第35話 ロック死す!~腹八分に魔法医いらず~
「よっこらしょ。」
ロックはエレノアに飛びかかろうとしてきた浮浪者のような小汚い服装の男の首を掴み、そのまま地面に叩きつける。
『部分石化』
ロックは男の首を掴み、地面に押さえつけたまま腕を石化させた。
「グハァ」
男は石化した腕の重みが首に直に伝わったことで、苦しそうに悶え始める。ロックは彼の顔を冷徹な表情で静観した。
「ロック!」
アリスは叫ぶ。彼女の声が病院を揺らし、院内ではお静かにと書かれたポスターが壁から剥がれ落ちた。
「ハッ」
ロックはアリスに目を向ける。
「今だ。」
男はポケットに入れていたナイフを取り出し、ロックから見て右の脇腹に突き刺した。
「うぐっ」
(やっちまった、腹部正面からの攻撃に警戒しすぎて、脇腹の石化での防御を怠っちまった!)
男はそのままナイフを押し出し、痛みに耐えきれなくなったロックは左に受け身もせず倒れこむ。
「ガハァッ」
ロックはナイフを手で抑え、これ以上失血しないように努めた。
「ロック様!」
エレノアがロックに駆け寄ろうと走り出すと、男は彼女に向かってナイフを投げつける。
「アブナイ!」
ニルは腕から生やした刀身で飛んできたナイフをはじいた。
「チッ」
男は逃げようと、ドアの方向を向こうとした。
しかし、
ドッ
男が首を左にひねるタイミングで、男の死角からアリスが顎に渾身の右ストレートを放つ。
アリスはそのまま、男をニルの居る方向に突飛ばし、あらかじめニルはアリスから非常用に手渡された縄を使って男を拘束した。
「う、うぅ」
アリスはロックのもとに走って駆け寄った。
「ごめん、私のせいだ。私が、私が呼び止めなきゃこんなことには・・・。ごめん、ごめん、ごめん・・・。」
彼女はロックの手を取り、ひたすらに頭を下げた。彼女の涙がロックの顔に飛び散る。
「アリス、謝らないで・・くれ。謝るのは・・・、俺の方だ。ごめん、アリス。お前たちに最後まで付き合えな・・くて・・・。」
ロックはそう言って、ゆっくりと目を閉じた。
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