フェリ様の戸惑いと恐れ
結局、あの後リシェルナ様が昼食をご一緒にとか言っていたが、
調べものをすると言ってソレスタリア様がさっさと奥に引っ込んだ
ので辞去してきた。
宿に戻る道、皆で今後の展望が開けたことを、喜び会話も弾んだ。
「でも、作るって一体どんな材料が必要なんだろうね?」
マリアの疑問に皆で顔を見合わせた。
「想像もできませんね。どこかの研究所に依頼するとか言って
いましたが・・・・・」
アヤメも首を捻っている。
チラっとフェリ様を見ると、少し考え込んでいるようにも、心
ここにあらずという感じもした。
「フェリ様、大丈夫ですか?」
「・・・・・アっ、いえ何でもありません・・・・・」
オレがジっと顔を覗き込んでいると、微苦笑を浮かべた。
「ごめんなさい、リョーマ。少し展開が早すぎて・・・・・その
頑張ってくれている皆には悪いのですが、正直、半分諦めている
ところはありましたので・・・・・・」
そうだよなと思っていると、フェリ様が小さな声でつぶやいた。
「本当に信じて良いのか、これで希望を持って、もしダメっだら
と思うと・・・・・怖くて・・・・・」
オレはそっとフェリ様の手を握った。
「大丈夫です。きっと、できます!もし不可能だったらオレが『深奥迷宮』に潜って探してきます!」
オレは努めて明るく言った。
反対側にマリアが抱きついた。
「そうだよ姉様、きっと作れるよ!信じてみよう」
「もし、あの賢者がやっぱりできませんとか言ったら、私が〆ます!」
アヤメが拳を握っている。
「まあ!アヤメまで・・・・・」
と言ってフェリ様が笑い出した。
「皆、ありがとう存じます。そうですね、前の先の見えない、勇星教団に
狙われる絶望的な状況から考えれば、希望が持てますものね」
そう言うとまた黙り込んでしまった。
皆も何となく気づまりになり、黙って宿に戻った。
誰しもが内心の不安を押し殺していたのだ。
『もしできなかったら』という不安を。
少し疲れたので休むと言ったフェリ様はコレットを連れて部屋に下がった。
色々考えてしまうのだと察して静かに見送った。
この後は時間がポッカリ空いたが、とてもどこかに行こうかという
感じでもないので各々自由に過ごそうということになった。
宿にはルバの伝言が届いており、今夜はドワーフの工房に泊まるという
ことだった。
部屋に戻ったがやることもなく、夕食をと呼びにきたアヤメに起こされる
まで眠ってしまった。フェリ様の部屋で夕食をとったが彼女はまだ眠って
いて起きてこなかった。少し沈んだ夕食となったが、アヤメに勧められ
雷酒を飲んだところ、すぐに酔いつぶれてしまい気付けば朝になっていた。
朝食のためにフェリ様の部屋に行くと、皆そろっていて、フェリ様にも
笑顔で挨拶をされた。一見すると元気になったようで安心する。
ルバも来ていて、昨日1日かけて作った器具を試しているところだった。
それはレンズの入っていない眼鏡のような形をしていた。耳と鼻で金属
のつるを固定し、そこから薄布が垂れるような物だった。
見事に口元は隠れ、食事の時にフェリ様の顔の爛れを見えない作りだった。
「素晴らしいです!ルバ、本当にありがとう存じます」
「スゴイねルバ!姉様のためにありがとう!」
「これは折りたたむこともできるのですね。姫様のお食事の時の
負担が減ります。ルバ様ありがとうございます!」
コレットも感動していた。
オレも礼を述べると、ルバは面倒そうに手を振った。
「よいよい。わしも出来ることをしたまでじゃ。皆が仲間のために
それぞれ尽くせば良いのじゃ。腹が減った!飯にしようぞ」
照れ隠しかさっさと食べ始めた。
昨日の夕食と違い、笑顔が溢れる食事となった。
食事も済み、お茶を飲んでいるとフェリ様が話出した。
「皆、昨日はごめんなさい。急に色々動き出して戸惑ってしまいました。
でもルバ様がこのような素晴らしい物を作って下さったように、皆が
私のために力を貸してくださるのに、信じなくてはいけない
ということにようやく気付けました。
これからも至らぬ私ですが、どうかお助けください。
そしていつか皆様の力になれるように私も努力したいと思います」
そう言うと頭を下げられた。
オレは拍手をした。何か言葉より良い気がしたから。
皆も同じように拍手をしてくれた。
フェリ様も照れくさそうだ。
ルバが小声で訊ねてきた。
「治す手立てが見つかったのか?」
「はい、まだ詳細は分かりませんが、『神代の雫』を作るという
ことになりました」
「なんと!それはスゴイ、流石賢者じゃな。ワシも当然手伝うぞ!」
などと話していると、宿の者が先ぶれが来た旨を伝えてきた。
1時間後に馬車で迎えに上がるということだった。
新しい作品をカクヨムにアップします。
タイトルは
『飛行船は神の御座船、ペットは神獣ケモ耳娘天使付き、
神様、話が違うのですが・・・』
をお送りします。
これは同じ『真勇魔討』の世界でリョーマの話とリンクしクロスしています。
それぞれの話に新作の主人公が関わり、リョーマの話の中にも新作主人公が
重要な役を担います。
そして今回の1話目は今のリョーマが目的を果し、いよいよ本来の聖導師
としての役目である『真の勇者探し』に出ている頃のお話です。
是非こちらもお楽しみください!
下記URLからどうぞ。
https://kakuyomu.jp/works/2912051601575450709/episodes/2912051601665628998




