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ポートランド・ルーキーズ  作者: 帆影眠(ぽやしみ仙人)
3・4月編

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8/34

7試合目 本塁打王のデビュー戦



 打神のデビュー戦は三番ファーストで起用され、注目の第一打席はノーアウトでランナーが一塁、二塁で回ってきた。

 初回の攻撃で2点先制されている場面である。

 初球から豪快にスイングして空振り。

 2球目はゾーンギリギリを見逃してストライク。

 3、4球目も外れたボールを見送って共に判定ボール。

 ツーボールツーストライクからの5球目はタイミングを合わせるがファール。

 6球目はゾーンを外れている球を見送ったが判定ストライクで三振。

 だが打神は瞬時にヘルメットを二度叩いてABSチャレンジを要求した。

 ABSとは審判の判定に異議を申し立て、判定が合っているのか自動投球判定システムを用いてチェックすることが出来る制度だ。

 すぐさま液晶ビジョンに結果が映し出され、判定はボールへと覆り場内から歓声が上がる。

 これで三振ではなくフルカウントへ。

 ピッチャーが投げたこの日最速の100マイルを打神は軽々とレフトスタンドへ運んでみせた。


「マジかよ……」


 メジャー初ヒットがホームラン、しかもソロではなく3ランホームランでチームは一気に逆転した。

 これにはベンチも球場全体もお祭り騒ぎ。

 ルーキーズファンがぴょんぴょん飛び跳ねながらあちらこちらで抱き合っている。

 既にサヨナラ勝ちのような様相を呈しているが、まだ試合は序盤中の序盤、1回裏だ。

 しかもまだノーアウトだし……。

 まあ、チームは連敗中だし相手は去年地区優勝しているチームだからそうなる気持ちはよく分かる。

 だが打神のホームランで流れはルーキーズへ呼び寄せたようで。

 続く4番もヒットで出塁、5番は四球を選んで着々と塁を埋めていく。

 ノーアウトなこともあり6番はバントでボールを三塁方向へ持っていく。

 ライン際を転がった打球を三塁手と投手がお見合いしてどこにも投げられずこれでノーアウト満塁。

 攻守が逆の場面なら昨シーズンの日常だったが、ルーキーズが攻撃側でこれほどチャンスが続くのは珍しい。

 7番は打球をライト方向へ飛ばして犠牲フライかと思いきや、ライトがまさかの落球。

 三塁ランナーはもちろん、二塁ランナーもホームへ生還してこれでこの回5点目。

 なおもノーアウト二塁でチャンスの場面だったが8番は三振に倒れた。

 アウトカウントが一つ増えたが、まだ得点圏である二塁にランナーがいる。

 続く9番は初球からフルスイングでセンターに飛ばし、フェンス直撃の当たりとなる。

 もう少し伸びればホームランという当たりに球場は大歓声。

 二塁ランナーは悠々とホームベースを踏み6点目。

 センターが打球処理にもたついている間にバッターは三塁を陥れた。

 打者一巡で1番に戻り、彼はフルカウントからファールで粘ってレフトへの犠牲フライで更に1点追加。

 2番は四球を選んで出塁して、この回二度目のバッターボックスに立つのは先程ホームランを打っている打神だ。

 だが、この場面で投手交代となった。

 この回だけで既に60球近く投げ、7失点と炎上しているので無理もないだろう。

 緊急登板となったリリーフの初球、甘く入ったフォーシームを打神が見逃すはずもなく。

 バットの芯で捉えた打球は高々と放物線を描き、センター頭上のスコアボートを軽々と超えていった。

 その後、打神は早くも強打者として警戒され、三打席目以降は早くも申告敬遠されたのでこの日打神が打ったホームランは初回の2本だけだった。



《用語解説&設定》

・ABSチャレンジ→審判のボールやストライク判定に対するリクエスト制度のこと。各チーム一試合で二回のチャレンジ件があり、判定が覆る(チャレンジの成功)だと回数は減らないが、逆に判定通り(チャレンジの失敗)だと回数が減る

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