第54話 全員集合・・・解散!~さらば、北の国~
ミルテをギルドに引き渡し、ニルとフェンリルはアリスたちのいるルトのアジトに帰っていた。
「だから、ここはお前らの家じゃねぇぇぇぇ。」
ルトは何時にもなく乱心していた。
「狭いんだよ、ここ、こんなに大勢入れる想定してないんだよ。えぇっと、アリス、ロック、エレノア様、ニル、フェンリル、(縛られたままの)マグナ、そして、俺の計7名、明らかに定員オーバーだろ。」
ルトの心からの叫びを無視し、アリスたちは包帯を取ったニルに構っていた。
「すごーい、耳ながーい。」
アリスはニルの耳をまじまじと見る。
「ニル坊の髪質やべぇ。」
ロックはニルの銀髪をわしゃわしゃと撫でる。
「頬っぺたぷにぷにだぁ!」
エレノアはニルの頬を餅のようにぺたぺたと触る。
「ちょっと、みんな、ニルに夢中になる気持ちもわかるけど、ひとまず私の話聞いてくれる?」
フェンリルはアリスたちに問いかけると、アリスたちはピシッと姿勢を正し彼女の話に耳を傾ける態勢に
入る。
「あぁぁ、どうせ俺みたいな胡散臭い新聞記者の話なんか誰も聞かないんだ。はぁぁぁぁぁぁ。」
ルトは部屋の隅っこでいじける。
「えぇっと、あたい、アリスたちのパーティの専属受付嬢になったよ。」
フェンリルは胸を張る。
「専属受付嬢?」
アリスとエレノアとニルは同時に首を傾げる。
「特定のパーティとパーティメンバーのように同行や協力することが可能な受付嬢のことだ。つま
り・・・」
ロックは不意に生じた、突き刺すような頭の痛みに言葉を詰まらせる。
「国境を越えるんだな。これから、フェンリルとお前らが。フェンリルが専属受付嬢になるって、今、
一々宣言するってことはそういうことだろ。」
縛られたままのマグナを小脇に抱えたルトがやっと話に割り込んできた。
「そう、ただの受付嬢なら国境を一緒に越えられないが、専属受付嬢ならパーティが越えられる国境ならパーティの同行を条件として合法的に越境が可能だ。」
ロックは頭痛で顔をしかめ、頭を抱えながら話す。
「じゃぁ、西の国に帰るの?」
アリスは目を輝かせる。
「ごめん、アリス、東の国に行ってほしいの。」
フェンリルは手を合わせ陳謝する。
「目的は行ってから話すわ。とりあえず、馬車に乗って今すぐに出発してもらうわ。」
「えー、この国でこの国らしい何もできてないのにー」
アリスは頬を膨らませ拗ねる。
「とにかく、急ぎの用ってことはわかった。アリス、手早く準備を済ませるぞ。」
ロックはテキパキと部屋にあった荷物をまとめる。
「ルトさん、家貸してくれてありがとね。また、次に会ったらお礼するから。」
アリスはルトに一礼する。
「意外とすぐ会えるかもね?」
ルトは相変わらず胡散臭い笑みを浮かべる。
「ソト、バシャ、キテル」
ニルは外から大きく手を振る。
「あっ、それじゃ。」
アリスたちはルトのアジトを後にして、馬車に乗り込んだ。
「東の国かぁ。一体どんな国なんだろ?」
期待に胸を膨らませるアリスと対照的に、ロックは顔を青くして俯いていた。
(風邪か?最近、無理しすぎたからな。うぅ、やべぇ、意識が途切れ・・・。)
バタッ
「えっ、ちょっと、ロック!」
「ロック様!」
「ロック!」
「えっ、えっ、ロック!?」
ロックは気を失いそのまま、倒れこんだ。
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