第26話 逆転への布石~とけない謎と氷~
過冷却:物質の相転移において、状態が変化する温度以下の温度でも状態が変化しないこと。(wikipedia参照)
(どこだ、どこから撃ってきた?)
無事着地したロックは辺りを見渡す。
すると、周囲に集まる人だかりの中で、明らかに挙動不審で、背中にリュックを背負い、コートを羽織った青髪の青年が立ち去るのが見えた。
「あいつかぁ。」
ロックがアリスをおんぶしながらも、必死に彼を追いかける。
「路地裏に入った。見失ってたまるかよ。」
ズドドド
ロックは路地裏に入った瞬間、腹に氷弾を撃ち込まれる。
「グハァ・・・。なーんちって。」
ロックは既に石化させた腹を見せつけた。
「くっ」
青年は手に持っていた木の水筒から、水を呪文を唱えながら宙に浮かせ、取り出す。
「ロック、多分あれが奴の攻撃の正体だよ。水筒に入れた水を凍らせて、氷弾を作り出して、撃ちだしている。」
「対処法は?」
「水が凍る前に、水の弾ができるだけ動くように、前後に動かず、左右上下にスウェイして。水は止まっている状態なら、凍りやすい。でも、川の水が凍らないように、水に動きを加えると、凍りづらくなる。」
「分かったぜ。」
ロックは全身を使い不規則に動き始めた。
「うわぁ、動きキモッ。」
アリスはフニャフニャしたロックの動きにドン引きしつつも、相手の弱点を探っていた。
(アリスの狙い通り、アイツまったく撃ちだしてこねぇ。よーし、このまま、近づくぜ。)
ロックが急加速をつけて、距離を詰める。
しかし、
ズドン
不意にロックの脚に氷弾が撃ち込まれる。
「う、うぐっ・・・」
ロックは石化が間に合わず、足を抱えるようにして倒れこんでしまう。
「キャッ」
ロックが倒れた拍子に、アリスはロックの背中から離れてしまう。
(しまった、彼の背負ったリュックの中にすでに完成した氷弾がストックしてあったのね!)
「はぁ、はぁ」
青年は、アリスに氷弾を放つため構える。
「ねぇさんの・・・、ねぇさんの仇」
青年は鬼のような形相でアリスを睨んだ。
(ねぇさんの仇?)
青年は怒りに震える手で、水を凍らせ、今までに放った氷弾の中で最も鋭く尖った氷弾を作り出した。
「お前だけは、絶対に許さない」
そういうと、青年は魔力を氷弾に集中させ、無抵抗のアリスに向けて、撃ち出した。
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