第23話 それぞれの日常への回帰と別れ~さらば、西の国~
アリスは布団にくるまりながら、惰眠をむさぼっていた。
「はぁ、なんか最近色々ありすぎて、しばらくは、なーにも、したくなーい。」
「たまには、いいんじゃねぇか。そういうのも。」
「オレ、カニュウシテカラ、ヤスミナシ。」
各々が完全に休眠態勢に入る中、ミリナが宿のマスターキーを使って、勢いよくドアを開けた。
「皆さん、聞いて下さい。」
「いやだ。」
「やだね。」
「イーヤーダー」
三人は一斉に首を振った。
「そんなこと、言わずに聞いてください。北の国でミルテ・カイラスを目撃したという情報が入ってきました。」
「ミルテ・カイラス?」
「誰だっけか?」
「・・・アッ、ボクノトウヲ、ツカッテ、ワルサシタヤツ」
ニルは起き上がる。
「初心者狩りのあいつか!」
ロックはベッドに埋めていた顔を起こした。
「でも、それが私たちに何の関係があるの?」
アリスが布団からひょっこりと顔をのぞかせる。
「実は、ミルテの偽クエストを受けて、行方が分かっているパーティはアリス達のパーティしかいないんです。だから、ギルド本部から北の国に行ってあなた達に調査してほしいと依頼が来ていまして・・・、丁度Cランクになって、国境も越えられますし。」
ミリナは少し寂しげな表情を浮かべつつ、あくまでギルドの受付嬢として彼らに淡々と伝えた。
「どうする、アリス?」
「今、断る理由、考え中」
「だそうだ。ニル坊は?」
「ボクハ、イキタイ。カレノ、モクテキ、シリタイ。」
「ちなみに、俺も北の国行くことには賛成。」
ロックは、天を突くように、真っすぐ手を挙げた。
「結局、行かない理由が見つからなかったから、私も賛成で。」
アリスは、控えめに手を挙げる。
「じゃぁ、決まりね。早速、明日馬車で北の国まで出発してもらうから、準備宜しく。」
そういうと、ミリナは部屋を足早に飛び出した。別れに悲しむ、彼女の涙をアリスたちに見せないために。
朝日が昇る、その日は三人の門出に相応しい雲一つない晴天だった。アリスたちをのせた馬車はミリナに見送られながら、西の国と北の国の国境を目指し、進んでいく。
この道の先に何が待っているのか、彼女たちはまだ知らない。
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