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シナリオ

 ウザかった。心底ウザかった。一年の時から務めていた生徒会に途中から加わってきた彼は私に好意を持って入ってきたのは見え見えだった。顔は整っていたし、サッカー部で活躍しているようだったし、成績も良かった。そして金持ちだ。そんな彼に言い寄られたら、特に好きというわけでもないけど断る理由も無かった。


 周りは私を羨んだ。校内一のイケメンと付き合うということは私に優越感をもたらした。彼と私が二人で校内を歩けば羨望の眼差しが突き刺さる。まあ、妬みも混じっていたけど。


 でも正直、デートも彼のサッカーの試合の応援も面倒で仕方なかった。だって私は彼にあまり興味がないのだ。でも彼は私の自慢なのだ。例えば金持ちがブランド品を見せびらかすのと一緒で、私にとって彼はそれだった。


 でも、ブランド品のような価値のある彼には感情がある。下心もある。やたら手を繋ぎたがったり、触れたがったり、キスをしたがったり……。たった一度のキスを許すと、何度もせがまれるようになった。だから私は人気の少ない場所に行かないように注意した。彼の家に勉強しに行った時は彼の親が居るにも拘わらず、無駄にキスをされ、太腿を触られた時、嫌悪感が私を襲った。ただ別れたくなかった。別れると校内での世間体が悪くなるし、彼のお小遣いでもたらされる食事や買い物は私に幸福をもたらしてくれる。でも、どうしてもセックスしたくない。汚らわしい。


 だから私は彼の性欲の矛先を舞に向けるように仕組んだ。そして高等部に上がると同時に彼と別れる事を決めた。キリがいいと思ったし、彼の性欲をかわし続けるのも限界だと感じた。


 盛りのついたおサルさんに舞の裸の画像を撮るように依頼した。大義名分として『お願いを聞いてくれたら何でもする』と約束した。


 私が用意したシナリオに彼は従った。舞から彼に送られてくるメッセージを私が確認し、返信内容も全て私が考えた。舞の性格を誰よりも熟知している私は彼に恋をさせた。


 彼がそのまま舞の事を好きになってしまっても構わなかった。双子の妹に彼氏を奪われた悲劇のヒロインを演じ、舞を貶めるプランも用意していた。むしろそうなるのではないかと思っていたが、彼は本当に私の言う通り従い、コーヒーに薬を混入させ、眠らせ裸にし、卑猥なポーズをとった舞の画像を私に提出した。それにきっと舞は処女を奪われただろう。私と同じ顔をした裸の女に何もしないわけがない。気の毒に思うけど、寝てる間に行われた事だからきっと大丈夫だろう……。


 この画像が出回ったことで、私は彼の弱味を握ったことになる。なんせ性犯罪を犯した証拠なのだから。だから彼は私に何も言えないはずだ。これで彼とも終わり。


 そして舞も終わり。学校も辞めさせられるだろう。あの時の事、忘れた事はなかった。この私が負けたままで終わるわけがない。どんな思いで今日まで生きてきたと思う。あんたにはわからないでしょうね。暴力に屈し、抜け落ちた髪の毛が散った床に突っ伏し、泣きべそかいて許しを乞いたあの無様で惨めで屈辱的なあの日の事を……。


 この家も追い出そう。舞には管理体制の整った全寮制に行くようにお父さんに進言しよう。きっと納得する筈だ。


 ちなみにお父さんは舞を探しに行ったきり帰ってこない。心配したふりをして帰りを待つのも疲れた。さすがにもう寝よう。今日はぐっすり眠れそうだ。


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