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第20話 愉快な旅路

累計10000PVありがとうございます!!

 ログインすると同時にシステム通知のチャット音が鳴った。ドラセナからだ。


『やあ料理人君! 準備できたら鍛冶師ギルドまで来て!』


 俺はまず黄金の鍋へと足を運び仕込みをしていたガランへ声を掛けた。


「ガランさん、おはようございます! ドラセナさんのレイドに同行するため、何日かお店を休ませてもらいます!」

「おう、いって来い! 外の世界には、この街じゃ拝めねぇ珍しい食材や魔物が山ほどいる。無事に帰ってきて、何か面白いレシピでもお土産に持って帰ってこいよ!」

「はい! 行ってきます!」


 気前よく背中を押してくれるガランに深く一礼し、俺は送られてきた地図を頼りに街の西区画へと向かった。


 復興作業がゆっくりと進む混沌とした街並みを抜けると、突如として圧倒的な存在感を放つ建造物が現れた。完全に修復を終えた鍛冶師ギルドハウス。無骨な鉄骨と歯車が組み合わさり、巨大な煙突から薄く蒸気を吐き出す精錬された建築デザインは、思わず見惚れてしまうほどに格好いい。


 ギルドハウスを見上げて立ち尽くしていると重厚な鉄の扉が開き、ドラセナが顔を出した。


「おお、料理人君! 早かったね、さあ入って入って!」

「失礼します……!」


 足を踏み入れた瞬間、そこはあまりにも賑やかで個性的な空間だった。

 カンカンと心地よい金属音が響き渡る中、飛び交う火花。そして何より、そこに集うプレイヤーたちの格好が凄まじかった。


 フリフリの衣装を着た魔法少女、特撮ヒーローのような全身甲冑、クラシカルなメイド服、リアルな熊の着ぐるみ、さらには筋肉を魅せるための水着姿や、ビシッと決めたスーツ姿まで――自由すぎるVRMMOの文化がそこには凝縮されていた。見ているだけでまったく飽きない。


 案内されるがまま奥の応接室に入ると、そこにはずんぐりとした体格の赤毛のドワーフNPCがドカンと座っていた。


「料理人君、座って座って。このおっちゃんは鍛冶師ギルドの受付をやっとるコウ・モリランさん」

「ドワーフのモリランだ」

「はじめまして、料理人のペンタスと申します」

「ほう、ペンタス君か。……ロメリアの嬢ちゃんは元気にしとるか?」


 モリランが気さくに尋ねてくる。


「はい! ギルドハウスはまだ半壊状態ですが、笑顔を絶やさずに受付を頑張ってくれています」


(まあ……受付に来るプレイヤーなんて、俺以外に一度も見かけたことがないんだけど……)


 心の中でそっと補足を加えつつ答えると、モリランは満足そうに「ほうかほうか、それはよかった」と目を細めた。


「それでな、わしらはこれから新人研修のためにレイドに向かおうというところだったんじゃが、セナ嬢がどうしても連れて行きたいプレイヤーがおるといってな。ペンタス君は優しそうな人でよかったよ。どうかうちのちびっ子たちと仲良くしてやってくれ」

「はい! こちらこそよろしくお願いします!」


 ドラセナさんが「ふふん」と誇らしげに胸を張り、本題に入った。


「それじゃあ、今回の予定について説明するね。うちらが向かうのは、火山地帯に生息するレイドボス岩の巨人(ロックオブタイタン)の討伐。で、料理人君には現地での補給係を頼みたいんだ」

「補給係……つまり、料理を作るということですね?」

「そう! 君がこの前作ってくれたカクテルやシャーベットあるじゃん?あのバフが結構優秀だと思ってね」

「なるほど、理解しました! ただ……手持ちのシュガースライムの在庫が切れているので、途中で少し狩る時間をいただいても?」

「スライムの群生地は道すがらにあるから寄っていこう! よし、じゃあみんなに紹介するね!」


 広場に集まった大勢の鍛冶師プレイヤーたちの前に立つ。


「みんなー! この人が今日からお世話になる料理人のペンタス君だ!」

「よろしくお願いします、ペンタスです!」

「「「よろしくおねがいしまーす!!」」」


 こうして、俺たちの珍道中とも言える大行軍が始まった。


 街の中を通り過ぎる行列に周囲のプレイヤーたちが一斉にざわつき、視線を注いでくる。


「おいおいなんだあれ……コスプレ大会か!?」

「やばい、スクショ撮っとこ!」

「マジカルアメジストー! ピースしてー!」


 声をかけられた魔法少女姿のプレイヤーが、ノリノリで「はーいっ☆」とファンサービスを決める。


「うおおお! タイガーオーキッドがいる!! 再現度高すぎだろ!」


 特撮ヒーローの姿をしたプレイヤーが重厚な効果音が聞こえてきそうなキレッキレの決めポーズを披露していた。


 しばらく歩くと、緑豊かなスライムの群生地に到着した。

 俺はドラセナに手伝ってもらい、片っ端からシュガースライムをカチカチの氷塊に変えていく。すると、水着や裸に近い格好をした筋肉ムキムキのプレイヤーたちが、大喜びでそれを運搬し始めた。


「お前のマッスル、なかなかやるな!」

「お前こそ、今日も大胸筋が輝いてるぜ!」

「僧帽筋の仕上がりが完璧だ」


 頭からスライムの冷たい体液を浴びてテカテカと筋肉を光らせる彼らに、ドラセナが「コラ一! 遊んでないでサッサと運ぶ!」と一喝。


「イエッサー、マム!」


 ビシッと敬礼して従う姿はまるで遠足に行く小学生と付き添いの先生だ。思わずクスッと笑みがこぼれてしまう。


 ――さらに歩を進めること数時間。

 周囲の緑は急速に姿を消し、ゴツゴツとした黒ずんだ岩肌が目立つ過酷な地域へと景観が変わっていった。


 鼻を突くツンとした硫黄の臭い。空気そのものがジリジリと肌を焼く熱気を帯び、視界の先には、時折ドカンと火柱を吹き上げる巨大な火山地帯が姿を現していた。


「よし、今日はここで野営だ! 脚も疲れただろうし、明日の本番に向けて準備を整えよう!」


 ドラセナの声で、一行は設営を始めた。

 遠くの山頂付近から、ゴゴゴ……と大地を揺らす地鳴りのような重低音が響いてくる。一瞬、火口付近の煙の奥に、何かの影が揺らめいた気がした。


【フラミス】サービス11日目 雑談スレ Part4


 0812:名無しのバーバリアン

 なあ、今日街を出ていった謎のコスプレパレード見た奴いる?


 0813:名無しのバーバリアン

 見た見たwww 魔法少女と特撮ヒーローとマッチョが練り歩いてて目立ちすぎだったろwww でも装備の再現度がエグかったわ。


 0814:名無しのバーバリアン

 あれでどこ行くんだろうな?


 0815:筋肉のバーバリアン

 鍛冶師ギルド総出のレイド遠征だぞ。火山エリアの大型ボス討伐らしい。


 0816:名無しのバーバリアン

 えっ、鍛冶師だけでレイド行くんか? 戦闘職混ぜなくて大丈夫なんか?


 0817:筋肉のバーバリアン

 いや、なんか一人だけ助っ人として同行してたみたいだぞ。


 0818:名無しのバーバリアン

 へーそいつは相当強いんか?


 0819:筋肉のバーバリアン

 火力じゃなくて補給担当らしい。


 0820:名無しのバーバリアン

 てかお前、前まで木こりガチ勢じゃなかったっけ? なんでそんな詳しいん?


 0821:筋肉のバーバリアン

 それがさ、マッスル友達から誘われて鍛冶師ギルドに行ったらこれが意外と楽しすぎて転職したわwww 見てくれよ、俺が今回打った試作品の彫刻。

 [画像」


 0822:名無しのバーバリアン

 え、すごっ!? てか筋肉のくせにこんな繊細な彫刻彫れるのかよwww


 0823:筋肉のバーバリアン

 自分でも才能あるかもしれないと思ってな。


 0824:名無しのバーバリアン

 シンプルにその彫刻欲しいんだけど。売ってくれん?


 0825:名無しのバーバリアン

 おう、いいぜ!手渡ししたいからレイド帰ってから。


 0826:名無しのバーバリアン

 まじか! ありがと! ほなレイド頑張ってこいよ!


 0827:名無しのバーバリアン

 おうよ!

最近、とても暑いですね。皆さんも熱中症にはくれぐれも気を付けてください!こまめな水分補給を忘れずに!!

ロックオブタイタンって翻訳すると巨人の岩らしくてちょっとおかしいかもしれないんですけど、ロックタイタンよりなんか強そうだったのでオブを入れちゃいました。

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