第38話 理屈の魔術師~寸鉄人を殺す~
右ねじの法則:電流を右ねじが進む方向に直進させると、磁場が右ねじの回転方向に向かって生じること。(wikipedia参照)
「もしかしたら、私達とんでもない人に目をつけられたかもしれない。」
アリスは身震いをした。
「ど、どういうこと?」
エレノアは仮面を手で抑えながら、アリスに問いかける。
「魔法には属性というものが存在しているの。火、水、風、雷、岩、派生したものを除いたら基本的にその五つが基礎属性としてある。それで、磁力に関していえば、おそらく雷属性の派生魔術で再現可能なんだけど・・・。」
「だけど?」
エレノアは興味津々にアリスの話を聞く。
「磁力の魔法は、かなり高度な部類の魔法でしかも実践では、ほとんど使い物にならないはず・・・。だって、実際使うとしたら磁界を作るだけでも電流をコイル状に流して、流し方を調整して磁界の向きを調節する必要があるでしょ。そんなことをするぐらいなら、最初から放電攻撃をすればいい話だし、何より効率が悪い。」
アリスは早口でまくし立てる。
「う、うん、私はその回復魔法以外にはそれほど詳しくないけど、なんとなく難しそうっていうのは伝わるよ。でも、それがどうかしたの?」
「おそらく、今回あの男を殺した人物も状況から考えて、磁力を雷魔法で練ったんだと思う。あらかじめ、浮浪者に砂鉄を飲ませて、金でも与えて鉄砲玉として私達のもとに送り出した。そして、用済みになったから、胃の中に入った砂鉄を磁力で凝縮させ、鉄の刃に変えた。そうすることで、自分は姿を見せることなく安全に口の軽い鉄砲玉を始末できる。でも、こんなことできる魔術師なんて少なくとも西の国では聞いたことがない。」
「王国魔術師・・・」
エレノアはふとつぶやいた。
「えっ」
「王国・・・あ、また間違えちゃった。帝国の魔術師、彼らなら不可能じゃない・・と思う。」
エレノアは歯切れ悪く答えた。
「帝国・・・」
アリスはこの単語に飽き飽きしつつ、話をつづけた。
「わかった。一旦ロック達と合流しましょう話はそれから・・・。」
アリスはエレノアを見ると、彼女は声にならない声を上げて腰を抜かしていた。
「フー、フー、ウゥー」
アリスはエレノアとの話に夢中になりすぎて、横にいた息を荒げた雌狼の獣人に気が付かなかった。
「ウゥー、ウォーン」
獣人はアリスにとびかかる。
(マ、マズイ、食べられる)
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