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呪い姫を抱きしめたら月詠の導師に覚醒したので、王子を〆て姫を救う旅に出ます  作者: 輪三


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強さ、戦いの意義

「ちょっと待って、つまり聖雷山の雷鳴の導師に負けたのが納得

できないからリョーマと戦いたいの?それっておかしくないですか?

戦うって、強さってそういう風に計るものなのですか?」」


突然マリアが話に入ってきた。


「いや、それは・・・・・」


アルヴィス様が戸惑っている。


「私はこのところずっとリョーマ達に守られてきたの。姉様をこれ以上

哀しい目に合わせないように守ると誓ったのに。ルバやアヤメはちゃんと

戦って姉様を守っている。コレットだって姉様のために尽くしている。

私だけは何も役に立っていないの。それが心苦しかった」


「マリアそんなことはないよ、現に聖月山の中腹の戦いでは立派に戦って

いたじゃないか」


そう言ったがマリアは激しく首を振った。


「今なら分かる、他の兵に混じって数人殴り倒しただけでイイ気になって

戦えていると思っていたの。昨日の戦いでも私も戦うって前に出たけど、

本当は女を平気で嬲り者にする男達を見て、怖かったの足が震えていたの。

もしあの時一人でも私の前に来たら逃げ出していたかもしれない・・・・」


「マリアそんなことはないよ。きっとあの男達があの場に来たら、マリアは

後ろにいるフェリ様達のために戦えたと思うよ」


「・・・・・わかんないよ、そんなこと・・・・それに急に強くなったリョーマ

には私の気持ちなんて・・・・・ゴメン・・何言っているんだろ私・・・」


マリアは泣いていた。


オレが前に出ようとしたら、先にアルヴイス様がマリアにハンカチを差し出していた。


「マリアンヌ殿下、どうぞ」


キョトンとした顔でハンカチを受け取ると赤くなった。


「あ、ありがとう存じます、アルヴィス様。・・・・ごめんなさい、勝手に

話に割り込んで、訳の分からないことを言って・・・・恥ずかしいです」


涙をハンカチで押さえながら、泣き笑いのような顔をした。


「いいえ、マリアンヌ殿下・・・・」


「マリアでイイよ」


「ではマリア様、私の方こそ恥ずかしく思います。皆様は誰かを守るために

命がけの戦いをしてきたのですね。私は剣の修行をしてきましたが、それは

道場での稽古や試合などで実戦の経験はほとんどありません。


それでも約百年も試合という形で研鑽を積んだので、ここのところ負けたことが

ありませんでした。だからあっさりと負けてしまい、ずっと納得できずにいました。

それでつい若いリョーマ殿なら勝てると思い試合を申し込んでいました」


そう言うとオレの方を見て頭を下げた。


「申し訳ございませんリョーマ導師、皆様の誰かを守る戦いとで比べたら、

私利私欲の戦いでした。試合の件、取り消させていただきたい」


頭をさげたまま告げられた。

すると


「いや、せっかくだリョーマに戦ってもらえアルヴィー」


いつのまにか戻ってきたソレスタリア様だった。

もう診察は終わったみたいだ、フェリ様とコレットもいる。


「しかし、師よ私にそんな資格は・・・・」


「お前は器用だが臆病で慎重な性格だ。だからなかなか殻を破れないで、ここ何年も

苦しみもがいていた。イイ機会だと思うぞ、それに聖雷山のあのジジイに会う前に

リョーマの実力を見ておきたい」


「私の実力ですか?」


「ああそうだ、本来支援職最強と言われ、魔術師がなるはずの月詠の導師に

なぜ近接職のお前が覚醒したのか。これは非常に興味深いことだ」


「あのソレスタリア様、フェリ様の診断の結果は?」


「そのことはこの後で話そう」


フェリ様の方をチラっと見るが、表情からは何も読み取れなかった。


「分かりました。試合することは構いません」


「決まりだな、中庭でやろう」


そう言うと歩き出した。皆それに続く。

中庭は広く、試合をするのには十分なスペースであった。

ただ周りの木々は鬱蒼と伸び放題で手入れなどはされていない。


「リョーマ導師この木刀で問題ございませんか?」


そう言ってリシェルナ様が持ってきた木刀を2,3振ってみる。


「これで大丈夫です」


そう言って中庭の真ん中辺りに歩を進めた。

アルヴィス様も細剣のような直刀の木剣を持ってたたずんでいる。


「双方イイようだな。まぁ即死さえしなければ、どんな怪我でも治してやる。

参ったと言うか、気絶、もしくは私が負けと判断したら終了だ。良いな」


そう言って双方を見渡し、「始め!」と告げた。


「いくぞ!」


そう言うと軽やかなステップで間合いを詰めてきた。

そして瞬剣士なのだろう、高速の突きを繰りだす。

オレは左手を放し、身体を半身にして右腕のみで突きをさばく。


「まだまだ!」


そう言って繰り返される刺突を半身のままさばき続きける。

それはどんどんスピードを上げていった。


千峰突き(サウザンピロー)!」


上級瞬剣士のスキルに昇華した。

すさまじい速さだ。

だがやることは変わらない、そして


スキルの終わる瞬間に小さく細剣を跳ね上げ、一気に間合いを詰める。


「グホっ・・・」


そのまま胴を横斬りに叩きながら前方に身体を抜いていた。

残身。背中で気配を探る。

アルヴィス様は膝を付いた。そして


「参りました・・・・」


静かにそう言い。


「それまで」


ソレスタリア様が終了を告げた。


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