第34話 新メンバーは元王女!?~魔法医上手にかかり下手~
アリスとニルは病院の待合室にある木の椅子に座り、ロックと彼の腕にしがみつく仮面をつけた王女を立たせたまま彼らの話を聞いた。
「で、彼女がロックの元婚約者で元王女、エレノアってことはわかったけど、なんでここにいるの?」
「私、実は自分の影武者によって王国・・・あっ、今は帝国って呼ぶのよね。そこから、五年前に追放されてしまって、今はここの病院で衣食住を保証してもらう代わりに、魔法医として働いています。とはいっても、簡単な回復魔法しか使えないですけど。」
「でも、王女が帝国を追放されたなら、今頃大騒ぎじゃないの?」
アリスは不機嫌そうな顔で質問を投げかけた。
「あ、それは私の影武者・・・というより、私の双子の妹が私のふりをして、五年前から政治を行っております。」
エレノアは少しずれた仮面を両手で直すと、話をつづけた。
「実際、入れ替わりが起こる前は、今や何でも屋や治安維持組織と化しているギルドも各国を繋ぐ同業者同士の同盟組織でありましたし、国境検問も今ほど厳しくなかったですし、東西南北の国のトップも今より力がありましたし、帝国は王国という名前であったですしで、かなり彼女の政権下で国、いや世界が大きく変わりました。ある意味、大騒ぎですね。」
エレノアは仮面の下で悲しげな表情になった。
「そっか、影武者が本物と入れ替わって政治を・・・。それでいて、ロックと同時期に追放されたと・・・。」
アリスはノートにメモをしながら、彼女の話を反芻していた。
「エレノア様は、これから如何なさる御積もりですか?」
ロックは、アリスには絶対に見せない表情でエレノアに顔を向けた。
「ぐぬぬぬぬぬぬ・・・、フンッ」
アリスは口をとがらせそっぽを向いた。
「私はロック様についていきますわ。こうやって、会ったのもきっと何かの運命。もう、離れません。」
エレノアはロックの体に密着する。
「ハワワワワ」
ニルはあまりの出来事に開口したまま、顎が外れる。
「勿論、ロック様にただついていくだけでは、ありませんわ。」
エレノアはアリスたちの方を向いた。
「私の妹、パンドラ、彼女にこれ以上好き勝手にはさせられません。一緒に帝国に行きましょう。アリス様、ニル様」
エレノアはそういうとニルとアリスに微笑みかけた。
「まぁ、いいけど。」
「ウン、僕も」
彼女の純粋そのものの笑みに、二人は絆された。
「ありがとうございます。」
エレノアは深くお辞儀をする。
「あぁ、一つ言い忘れていました。」
エレノアは頭を上げると、しっかりとアリスたちを見つめた。
「私、疫病神なのです。」
ドーン
彼女がそういった瞬間、それを証明するかの如く待合室壁が破壊され、男がエレノアに向かって一直線に襲い掛かってきた。
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