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知逆転移  作者: Curry&Rice
第二章 北の国編

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第30話 極悪非道のクソ兄貴~雪の下にも三日~

「ストーン・アーサー・・・。」

「俺の名前を憶えてくれていたのはうれしいが、いきなり呼び捨てかよ。」

「何しに来た?」


ロックの顔が少しこわばった。


「なぁ、ロック、お前五年前のあの事件、今どう思うよ。」

「俺達、アーサー家の遺伝的特質である石化を感染症の症状だとして、帝国にある帝国新聞社がデマを拡散して、貴族であった遺伝的特性で石化能力を持つ、帝国一の貴族であった、俺達の一族、アーサー家を没落させた事件についてか?」

「そう、そうだよ、説明ご苦労さん、俺達の目的は一緒のはずだ。だって、お前、その帝国新聞社に直談判するために帝国を目指しているんだろ。だったら、俺も仲間に入れてくれよ。」


ロックはアリスの方向を一瞬チラリとみる。彼女たちはまだこちらの様子を気にすることなく楽しんでいた。


「いやだな。」


ロックの返事は素っ気なかった。


「そうか、じゃぁ、お前の懐に入って、暗殺するつもりだったが、今ここで殺すことにするぜ。」


ストーンの目の色が変わった。


「てめぇ、最初から、殺す気で俺に近づいたのか!」

「あぁ、そうさ、お前を殺せば、もうすぐ、くたばる親父の遺産は妹の取り分を除けば、俺の元に来るようになるからなぁ。没落したとは言え、ちゃんと残っているもんはあるからよ。残さずしゃぶりつくすために、お前は邪魔なんだよ。『部分石化』」


ストーンは石化した拳で殴りかかってきた。


「『部分石化』、グハッ」


ロックも腕の関節以外を石化させ、対応するが吹き飛ばされ、硬い雪に体を強く打ち付け、倒れた。


「クックックッ、どうした、その程度か?」


ストーンは倒れたロックを石化した足で踏みつける。

(そうだ、全体石化を使えば、こいつの攻撃を完全に防御できる。これなら・・・。)


「おい、ロック、全体石化を使って、俺の攻撃から身を守ろうなんて考えているなら、やめた方がいいぜ。」

(くっそ、ばれていたか。)

「遺産の相続が終わるまで、行方不明になってくれれば、俺はいいんだからな。」


ロックは地面に積もった雪を握りしめていた。


「おっ、どうした?」


ストーンがロックの顔を覗き込む、それと同時にロックはストーンの顔に握って作った雪玉を投げつけた。


「グッ」


ストーンの顔に雪玉が直撃し、仰け反ったと同時にロックは踏みつけられていた足を掴んで持ち上げ、ストーンを転ばす。


「今だ!」


ロックは追撃をしようと拳を振り下ろすが、ストーンに届かなかった。なぜなら、既に仰向けになっているストーンはロックの腕の長さより長い足を、ロックの腹に押し付け、追撃を防いでいるからである。そのまま、ロックの腹に押し付けていた足でストーンが雪に蹴り飛ばす。一瞬、ほんの一瞬すら、この兄弟喧嘩には猶予がないのである。


「てめぇ、やりやがったな。」


激昂したロックは真っすぐストーンにストレートを放つが、避けられ、逆に真っすぐ伸びた腕に逆関節をきめられる。


「『部分石化』」


ロックは関節を逆に曲がったまま、腕全体を石化した。そこから、先は早かった。同じ調子で、ストーンが逆関節をきめる、ロックが石化で防御、逆関節をきめる、石化で防御、きめる、防御。これを全身の関節で行われ、ついにロックの全身は石化してしまった。


「ふぅ、思ったより手間取ったが、これでヨシと。」


ストーンは満足げに全身を石化させたロックをまじまじと眺めている。

その時、ストーンの背後から、巨大な影が伸び、ゴゴゴ・・・と低い音が雪の下から響いた。ストーンは振り返る。


「な、何だとー」


何と、巨大な雪玉がストーン目掛けて転がってきた。

(バ、バカな、さっき盗み聞きした話じゃ、百人で押しても転がらないって・・・)

ドシーン

巨大な雪玉にストーンは石化したロック共々押しつぶされた。


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