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呪い姫を抱きしめたら月詠の導師に覚醒したので、王子を〆て姫を救う旅に出ます  作者: 輪三


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聖雷山の聖導師

1階に降りるとラヴィニア様と一緒に助けた巫女見習いの1人が

待っていた。


「おはようございます。リョーマ様、お迎えに参りました」


こちらも挨拶を返していると、すぐにフェリ様達も来たので

挨拶もそこそこに、2台の馬車で移動となった。

時間にすれば15分もかからずに、聖雷山入口に着いた。


やはり各聖山ともおもむきが違うようで、聖雷山には巨大な山門が

据え付けられ、少し威圧的な感じがあった。

ここからは徒歩ということだった。


山門には参拝者だろうか訪れる人は多く、獣人族の他に人族、

ドワーフ、エルフや海が近いせいか手脚に青い鱗が生えた

人鱗族などもいた。


また道着を着て山門から山道へ駆け上がる者なども多数見受けられた。

訊ねてみるとラヴィニア様が丁寧に教えてくれた。


「聖雷山は武術が盛んでして、槍術と魔闘術とそれぞれの大きな道場が

あります。ですから世界中から入門者が集まり修行にはげまれています」


「なるほど、聖月山では魔術が盛んで魔術学校などがありました。

各聖山それぞれの特色があるのですね」


するとルバが口を挟んだ。


「わしのいた聖岳山はドワーフの国の御山じゃからな。鍛冶や細工など

工房が盛んじゃったぞ」


などと話しながら歩いていく。フェリ様とコレットには二足歩行の

蹴り鳥という大きな鳥の背に揺られていた。これは脚の弱い参拝者を

乗せるために訓練された大鳥で、手綱を持ちの人が随伴ずいはんしていた。


ちなみにルルはフェリ様の膝の上で丸くなっている。

やがて中腹に差し掛かると左右に大きな建物が見えた。


「あれが槍術と魔闘術の道場です」


それぞれの道場の前には野外演武場のような石畳があり、修行者だろうか

多くの者が鍛錬をしていた。

すると右側にある槍術道場の方から見知った2人が現れた。


「リョーマ様!」


大きく手を振ったのはリシェルナ様と笑顔でたたずむソレスタリア様だった。


「来たかリョーマ。丁度いい、槍術道場の中に来い。面白いものが見れるぞ」


そう言うとさっさと中に入っていった。

顔を見合わせ戸惑いながらも後を追った。

ラヴィニア様は少し困り顔だ。


道場の入口に来ると喧噪が聞こえた。

数人の男達が1人の男を囲んでいた。


「だから、言っているだろう。遥々《はるばる》最北のブリリアント王国から

来た、『国選勇者 炎槍のバリアント』とその仲間達だ。お前が聖導師なら、

俺の実力を見れば真の勇者だと気付くはずだ」


そう言った赤髪を長く伸ばした男は深紅の槍を構えだした。


「納得できないなら、俺の腕を試せばイイだろう。そうすれば真の勇者

だとわかるはずだ!それとも奥の院という所に連れていってくれても

イイぞ」


黙って聞いていた男は濃い紺色の毛並みの狼の獣人だった。

背が高く堂々たる体躯だが、引き締まっていていかにも俊敏そうだった。

そして紺色の毛色だが顔の辺りに一房だけ金色の毛並みだった。


「ソレスタリア様、あの方はもしかして・・・・・」


「うむ分かるか?そうだ今代の聖雷山の聖導師『雷鳴の導師ヴァルレオン』

だ」


ヴァルレオンはあからさまに大きな溜息をついた。


「あのなぁ、お前のような手合いは掃いて捨てる程来るんだよ。

毎回毎回懲りもせずな。いいかよく聞け、聖導師は真の勇者を選ぶ

と言うがな、別に勝負をして勝った負けたで決めるんじゃねえ」


「じゃあどうして決めるんだ!」


「ジジイが言っていたが、感じるらしいぞ。近くにいくと分かるんだと。

だがお前からは何も感じねよ。それに今回は因果である神獣が真っ先に

反応するって言っていたぞ。なぁボルク!」


すると道場の奥からチョコチョコと一匹の獣が歩いてきた。

それは金色とベージュ色の毛並みの狸だった。

ボルクと言われた狸は欠伸をすると、後ろ脚で首筋をきだした。

だが突然顔を上げ、鼻をスンスンすると「フォゥー」と一鳴きして走り出した。


「ほら、俺を見て反応した!来い、俺が真の勇者だ!」


そう言ってバリアントは手を広げた。


「ウソだろう!」


ヴァルレオンが驚いている。

だがボルクはバリアントなど見向きもしないでこちらに駆け寄ってきた。

フェリ様に抱かれていたルルが突然顔を上げ、飛び出した。


「アっルルちゃん、待って!」


フェリ様が慌てている。

だがルルは飛び出すと駆け出しボルクの元に走った。

そしてお互いゆっくりと近付くと、鼻をスンスンしお互いのお尻の辺りの

匂いを嗅ぎ合っている。やがて「ルル!」「フォゥー!」と一鳴きすると、

お互いの顔の辺りを舐めあい、走ったり取っ組み合てじゃれだした。


「ヤァーー可愛いーーもふもふがじゃれ合っているの」


アヤメの目がハートだ。


「ヤバイ、癒される・・・」


「おおーたまらん・・・可愛いぞ!」


回りもほっこり癒されていた。

だが1人反応が違う男がいた。

ヴァルレオンだ。練習用の木槍を小脇に抱えながらこちらに近づいてくる。


「ソレスタリア様、こいつもしかして・・・・・・」


オレをじっと見つめている。


「そうだ。今代の聖月山の聖導師、『月詠の導師リョーマだ』」


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