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呪い姫を抱きしめたら月詠の導師に覚醒したので、王子を〆て姫を救う旅に出ます  作者: 輪三


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賢者邸にて

おずおずと扉が開いた。


「失礼しまーす」


リシェルナが入ってきた。


「アっリョーマ導師、おはようございます、お迎えに上がりました」


「おはようございます、リシェルナ様。本日はよろしくお願いします」


その後一同を紹介して出発となった。


天秤月(10月)のランメーレの街は聖月山より風が強く少し寒かった。

20分くらい緩やかな坂道を登っていると、リシェルナ様が指を指した。


「あの先に見える屋敷がソレスタリア様の邸宅です」


苔むして蔦の絡まる屋敷が見えてきた。

古そうだが、広い邸宅だ。


「どうぞお入り下さい」


古い門扉をギィーと音を立てて開くと招じ入れられた。


「お待ちしていました。月詠の導師様」


迎えてくれたのはエルフの男性だ。


「リョーマ導師、紹介します。私の兄弟子になります」


「アルヴィス・デドリス・シルヴァリアです」


言葉は丁寧だが目が笑っておらず、何か慇懃無礼な感じがするのは

気のせいか?


「こちらで師がお待ちです」


そう言って前を歩きだした。

後に続いていくとリシェルナ様がボソりとつぶやいた。


「どうしたんだろう?」


やはり何か違和感を感じているようだ。

大きな扉の前にきた。

アルヴィスの訪ないを告げると、「入れ」と言う声で扉を開けた。


「よく来たなリョーマ」


賢者ソレスタリア様が部屋の中央でにこやかに笑っていた。

昨日のように露出の多い服装ではなく、薄い紫色のローブだ。

服飾に詳しくないオレでも分かる位そのローブは特別な物に感じた。


とてつもない魔力を感じるし、状態異常も効かないとオレの銀眼に

は見抜けた。単純に素材や質感などもグレードの高さを感じ、どこかの教皇

が着ている物だと言われても納得してしまうようなローブだった。


それにダークエルフであるソレスタリア様の浅黒い肌と、銀糸を編み込んだ

ような美しい銀髪に良く映え、とても似合っていた。


しばらくの間見とれていると、「どうした?」と聞かれた。


「いえ、そのローブがとても素敵でソレスタリア様に、よくお似合いだと

思いまして・・・・」


するとパっと華やいだ笑顔になった。


「そうか!そう言ってもらえると着た甲斐があったな」


「アっソレスタリア様、本日はありがとう存じます」


「リョーマ固いぞ、もっと楽にしろ。さあ席に着け、皆を紹介してくれ」


笑いながら言われた。

「では」と言い席に着き、皆を紹介した。


リシェルナ様がお茶を用意してくれたが、紫色のお茶でさわやかな香りがした。

それを飲みつつ、少し歓談の後言われた。


「さて、手紙にも書いてあったが、フェリネシア殿下が呪われたいきさつ、詳しく最初から話してもらえるか?」


と言われて、これまでのいきさつを話した。


全てを話終わる頃には出されたお茶はすっかり冷めていた。

リシェルナ様がお茶のおかわりを出してくれた。

ソレスタリア様は話が終わった後も黙考をしている。やがておもむろに口を開いた。


「なるほどな、それで聖月山で月詠の導師が覚醒をしたと聞いたばかりなのに、

もうここにいるということか」


「はい。こちらなら勇星教団の影響が少ないというのと、先程のお話のとおりに

北条殿からソレスタリア様が呪いと聖導師について造詣が深いとお聞きしたので」


そう言うとソレスタリア様がまた黙考した。そして


「何にしても少し姫の身体を調べなくては何とも言えぬな。リシェル、隣の部屋に

フェリネシア殿下をお連れしろ。側仕えの者も一緒にな。私は鑑定用の錬金道具を

用意する」


そう言ってさっさと部屋を出ていった。その後をアルヴィス様が追っていく。


「ではフェリネシア殿下、こちらになります」


リシェルナ様に促され、フェリ様とコレットが立ち上がった。

フェリ様は少し不安そうに見つめてきた。


「リョーマ・・・・・」


オレは安心させるように笑顔で


「フェリ様、きっと賢者様が良い方法を考えてくださります」


そう言って送り出した。

少しするとアルヴィス様だけ戻ってきたので少しホっとした。

別室ではきっと下着か裸で診断されているはずだ、助手と称して男性が

同室されるのは嫌だと思っていた。


アルヴィス様がジっとオレを見つめてくる。何だろうか?

やがて意を決したように口を開いた。


「リョーマ導師、お願いがあります」


「はい、何でしょう?」


「私と立ち会っていただけないでしょうか?」


「・・・・・立ち会う?試合をしろということでしょうか?」


「可能ならば」


真剣な眼差しだった。

先程の慇懃無礼さは無い。


「構いませんが、訳をお聞きしても?」


しばしの沈黙。やがて


「そうですね・・・・先程のお話を聞いてリョーマ導師はお若いのに、

かなりの実戦を積まれてると感じました。私は145歳になります。

そのうち120年は剣を学び、己の剣技を磨いてきました」


そう言うとまた押し黙り、俯いた。やがて意を決するようにまた口を開いた。


「己の恥をさらすようですが、最近ある男と試合をして負けました。

私は決して驕っていたわけではないつもりでした。しかし負けました。

その方もリョーマ様と同じ聖導師です」


「聖導師!それは・・・・・」


「この聖雷山の聖導師『雷鳴の導師』バルナルド殿です」

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