第44話 プランA~剣でも鉄砲でも持って来い~
着磁:磁石や磁性体材料に外部から強い磁界を加えることで、全体として磁力を持つ状態になる現象。
教会の前の大通り、彼らはそこにいた。
「エレノア、サガッテ。」
「うん」
ニルは目の前のマグナから目を離さないまま、少しずつ後ずさる。
『魔眼』
(魔力407マナ、間違いない、あの魔力、後ろの仮面の女は王女だ。そして、彼女を庇っている包帯の少年は魔力214マナ。まぁ、負けることはないだろう。)
マグナは腰に掛けた鞘を振ると、彼の周囲に黒い砂嵐が吹きすさぶ。
「クッ、ヤツ、ナニカシテクル。」
ニルは腕から刀身を生やし、構える。
「ほう、お前の生やしたそれは“鉄”の刃か?」
マグナは刀身の無い剣を明後日の方向振ると、その動きに連動するようにニルの刀身が大きく動く。
「クックックッ、そうか。お前のその刀身は“鉄”でできているようだな。まさに俺はお前の天敵というわけだ。」
マグナはまた刀身の無い剣を今度はニルの方向に振る。
ヒュッ
スパっと音を立て、ニルの肩から腰に掛けて一直線に斬れた。
(ナッ、ナンデ、ボクキラレタ?ヤツハ、マアイノ、ソトニ、イルノニ!)
ニルは膝をつく。
「何が起こっているんだって顔してるね。」
マグナは余裕の表情で手元の聖書のページをめくる。
「教えてやろうか?迷える子羊くん」
マグナは聖書で顔を隠し、ニルを見下ろす。
「ハハハ、ボクヲキッテオイテ、セイショクシャ、キドリカ。」
ニルは立ち上がる。
(ん、傷がふさがっている?王女が回復させた素振りもない。まさか、自己治癒能力持ちか!)
「面白い。」
(奴の治癒能力にも限界は必ずあるはずだ。そこを見極める。)
マグナは思うが儘に刀身の無い剣を振る。
ヒュンヒュンヒュン
音を立てて空気を切り裂き、マグナの斬撃がニルに襲い掛かる。
カンカンカン
ニルはマグナの操る磁力によって重みが増した刀身を振り斬撃を相殺する。
(ウゥ、オモイ。ウデ、ヒキチギレソウ。)
「おい、ニル坊」
ニルが振り向くと、ロックは体を石化させ、エレノアを、身を挺して庇っていた。
「こっちは気にせず。奴を攻撃しろ。」
ニルはマグナの方向を向き直し、斬撃を躱しながらマグナに向かって走り出す。
(ヤツノ、ザンゲキノショウタイ、オソラク、サテツヲ、ジリョクデ、カタメタヤイバダ。トウシンノナイ、ヤツノ、ツルギノウゴキヲ、ミレバ、サケルノ、ヨユウ。)
ニルは飛び上がり、腕から生やした刃をマグナに振り下ろす。
しかし、その刃はマグナに当たることはなく、彼の頭上で固定されたように止まる。
「言っただろ、俺は君の天敵だと」
刀身の無い剣をニルに向けて掲げ、マグナは笑う。
「君の刀身は鉄だ。さっき君の刃を磁力で操ったろ。その時、君の刃は磁力を与えられた(着磁)。それを利用して同じ磁力をこの剣から流せば、君の体もとい君の体から出る剣は俺の剣から離れるように反発する。」
マグナは顔を手で覆い笑う。
(シマッタ、コレジャ、ヤツニ、コウゲキ、トドカナイ。)
「ウワァ」
ニルは反発する磁力によって天高く吹き飛ばされた。
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