第33話 まさかのあいつにフィアンセ!?~魔法医の不養生~
ロックは廊下でお見舞いに来たアリスとニルを呼び止める。
「よっ、お前ら元気か?」
「それはこっちのセリフよ。大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。この通りピンピンしているぜ。」
「ヨカッタ・・・、アレ?」
「ん、どうした?」
ニルはストーンの居た病室を指さす。
「アイツ、ドコイッタ?」
ロックの目が虚ろになった。
「ロック?」
アリスはロックの顔を覗き込む。その目に彼女は既視感を覚えていた。彼女の師匠イグニス、デリシャを殺した犯人、彼と同じ目をしていた。
「ロック、あんた、まさか!」
ニルはきょとんとして、アリスとロックを交互に見た。
「フタリトモ、ナンカ、コワイ。」
場は一触即発の雰囲気を醸していた。
「あ、あの・・・」
ニルの後ろから、キツネの仮面を被り、藍色のローブに身を包んだ、緑髪の女性が話しかけてきた。
「ナンダ?」
「申し訳ございませんが、廊下を通行する方々のお邪魔になりますので、お話は待合室で・・・」
少女はロックに目を向けた瞬間、仮面の下の瞳孔が大きく開いた。
「ロック様・・・」
アリスとロックは彼女のその一言に衝撃を受け、開いた口がふさがらなかった。
「ロ、ロ、ロ、ロック、様ぁ!?」
「ロック、ナニモノ、コノジョセイ?シッテルノ?」
ロックはニルとアリスから顔を逸らす。
(俺のことを、ロック様と呼ぶ人物は、あの人しかありえない。でも、そんなはずはない。いや、まさか、そんな・・・!)
ロックは自分をロック様と呼ぶ、彼女を注視した。
「あ、すみません。ロック様、仮面外さないと、誰だかわからないですよね。」
そういうと、彼女はつけていた仮面を外す。彼女の見せた素顔は、気品のあることが一目でわかるような奥ゆかしい顔立ちをしていたが、あまり栄養のあるものを取れていないのか、頬骨が浮き出るほど瘦せていた。
「やっぱり、あなただったのですね。王女・・・。」
その言葉を聞き、彼女は喜色満面に溢れた顔で、ロックに飛び込むように抱き着いた。
「あの~、ロック?その~、彼女との関係は?」
アリスは恐る恐る尋ねると、ロックはため息を一つこぼし、複雑そうな表情で答えた。
「元婚約者だ。」
普段から、頭を使って敵を追い詰めているアリスでも、この状況に理解が追い付かず、ニルとともに頭から湯気を出した。
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