第40話 クエスト探し~鉄砲の弾は早い~
「ゴメンナヒャイ」
「す、すまん」
ロックとニルは顔をたんこぶ塗れにして、正座をさせられていた。
「ごめんね。あたいも、いきなり飛び蹴りされて驚いちゃって。あはは」
フェンリルは頭を掻く。
(フェンリルさん、驚いたにしては、結構躊躇なく殴ってたけど・・・)
アリスはフェンリルを見上げる。
(ロック様、ニル様、お二方とも手も足も出てなかったですわ。)
エレノアもフェンリルを見上げる。
(この先、こんな強さで大丈夫かしらね。)
フェンリルは四人を見下ろす。
「まぁ、そんなことはさておき、みんなには休んでいる暇ないんだよね。」
フェンリルは自身の体毛から大量のクエスト資料を取り出すと、アリスたちの前に置いた。
(う、ただでさえ疲れてるのに、こんなにクエストやったら死んじゃうよー。)
アリスは無言でロックに圧をかける。
「フェンリル、便利だな、その体毛」
アリスの圧に押されたロックが話を逸らすため、フェンリルの体毛に手を入れる。
「アァァ、アッ、アゥオーン」
フェンリルは喘ぐように吠えた。
「うぉ、なんだこれ」
ロックが体毛から手を引き抜くとその手にはアリスの形を模した木彫りの人形が握られていた。
「・・・・・・」
ロックは黙って、体毛に人形を戻す。
「アォ」
フェンリルの体がビクンと跳ねた。
「・・・・・・よし、お前らクエスト行くぞ。」
「お、おぉー」
気まずい空気の中アリス、ロック、ニル、エレノア、フェンリルはギルド受付でクエストの受注を行うため、馬車に乗り、北の国のギルドの受付に向かうことになった。
「アリス、ごめんね」
しっぽを垂れ下げながらフェンリルはアリスに半泣きで謝る。
「あ、謝らなくて大丈夫だから私全然気にしてないし、それに悪いのは勝手にフェンリルの毛に手を突っ込んだロックだし・・・。」
「ほんとに?」
「本当。」
それを聞き、フェンリルはしっぽをブンブンと振り、涎を垂らす。
「そういえばよ、アリスなんだったんだ、あの殺された浮浪者は?」
ロックはアリスの身を案じ、フェンリルからアリスを庇うように話かけてきた。
「それはね―」
アリスはエレノアに話した内容とほぼ同じ説明をした。
「―っていうこと、わかった?」
「う、うん、まぁ」
ロックは顔をしかめる。
「でもよ、アリス今はその帝国魔術師とやらの顔も名前も、ましてや男か女かさえわかんねぇ。」
「ロックは王国(現帝国)の貴族だったんでしょ。なんか知らないの?」
「さぁな、少なくとも俺が王国で貴族だった時は、魔術師の知り合いなんざごまんといたからな。一々覚えてねぇよ。それに帝国になってから、王家の関係者は軒並み帝国を追放されたんだよ。だから、多分俺や王女様の知らねぇ人間だと思うぜ。」
「そっか・・・」
アリスは悲しげな表情を浮かべた。
「まぁ、あっちから仕掛けてくるのを待つしかねぇよ。」
ロックは大量のクエスト資料を置き、一枚ずつ読んでいく。
「北国グマ討伐、氷角獣の捕獲、雪まつりの手伝い・・・。結構いいクエストそろってるじゃん・・・・・・。」
ロックは資料をめくる手を止めた。
「ロック、どうしたの?」
「おい、アリスこのクエストを受けるぞ。」
ロックはアリスに一枚のクエスト用紙を見せつけた。
「こ、これって、・・・」
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