表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呪い姫を抱きしめたら月詠の導師に覚醒したので、王子を〆て姫を救う旅に出ます  作者: 輪三


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
47/55

上書き

何で賢者様はいきなりあんなことをしたんだろう?

宿に向かって歩きながら考えたが、分かるはずもない。


すぐに着き、扉を開けると、アヤメが帳場の奥のソファに座って

いるのが見えた。

手には酒杯を持っている。


ゆったりとした薄手の絹でできたガウンのような物を着ていて、

物憂げに酒杯を手にしている姿はどこか(はかな)く、美しかった。


「あーーー御主人様。めーーっけ!」


飛びついてきた、酒臭っ。

・・・・前言撤回、ただの酔っ払いだった。


「もうーお部屋にいないし、アっルバに勧められたこの雷酒、

すっごく美味しいんですよ」


「そう、良かったね」


「はい!・・・ん?ねえ御主人様、どこに行っていたのです?」


「実はね、賢者様が・・・」


「あーーーー香水の匂いがする!それに・・・」


顔を両手で挟まれた。ジーーーっと見られる。


「何で御主人様は口紅を付けているのですか?」


「いや、これは違くて・・・賢者様が急にね・・その・・・」


「浮気ですか・・・ヒドイ・・・フェリ様と私という女がありながら、

御主人様は他の女と・・・・うえーんーーーー」


泣き出した⁉


「いや違うから・・・・アヤメ落ち着いて!」


「ダメです、有罪です。ギルティーです。そーーんないけない御主人様は

おしおきです!」


そう言うとやさしくキスをされた。


「これで上書き完了です ♡」


「エっ・・・」


「御主人様は賢者様に会いにいったら、キスされちゃったんですよね?

だからこれで無かったことにします。もちろんフェリ様にも内緒です。

まったく御主人様の年上キラーぷりには困ったものです!」


「アヤメ・・・・」


「そのままお部屋にいっちゃダメですよ。他の人に見つかる前にお風呂に行って下さい。香水でバレバレです」


「わかった、ありがとう」


そう言うとオレはそそくさと大浴場に向かう、そうだ!明日のことを伝えなきゃ。


「アヤメ、明日だけど・・・」


振り返って見ると、アヤメが何とも言えない複雑な表情をしていた。

悲しんでいるような、少し笑っているような微妙な顔だ。


「アヤメ・・・・」


「エっどうされましたか?」


またいつもの優しい笑顔に戻った。


「いや・・・・・明日だけど、13時位に賢者様の弟子が迎えに来るから、フェリ様達に出かけられるように支度をしてと伝えてもらえるかな?」


「承知しました。クソ女の弟子とは言わずに、賢者様の弟子が13時に迎えに来るので、出かけらるようにと伝えます」


「お、おう」


アヤメは一礼すると、グラスを持って階段に向かって歩き去った。

オレは少し立ち尽くしたが、もう考えることに疲れてしまった。

気を取り直して大浴場にいった。


あの後ベッドに入ってもなかなか寝付けなかったが、気付いたら朝になっていた。

ルバに誘われ朝風呂に入った。

宿の露天風呂には冷涼な朝の風が吹き込み、冷たさと熱さを風呂を出たり入ったり

して楽しんだ。


部屋に戻ると、置手紙があり朝食は一緒にとのことで、フェリ様達の部屋にいった。

すでに朝食の用意は整えられていて待たせていたようだ。


「お待たせしてしまって申し訳ございません」


「良いのですよ、我らも朝寝をしていて、先程支度を終えたところです。

さあ召し上がりましょう」


そう言って食事が始まった。フェリ様は仮面は外していたが、大きめな扇子で口元を

隠しながら食事をしていた。

コレットが大きめな食材はナイフで切り分けていた。


大変そうだ。


食べ始めてそこそこにフェリ様が話かけてきた。


「リョーマ、いつのまに賢者様と話をつけたのですか?」


「食事の後に女将に賢者様のことを尋ねたら、近くでお酒を飲んでいると聞いて」


「それで会いにいってきて、今日の流れになったのですね。リョーマも疲れているのにお手間をかけましたね」


フェリ様が気遣うように微笑んだ。


「ねえリョーマ、賢者様ってどんな人だったの?」


マリアが聞いてくる。


「どんなって・・・・・綺麗な人だったよ、ダークエルフだしね」


思い出すのは、あの濃密なキスの感触だった。


「きっとしょーもない人なんじゃないですか」


アヤメの言葉に皆が首を傾げた。


「アヤメは会ったことがあるの?」


マリアの問に


「いえございません。女の勘です」


みんなポカンとしている。

しばらく妙な空気でいるとルバが口を開いた。


「フェリの嬢ちゃん、後で顔周りを測らせてもらってイイかのう?」


「はい、構いませんが何故ですか?」


「うむ、扇子を持ちながらでは食べづらかろう?何か口元を隠せるような

器具を作ってみようと思ってな」


「まあ!ありがとう存じます、ルバ様」


「というわけじゃリョーマ、ワシは賢者の所はいかず工作をするとしよう」


「それは構わないが、工房や材料に当てはあるの?」


「なあに、これだけの規模の街じゃ、ドワーフもいるじゃろう。何とかなる」


などと話しながら食事を終えた。

ルバは早々に出かけてしまい、オレも何かしようかと思っていたのだが、

ふとベッドに横になったら、そのまま寝てしまった。


ふと目が覚めると、アヤメが椅子に座りルルを抱いて撫でていた。


「アヤメ・・・・・今何時?」


「昼少し前です。昼食にと思いまして露天で揚げた魚を挟んだパンを持ってきました」


「ありがとう。ルルおいで」


そう言うと目を開けたルルがアヤメの膝で軽く伸びをすると、ベッドにピョンと

飛び乗りオレの前にきた。


「本当に可愛いですねルルちゃん。でも何か食べないのですかねぇ?

昨日も夕食を代わる代わるみんなで上げてみたのですが、興味をしめさなくて」


「神獣様だからね。食事はいらないのかな?」


正直オレもわかっていない。


「アヤメまだなら一緒に食べようか?」


「はい、お茶を入れますね!」


嬉しそうに笑ったアヤメとルルをモフりながら昼食をとっていると、

アヤメが突然オレの口元に指を当てた。


「御主人様お口にソースが付いていますよ」


そう言うと上目遣いに見つめながらペロっとその指先を舐めた。

何か恥ずかしくなり固まっていると


「そんな可愛く固まっていると、また上書きしちゃいますよ」


アヤメが小声でつぶやき妖艶に笑った。


「アヤメ・・・・」


思わずゴクリと唾を飲んだ。

誘うようにアヤメが手を伸ばしてくる。

すると突然ドアが叩かれた。


アヤメが伸ばした手を止め溜息をつくと、対応するため席を立った。

ホっとするのやら残念に思うやらしていると


「お迎えが来ました」


と告げられた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ