第41話 敵か?味方か?~ブンヤの一言、金鉄の如し~
「いやぁ、まさか本当に受けてくれるとは思わなかったよ。」
深夜零時、耳がもげそうなほどうるさい酒場でロックとアリスに向かい合って座っている男がわざとらしく笑う。
「あっはははは、先ずは自己紹介といこうか。僕の名前は・・・」
男は二人の前に名刺を差し出す。
「ルト・マイク、僕は帝国新聞社で娯楽記事を書いている。アリス君達の動向をほとんど記事にしているのも僕さ。」
アリスは膝に置いていた拳をギュッと握る。
「心配しないで、君たちのことをずっと監視するほど、僕も暇じゃない。最低限プライベートは守るよ。」
ルトはぼさぼさな頭を掻きながら大きく欠伸をした。
「本題、入ってもらっていいかな?」
アリスは拳に再び力を入れ、ルトに問いかける。
「あぁ、取材協力クエストの話ね。このクエストは、君たちが私に何かネタになりそうな情報を提供するクエストって建前ではあるけど、本音としては僕が君たちに協力したくてね。」
「胡散臭いな。」
ロックは顔をしかめる。
「僕ね、君たちのことを無断で記事にしているわけじゃん。だから、せめてもの罪滅ぼしのために君たちに有益な情報を提供しようかなって思ってさ。それとも、クエストの依頼文通り君たちが僕に情報を渡してくれるのかい?」
アリスはルトに聞こえないよう、ロックに耳打ちする。
「質問は慎重にね。下手すると言いくるめられてこっちが一方的に情報を提供する羽目になりかねない。そのリスクと戦闘になるリスクを考えて、今日は最低限の人数で来てるんだから、口を滑らせないようにね。」
ロックは深く頷く。
「お二人さん、作戦会議は終わったかな?」
ルトは何でもお見通しといわんばかりに不敵にほほ笑んだ。
「さて、何が聞きたい?」
「色々あるけど、まずは帝国魔術師について・・・」
「そんなことでいいのかい?」
ルトは呆れかえる。
「帝国魔術師、おそらく君たちはこの人物を追っているんだろ?」
ルトは青い左目、黄色い右目のオッドアイで神父服を着ている男の姿が描かれた手書きの似顔絵を取り出した。
「帝国魔術師マグナ、磁力を操る魔術師。」
アリスは息をのむ。
(この人、どうして私達が追っている魔術師のことを・・・)
「今、この人物はノリス教会で働いている。いや、潜伏しているって言った方が正しいな。」
ルトは皿に盛りつけられた子枝豆に手を伸ばす。
「マグナに関して知っていることはここまでだ。もぐもぐ、また何か聞きたいことがあったら名刺に書かれた場所を訪ねてくれ。大抵そこにいる。もぐもぐ、ごちそうさん。」
ルトは口いっぱいに豆をほおりこみ、酒場を後にする。
「帝国魔術師マグナ・・・」
アリスはルトのおいていった似顔絵をじっと見る。
彼らから少し離れた席で彼が監視しているとも知らずに。
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