解呪の方法
「エっ、本当ですか!」
オレは思わず身を乗り出した。
解呪師ではダメなのにどうやって?
「まず、私が長年研究してきた呪いの解呪薬を試す。ただこれは汎用性が
高いが、効果は強くない。先程殿下の呪いの受けた皮膚の一部を採取した。
それを1日培養してから試す。ただ期待をするな、恐らくは効果が無いだろう」
皆が固唾をのんで次の言葉を待つ。
「ここからが本題だ。今回の呪いはもちろん、石化、部位欠損、猛毒、病気など
あらゆる状態異常に効果もある薬があるのを知っているか?」
皆が顔を見合わせる。
考えてみる・・・・・。
1つだけ思いつく物があった。
ただ伝説の類の物だが。
「神代の雫でしょうか?」
「そうだ」
「神代の雫?」
フェリ様やマリアは納得顔だが、他の面々は首を傾げている。
オレはたまたま聖月山の書架で読んだ、伝説の話の中に出てきたので
知っているが、知らない者の方が多いだろう。
「神代の雫は手に入るのですか?」
マリアが勢い込んで聞いた。
「正直、難しい。殿下達は知識と知っていたようだが、失礼ながら
アークレイン王国位の小国では所持しておるまい。違いますかな?」
2人は顔を見合わせ、頷いた。
「だろうな。世界3大強国でも所持は怪しい位だ。ちなみに女王曰く、
この国にも無いということだ。帝国か櫻倭国辺りならあるいはな」
「じゃあそれを譲ってもらえるように願いでるしかないということですか?」
オレの問にソレスタリア様は静かな声で
「何を対価に出せるんだ?」
と言われた。
オレは黙るしかなかった。
「全ての状態異常を治せるとしたら、その価値はどうだ?量りしれないとは
思わないか?恐らく白金貨100枚でも買うことは叶うまい。そして帝国辺り
が所持していたとしても、皇族に使うために大切に保持し続けるだろう。
譲ることは考えられない」
その通りだと思った。
「じゃあ手に入れる方法は無いのですか?そうだ迷宮とかで宝物としてとか?」
「そうだ、現状それが元手を無しに手に入れる、もっとも可能性があること
だが・・・・・・」
とても希望が持てる言い方ではない・・・・。
「正直、その辺にあるダンジョンでは出ないだろう。私も常に関心を持って情報を集めているが400年以上生きていて出たのはただ1度だけだ」
「それは?・・・・」
「禍つ国との国境付近にある『深底の迷宮』
で我らが見つけた」
「本当ですか!それは今どこにあるのですか?」
「もう無い、使用した。魔王戦の前の戦いで、回復の要である聖女が狙われて
殿下と同じような呪いと猛毒で瀕死になった時にな」
「そうですか・・・・・。治ったのですか?」
「うむ、見事に完治した。ついでに便秘と乾燥肌も治ったと聖女が喜んでいた」
「何ですって!」とアヤメが騒いでいるのは放っておこう。
「ではその『深底の迷宮』に潜らないと手に入らないのですね?」
「はっきり言って今のお前達のレベルでは無理だ」
「レベル・・・・・とは何ですか?」
「そうか、今の者にレベルという概念は知らないのだな。レベルというのは
その者の能力を数値化したものだ。お前達も成人前に測定されたスキルの宝珠の
上位互換だと思ってくれれば良い。まぁ今はその宝珠がほとんど無いから測定の
しようが無いのだがな」
そこでアルヴィス様が口を挟んだ。
「師よ、倉庫にありませんでしたか?20年ほど前に見かけたたような?」
「ウっ、・・・・・欲しいという奴がいてな。・・・売った」
「また、酒代に困ったからですか?」
リシェルナ様がジト目だ。
「ち、違う・・・そのどうしても欲しいと熱心に頼まれて、その仕方無く
だな・・・・・」
しどろもどろだ。恐らくリシェルナ様の読みどおりだろう。
「ソレスタリア様はさっき無理だと言われたのなら、私達のレベルが
わかるのですか?」
「まあ、大体はな。そうだなぁ・・・・・」
ソレスタリア様の目が光ったような気がした。
「これは正確では無いぞ。経験からの試算だが。まず前提から話そう。
一般の成人男性でレベル5~7位だ。訓練を積んだ兵士で10前後だ。
訓練を積んだ騎士なら7~15位、冒険者は5~15位かな。
国選勇者なら15~20位か。まぁもっとも目安の数字でしか無い。
強者なら騎士でも冒険者でも勇者でももっと高いし、スキルや加護、
戦闘経験を積めばレベルなどある程度関係なくなる」
そう言葉を切ると。
「さてリョーマだが・・・恐らくレベル20~25位はあるだろう。
ちなみに私は手放す前に記念に測ったら72だった。
現役の時に比べて少し下がったがな」
「師よ、私は、私は幾つ位でしょうか?」
アルヴィス様が勢い込んで尋ねた。
「ん、そうだな・・・・18前後だろう」
「18」とか言って微妙な顔をしている。
リシェルナ様が期待の込めた顔で何か言おうとしたが
「お前は12前後な」
とすげなく言われ凹んでいた。
「では、先程の『深底の迷宮』は
どの位のレベルがあれば潜れるのですか?」
「そうだな・・・レベル50以上、パーティー全員がな。
ただ50以上というのは入る最低目安であって、探索をするなら
60は欲しいところだ。それにだ・・・そもそも入れぬ」
なぜだ?
「あそこに入るには、覚醒した『真の勇者』がいなければ入口が
開かない」
「そんな・・・・・」
もう積みではないか。
この先オレが頑張ってレベルを上げて、仲間を募ってレベル50以上の
パーティーを作り、なおかつ60以上まで上げるとなると何年、下手
したら何10年かかる。それまでフェリ様を今の姿のままで・・・・・。
皆も暗い顔をしている。
「まあそう絶望した顔をするな。方法が無いわけではないと言ったろ」
「それは何ですか!」
オレが叫ぶように尋ねるとソレスタリア様がニヤリと笑った。
「無ければ作ればイイんだよ。神代の雫を作れば」
新しい作品をカクヨムにアップします。
タイトルは
『飛行船は神の御座船、ペットは神獣ケモ耳娘天使付き、
神様、話が違うのですが・・・』
をお送りします。
これは同じ『真勇魔討』の世界でリョーマの話とリンクしクロスしています。
それぞれの話に新作の主人公が関わり、リョーマの話の中にも新作主人公が
重要な役を担います。
そして今回の1話目は今のリョーマが目的を果し、いよいよ本来の聖導師
としての役目である『真の勇者探し』に出ている頃のお話です。
是非こちらもお楽しみください!
下記URLからどうぞ。
https://kakuyomu.jp/works/2912051601575450709/episodes/2912051601665628998




