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呪い姫を抱きしめたら月詠の導師に覚醒したので、王子を〆て姫を救う旅に出ます  作者: 輪三


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雷鳴の導師ヴァルレオン

「お前が今代の月詠の導師・・・・・・」


ヴァルレオンがそうつぶやきジっと見つめてくる。

やがてニカっと男くさいが人好きのする笑みを浮かべた。


「リョーマと言ったな、俺はヴァルレオン・オルグレン

・ギルヴォルクだ。雷鳴の導師だ!」


そう言うとがっちりとオレの手を握り、肩を叩いてきた。


「はじめましてリョーマ・マークスです」


オレが慌てて答えると


「オオーよく来た、歓迎するぜ!他の聖導師に会ったのは、初めて

だぜ!」


そう言うとまた肩をバンバン叩いて、豪快に笑いだした。そして


「おい、みんな聞け!こいつはリョーマ、聖月山から来た今代の

月詠の導師だ!」


回りが「オオーっ」と騒めいている。


「月詠の導師様!」


「スゴイな二人の聖導師がそろったぞ!」


「黒髪だな。あー確かに一房の銀髪だ。黒髪?東方出身か?」


「あら、若いわね。でもフフフ、可愛い顔しているわね」


回りは割と好意的な声だった。

ヴァルレオンがオレに肩を組んできた。


「お前は幾つになる?」


「15歳です」


「そうか、俺は18歳だ。聖導師に覚醒して2年になる。という

わけで俺は先輩な!兄貴と呼んでイイぞ!」


そう言うと豪快に笑い出した。

少し強引だが、嫌いではないなと思った。

裏表が無い性格なのだろうか。


「よし決めた。お前の歓迎会をするぞ!今から行こう」


そう言って肩を組んだまま歩き出そうとする。

困惑顔のラヴィニア様が口を開こうとした時だ。


「待て待て待て!貴様ら、俺を無視すな!そこで

じゃれている神獣とやらにもう一度しっかり見せろ」


怒りに震えながら怒鳴ったのはバリアントだった。


「何だ貴様、まだいたのか。とっとと帰れ、てめえは真の勇者

じゃねよ」


そう言うとシッシと手で払う仕草をした。


「ふざけるなーーーーー!」


怒ったバリアントが猛然とヴァルレオンに突きかかる。

それを何なく躱していなしている。


「はぁー・・・。しょうがねえな」


それだけ言うと後方に大きく3回ほどバク転をして距離を

取った。


「おい槍!」


叫ぶと門人だろうか、ヴァルレオンに稽古用の槍を投げて

よこした。

それを無言で掴むと、軽く頭上で回転させ構えをとった。


「ようやくやる気になったか!」


「バカ。面倒くさいからさっさと分からせてやるだけだ」


そう言うと無造作に槍を構えた。

するといつのまにか、隣にきたソレスタリア様がオレに一言告げた。


「リョーマ、よく見ておけ」


そう告げ、ソレスタリア様は懐から片眼鏡モノクルを出し、右目に

装着した。


オレは凝視した。


「いくぞ!」


バリアントが突っ込もうとした。

だが


「グハっ・・・」


腹を押さえて倒れ伏したのはあバリアントだった。

そのまま気を失っている。


「すげー!」


「いつの間に・・・・。


「まったく見えないうちに!」


「流石ヴァルレオンの兄貴だぜ!」


周りが騒いでいる。総じて皆見えていないようだ。


「リョーマ見えたか?」


「はい、踏み込みと突きが一瞬でしたね」


一応は見ることができた。ただオレの銀眼でも、かろうじて

見れた程度だった。流石、雷鳴の導師。

すさまじいまでの速さだった。


「さあリョーマ待たせたな。行こう・・・・」


「お待ちください!」


ラヴィニア様が割って入った。


「ヴァルレオン様、本日リョーマ様達をお迎えに上がった

のは座主様達との会談があるからです」


「・・・そうか、そうだよな・・・わりいラヴィニア!

よし、俺も行こう」


そう言うと練習用の槍を門人に渡した。


「リョーマ様、参りましょう!」


ようやく案内できるとホっとした顔でラヴィニア様が先導した。

オレ達も続いたがすぐ後ろにはヴァルレオン様が続き、しきりに

話かけてきた。


「こちらになります」


そう言って着いたのは道場から5分も行かない距離にあった

平屋の屋敷だった。

多分聖月山で言うところの中屋敷なのだろう。


ずんずんと中に入り、奥の扉の前で「お客様を御連れしました」

との声に、扉の中からの返事を受け、通された。


「失礼します」


それだけ言って、皆で中に入ると6人の男女が待っていた。


「よく参られましたね。さあそちらにお座りになってください」


そう告げたのは先日、村長の家で会ったカーナフィー副座主様

だった。


「では」と言い、フェリ様が隣に来るのを待ち、席を引きお座りに

なってから席についた。皆も席に着く。

ラヴィニア様も聖雷山側の端の席に座り、ヴァルレオン様は

座主の後ろに立っている。


「リョーマ様、先日以来ですね。少しは旅の疲れは取れましたかな?」


そう言ったのは、同じく村長に家で会ったラヴィニア様の兄で神官長

でもあるラウール様だ。


「はい、ご紹介いただいた宿がとても快適でして」


などと答えていると、ふと気付いた。

ソレスタリア様と中央に座る老人、恐らく座主様だろうか、二人が

にらみあっている。なぜだろうか?


「では僭越せんえつながら私が紹介させていただきます」


そう言ってラウール様が疑問に思っているオレを置いて、紹介を

始めた。


「中央に座るのはここ聖雷山の座主のガルザン・オルグレン

・ギルヴォルク」


こちらを見て軽く頷いた。灰褐色の毛色の狼耳の老獣人だった。

獣人だと分かりにくいが、かなりの老齢に見えた。だが今だ

眼光は鋭く気難しそうな雰囲気がした。ヴァルレオンと同じ姓だ

身内なのだろう。


「カーナフィー副座主とは私共々ご存じですね」


そう言うとカーナフィー様が優し気な笑みで


「またお会いできて嬉しく存じます」


と温かみのある声音で言われた。

あの気難しそうな座主と良いコンビだな、などと思ってしまった。


紹介は続く、司祭長に聖雷山の兵団である雷霆団団長、そして

フォクシリア族族長と紹介された。これはラヴィニア様達の父君

だった。


こちらはラヴィニア様が紹介がをしてくれた。

こうして会談が始まった。

最初は和やかだった。


最初はだ。


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