いかける。


「んで、これからどうすんの?」

「も、も、もちろんルミスちゃんに謝る」

「アホ。あんなおもちゃやエロ本捨てるより、本来そっちが先だ」

「お、おもちゃ……エロ本……くっ……」


 俺がそう言うと、リッコは目を伏せて悔しそうに声を出す。お前……その「くっ」は一体どういう意味だ。まさかこいつ、捨てたことにまだ未練があるんじゃないか。もしそうだとしたら、救いようがないぞ。


「もう捨てたんだ、諦めろ。そして、これからのことを考えろ」

「……うんっ、分かった」


 吸いかけの煙草を消し、俺はリッコにそう言い捨てる。するとリッコは少し考えた後、何かを決意でもしたかのように、一言そう言って頷いた。






だって目が勝手に行くじゃないですか。大小問わず。それで怒られるじゃないですか。大小問わず。んで、ちょっと落ち込みません?大小問わず。


何の話ですかね。それはご想像にお任せ致します。

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