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呪い姫を抱きしめたら月詠の導師に覚醒したので、王子を〆て姫を救う旅に出ます  作者: 輪三


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聖雷山の関係者

その後、程なく到着した馬車に揺られ、30分程の距離にある村に到着した。

兵士の方から話は通っており、大きな村長の家で泊まることができた。


急に人が泊まったりなど大変だろうと恐縮したが、こういう急に人が泊まる

ことなど、年に数回ぐらいはあるらしく心良くもてなされた。


翌朝は昨晩の雨も上がり、気持ちの良い晴れ模様だった。

昨日はいろいろあったので、夕食後はすぐに寝てしまった。


朝食に呼ばれ、広い食堂に降りると我ら聖月山メンバーはスッキリとした顔を

していたが、対照的に巫女達は腫れぼったい疲れた顔をしていた。


当然だろう仲間は皆殺され、下手したら野獣のような男達に散々に慰み物に

されるところだったのだ。


山の幸が豊富に彩られた朝食も、我らだけモリモリ食べていて申し訳ないくらいだ。

食の進まない聖雷山の巫女達を何となく見ていると、1人の女性が急に立ち上がった。


「あの聖導師様! その・・・・・」


猫人獣人だった。確か護衛の生き残りの・・・・・。


「どうしましたか?」


「・・本当に昨日はありがとうございました。僕、マルニって言います。

本来なら僕は護衛で・・・

皆を守らなきゃいけないのに、他の護衛が殺されるのを見て怖くなって

しまって・・・・」


彼女は泣いていた。まだ若いと思う、マリアと変わらないくらいかな?


「気にしないでと言っても無理だよね。怖くて当然だよ、あんな思いをした

なら・・・・・」


オレは励ますが、言葉が続かない。

するとルバが口を開いた。


「うむ、思うことはいろいろあるじゃろうが、生き残ったことを悔いてはならんぞ。

これは巡り合わせじゃ。生き残った分、お主にしかできないことがきっとあるはずじゃて」


ルバの声はやさしく、言葉はオレの胸にも響いた。

彼女も「はい!」と先程より明るく答えた。

ならば


「ねえマルニお願いがあるのだけど、良いかな?」


「何でしょうか?」


「うん、この後我らも聖雷山に行くのだけど、ラヴィニア様達の護衛を

一緒にやってくれないかな?」


「・・・本当ですか、やります!やらせて下さい!」


さっきよりさらに元気になったようだ。

座った途端に朝食を勢いよく食べ始めた。

ラヴィニア様がこちらを見て軽く頭を下げられた。


微笑みで答える。

すると食堂の入口の方から年配の女中から声が掛かった。


「あの、聖雷山からお客さんが・・・・」


ラヴィニア様と目が合い、頷くと


「お通しして下さい」


ラヴィニア様が告げた。

女中が返事をした途端に男が中に飛び込んできた。


「ラヴィー無事か!」


「兄様!」


走ってきた男が立ち上がったラヴィニア様と抱き合っている。

するともう1人50代位の女性がこちらに歩み寄ってきた。


「ああラヴィニア、良かった。巫女見習い達は無事なのですね。ダルアも

キトルも本当に良かった」


女性が涙ぐみ他の娘達の肩を抱いている。

2人共聖雷山の紋章の入った法衣を着ていた。


「ありがとうございます。兄様、ああカーナフィー副座主様も」


「あなた達だけでも無事で本当に・・・・・」


カーナフィーと呼ばれた女性が目元を拭っている。

そして目が合った。

大きく目を見開きこちらを凝視している。


「もしや・・・月詠の導師様ですか?」


流石、八聖山の関係者は髪と眼の色で分かるらしい。


「そ、そうです。こちらの月詠の導師リョーマ様と御一同が我々を

盗賊の手から御救い下さいました」


「月詠の導師リョーマ・マークスです」


「まあまあ何てことでしょう!覚醒のお話は聖月山からの魔術通信で

聞いておりましたが、こんなにも早くお目にかかれるなんて。しかも

この子達をお救いいただいたなんて。私、聖雷山副座主のカーナフィー・

ロナウ・タイガランと申します。雷神トルファギア様のお導きでしょう」


虎獣人であろうカーナフィー様は、胸元で印を切り、膝を付き祈りを捧げだした。


「月詠の導師リョーマ様、聖雷山神官長のラウール・テトルド・フォクシリア

と申します。私からもお礼を。此度、巫女や巫女見習い達をお救いいただき

誠にありがとう存じます。神官長としてラヴィニアの兄としてお礼申し上げます」


ラヴィニア様の兄ということで、二人はよく似た茶色の狐耳をしていた。


「ですが、彼女達以外は・・・・。我らが着いた時にはすでに男達は殺されていて、

救助を呼ぶために逃がされたダルアとキトル以外は救えませんでした」


「そうでしたか・・・・・。それでも彼女達がリョーマ様に助けられねば、死より

恐ろしい恥辱を受けていたことでしょう」


ラウール様が胸の前で聖印を切った。


「カーナフィー様、兄様。実はこの後、現場に戻りその・・・遺体の確認をせねば

なりません」


ラヴィニア様の言葉に2人が顔を見合わせた。

そして少し考えるとカーナフィー様が口を開いた。


「リョーマ様はこの後はどちらに参りますか?」


「はい聖雷山にそれと賢者ソレスタリアをお訪ねします」


「そうですか、ならば。ラヴィニア、あなた達はリョーマ様達を聖雷山にご案内なさい。遺体の確認は我らが致します」


「しかし、それでは・・・。共に旅した仲間の最期を・・・せめて・・・」


「ラヴィニア、葬送は後日、聖雷山に遺体を持ち帰りそこで行います。その時に皆で

送りましょう。だからあなたたちはリョーマ様達を、ね」


優しくカーナフィー様はラヴィニア様を諭している。多分これ以上、つらい思いを

させないための気遣いであろう。


「そうだよラヴィー、そのために私達が来たのだから。それに大恩あるリョーマ様達をご案内しないと」


「承知致しました。リョーマ様我らがご案内致します」


そう言って畏まるラヴィニア様に


「それは助かります。よろしくお願い致します。代わりと言っては何ですが、先程申した通り、道中の護衛は我らにお任せください」


そう言って話を締めくくった。

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