表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地味スキル“空気読み補助”で人生が快適になりました  作者: 野山みつ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/48

写真

ショッピングモール二階のアパレルフロア。


「ねぇ紗奈」

はるかがラックから服を引き抜きながら振り返る。


「私ちょっと、いつもと違う系ほしいんだよね」

「違う系?」

「うん。なんか最近、ベージュと白ばっか着てる気がして」


確かに。 はるかは柔らかい色が似合う。

でも、そのせいで“無難”に寄りがちなのかもしれない。


「でも急に派手なのは勇気いるんだよねー」

「あー……分かる」

私は頷きながら店内を見回す。


【同行者衣類選択補助を開始】

視界の端に、服ごとの情報が並び始める。


■淡色ブラウス ・適合率:高 ・印象変化:低 ・本人満足度予測:中

■ネイビートップス ・大人感:上昇 ・対人印象:安定 ・挑戦成功率:中

■くすみブルーカーディガン ・現在気分適合:高 ・自己評価補正:上昇 ・“新鮮さ”推定:高


(自己評価補正か)


はるかはその間にも「これ可愛いけど私には甘すぎるかなー」なんて言いながら服を見ている。


くすみブルーのカーディガン。 派手ではないけれど、 柔らかい色ばかりのはるかには新鮮に見える。


【推奨候補】

・同行者との相性:良 ・挑戦難易度:低 ・印象更新期待値:高


「はるか、これとかは?」 「え?」

差し出すと、 はるかが少し意外そうな顔をする。


「おー青系か」 「うん。なんか似合いそう」

「あー、自分じゃ選ばないかも」

そう言いながらも、 はるかは鏡の前で軽く合わせ始める。

数秒後。


「……んん?」

小さく目を丸くした。


【同行者反応】

・自己認識との差異を確認 ・好感触


「なんか、思ったよりいいかも」 「うん、似合いそう」

青系なのに、 きつい感じがしない。 はるかの柔らかい雰囲気は残ったまま、 少し大人っぽく見える。


「ちょっと試着してくるね!」

「うん」


数分後。

カーテンが開く。


「……どう?」

くすみブルーのカーディガンを羽織ったはるかが、少し照れくさそうに出てくる。


【同行者印象変化】

・大人感:上昇 ・親近感:維持 ・本人満足度:高


「凄く似合ってるよ」

「だよね!これ買うわ!!」

「うん、良いと思う」

「紗奈、選ぶの上手ー!」


嬉しそうに笑うはるかを見て、私まで嬉しくなった。






ショッピングモールを歩いている途中。

「あ、見て紗奈」

「ん?」


吹き抜け広場の一角。

期間限定らしい花の装飾が広がっていた。 白と淡いピンクを基調にしたフラワーアーチ。

中央には小さなベンチまで置かれていて、明らかに“写真スポット”だ。


「あ、可愛いね」

「でしょ!? 撮ろ撮ろ!」


はるかが嬉しそうにスマホを取り出す。

周囲にも写真を撮っている人が多い。

はるかのスマホを受け取り構える。


「じゃ、撮るね」

「お願いー!」


花の前へ立つはるか。慣れたようにポーズを取る。

その瞬間。

【撮影補助を開始します】

「うぇっ」

視界の端にフレームみたいな表示が現れる。


【現在状態】

・背景光量:やや過多 ・顔影率:32%

・推奨: 左へ半歩移動


「はるか、もうちょっい左」

「ん?こう?」

はるかが移動する。


【改善確認】

・肌映り:向上 ・背景バランス:最適化

(わぁ……)


さらに表示。

【同行者表情分析】

・現在笑顔:  “撮影用笑顔” ・自然度:低

(撮影用笑顔って何よ)


「はるか」 「はーい?」

「そのままこっち見ないで、横向いてみて」

「え、こう?」

髪を耳へかけながら、少し視線を外すはるか。


その瞬間。

【自然表情率:急上昇】 【シャッターチャンス】

パシャ。

撮れた。


「いい感じに撮れた」

スマホを見たはるかが目を丸くする。

「え、待って、めっちゃ盛れてない!?」 「そう?」

「凄いよ! 雑誌みたい!」


私は画面を見る。

確かに。 自然光が柔らかく入って、表情もいつもより柔らかい。 “撮られてる感”があまりない。


【成功要因】

・視線逸らし ・口角自然上昇 ・緊張低下

(分析細か……)


「紗奈、写真撮るの上手くない?」 「たまたまね」

「いやいや絶対センスあるよ!」

はるかはテンション高めのまま。頼まれて追加で数枚撮っていく。


その途中。

【同行者感情】

・自己評価:上昇 ・満足度:高 ・撮影継続欲求:高

(そんなことまで分かるんだ……)


「次、紗奈ね!」

「えっ、私はいいよ」 「だめですー。可愛いんだからさ」

ぐいぐい腕を引かれる。

花の前へ立たされる。 途端に落ち着かない。


(写真苦手なんだよな……)

すると。

【被写体緊張を確認】

もぉうるさい。


【推奨】

・顎:-2度 ・肩の力:軽減 ・右手をバッグへ ・“笑おうとしない”を推奨

(最後なんなの)

半信半疑で、言われた通り少し力を抜く。


「紗奈、撮るよー」

はるかの声。

その瞬間、 不意に風が吹いた。

髪が揺れる。 スカートの裾がふわりと動く。


【現在】 ・自然表情発生 ・撮影推奨タイミング

パシャ。


「ヤバい、私も才能あるかも!!」

「……え」

撮れた写真を見せられて、固まる。


自分じゃないみたいだった。

笑っているわけじゃない。 でも表情が柔らかい。

いつもの“写真用の顔”じゃなく、 普通に休日を楽しんでいる顔。


「紗奈めっちゃいいじゃん!」 「そうかも……」

「もう何枚か撮るね!」

はるかが楽しそうにシャッターをきる。


「最後、ツーショット撮ろ!」


はるかが花をバックにスマホを掲げる。

自然と私も笑っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ