第36話 救命と究明~魔法医は仁術~
「ハッ」
ロックは目を覚まし、勢いよく起き上がる。
「ロック」
「ロック様ぁ!」
アリスとエレノアは同時にロックに抱き着く。
「え、えぇ!」
(あ、あれだきっとここは神様が俺の夢をかなえてくれる死後の世界なんだ、俺死んじまったもんな。てことは、これからロック様のハーレム無双ワクワク逆襲物語が始まっ・・・。ん、待てよ。)
ロックの視界の端にチラリと地面にこびりついた血が写る。
「あれ、そういえば地面がちょっと濡れているような・・・。」
ロックは自分の右手を確認する。
「な、なんじゃぁ、こりゃ」
手は血にまみれ、血液特有の鉄分の香りが周囲に漂う。
「じゃぁ、傷は?」
急いで、ロックは刺されたはずの脇腹を確認する。
「傷がない。」
「あぁ、ロック、それはねエレノア様が回復魔法で治してくれたの。すっごいんだよ。この子」
アリスは目を輝かせて、エレノアをじっと見つめた。
「いえいえ、私なんて初級回復魔法しか使えないですし、それに今回も私ナイフを取り除いて、出血がひどくならないうちに魔法で傷を塞いだだけなんですから。」
エレノアは仮面の下の顔を赤くして照れた。
「でも、こんな傷治せるなら。私達のパーティ無敵じゃない?」
「いえ、私の扱える回復魔法はあくまで初級魔法なので、自分自身は治せませんし、病気や死体はさすがに治せないですよ。」
彼女は自身の能力の制約を説明し、謙遜するが、それを見かねたロックがフォローに入る。
「で、でも、王女様は生まれつき魔力量が半端ないからな。なんと常人の四倍だぞ、四倍。」
ロックは自分事のように鼻を高くした。
「ウッ!」
ニルが縛り上げていた男が突然苦しみだす。
「ミンナ!」
ニルはアリスたちに助けを求めた。
「うぁぁぁぁぁ!」
浮浪者は血涙を流したと同時に血しぶきをあげながら、腹部から刃が飛び出す。
その様子を、長めの黒髪で黒い神父服を身にまとう男が刀身のない剣を持ちながら観察していた。
「フッ」
男は不敵に笑い、黒い砂嵐を発生させると共に姿を消した。
ぜひ、ブックマークを登録して、お読みいただけたら幸いです。




