聖導師リョーマと愉快な仲間たち
「巫女、お姉ちゃん?どういうことだ?」
「奴らに捕まったんだよ!頼むよ・・・お願いだよ・・・」
オレの足元に崩れ泣いている。
皆が集まってくる、マリアに抱えられフェリ様も降りてきた。
「リョーマ、落ち着かせましょう。コレットお水を」
コレットが荷物から革袋に入った水を取り出し、器に入れ差し出す。
「これを飲んで」
「うん・・・」
と言ってゴクゴクと一気に飲んだ。また注ぐと飲み干す。
「少しは落ち着いたか?先ず名前を教えてくれないか。
オレはリョーマという。君の名前は?」
「うん、僕はダルア」
「じゃあダルア、何があったか落ち着いて話してくれるかい?」
「うん・・・僕達は聖雷山から婚礼の祭事を行うために派遣された、
儀礼局の者です。昨日の婚礼を終え、今日帰還のため町を出ました。
しかし途中の橋が落ちていて、迂回を余技なくされてこの山に迷い込み
盗賊に襲われました」
「いつ頃のことだ?」
「1時間も経っていません」
「ダルア達は何人いたんだ?他の者は?」
「僕らは全部で24名です。他の者は・・・男は多分みんな殺されたと思います。
次々と護衛を含め矢を受けて斬られていました。僕ともう1人には逃げて助けを
呼べと言われて・・・・。
巫女様と姉ちゃん達、女の人4名は捕まったと思います。山賊たちが女は傷つける
なと叫んでいたから」
「逃げられたのはダルアともう1人どうした?」
「キトルは鼬族のドッグランナーです。乗っていたオオイヌのガルは脚が速い
ので逃げおおせたと思います。今頃、近くの砦に救援を頼んでいると思います」
「敵の数はわかるかい?」
「はっきりとは分かりませんけど・・・囲まれましたので50名以上いたと
思います」
「多いな・・・・」
「お願いです冒険者様!このままじゃ、巫女様や姉ちゃん達がヒドイめにあっちゃううよ・・・・お願いだよ・・・・・」
「・・・・・・・・」
オレは皆を見まわす。
「リョーマ、可能でしょうか?できるなら・・・・・」
フェリ様が不安そうにこちらを見る。
これだけじゃ情報が足りない。
ふと思い出す。
「生かしてある1人を尋問します」
「時を争うのに口を割るかのう?」
ルバルス様が言う。
「大丈夫だと思います。これを使うので」
オレは自分の右目を親指で指さし、指示を出す。
「アヤメは周辺の警戒、コレットとダルアはアヤメの辺りで隠れて。フェリ様とマリアはこのロープで縛られて捕まって気を失ったフリをして」
「ルバルス様その男を座らせて、起こして下さい」
言うと襟首を掴み、無理やりに座らせると頬を叩いた。
何回か叩くと目を覚ました。
オレはぐっと顔を寄せ、右の銀眼に魅了を意識して男の顔を覗き込んだ。
「月誘」
男が一瞬、ビクっとしたがすぐに目が虚ろになった。
こういう時何て呼びかけたらイイんだっけ?
察してかルバルス様が小さく「兄弟じゃ」と教えてくれた。
そっと頷き言葉を発する。
「よお兄弟大丈夫か?」
「おぉー・・・ん、お前は誰だ?」
「オレはリョーって言うんだよ、こいつはルバ。流れの盗賊だ。
兄貴達がやられそうだから助けたんだよ。兄貴の名前を教えてくれよ!」
「そうか、そりゃあすまねえなぁマグだ。『鍵解きのマグ』だ」
「そうかマグの兄貴か!兄貴が気を失っている隙にいい女を捕まえたぜ」
「ん・・・おおー確かにいい女だな。へへ先にやっちまおうぜ」
オレは一瞬殺意を覚えたが、何とか平静を取り戻す。
「兄貴そりゃあねえぜ、この女達を捕らえるのに兄貴の仲間はみんな死んだんだぜ。
オレとこのルバでようやく護衛を追い払って捕まえたんだぜ」
「じゃあどうすりゃイイんだ?」
「お頭に引き合わせて仲間にしてくれよ!オレ達は強え。いきなり下っ端なんてゴメンだ。上手く引き合わせてくれたら謝礼を出すよ。それに他がみんな殺されたのを
3人強力して倒したって言えばマグの兄貴の株も上がるだろう?」
「そうだな・・・悪かねえなあ。よし付いてきな」
「その前に兄貴のところって何ていう名前で何人いるんだい?」
「ウチはロンバー盗賊団って言うんだ。仲間は63名いる」
「へえ結構でかいな!ロンバーっていう人がお頭か?」
「そうだ、気をつけろよ。お頭は気が短けぇんだ。気に入らねえと、
得意の斧でバッサリやられるぜ」
「そりゃあ怖ええなぁ。他に強いのはいるのかい?」
「そうさなぁ、副首領の土魔術を使う『モグラのバウラ』の兄貴とか
後は先生って呼ばれている刀遣いの旦那がいるぜ」
「そりゃあすげえな!アジトはここから近いのか?」
「ああ、その丘を越えた先に昔の砦の跡地がある。ぼろいが雨風は
凌げるからな。んじゃ行くか、付いてきな!」
「ありがてえよ、流石兄貴!ん、兄貴、顔に何か付いているぜ?」
取る振りをして銀眼に力を込め「眠れ」と念じた。
マグがガクっと崩れ落ちる。
上手くいった。
「リョー?」
「眠らせました。皆集まってくれ」
「フフ、リョーマ上手いね!旅役者になれるよ!」
マリアに褒められた。
「本当に!聞いててビックリしました。リョーマは器用ですね」
フェリ様に言われニヤケそうになる。
いかんいかん。
「アヤメ聞こえていたかな?」
「はい、丘の先の砦跡地ですね。偵察でよろしいですか?」
「頼めるかな?」
「もちろんです。では」
言うが早いか闇に消えた、聖月山で割と変な言動が多かったが、
今は『くのいち』の修行をしたというアヤメが頼もしい。
「ではこの後はどのようにしますか?」
「情報を待ちましょう」
「え!すぐに行かないの?このままじゃ・・・・」
ルバルス様が口を開いた。
「ダルアよ、お主の気持ちは分かる。だが我らはこれしかいないのだ。倒した奴らを
抜いても50名以上いるのだ。情報も無く飛び込めないのは分かるか?」
「・・・・はい」
口惜しそうに頷く。
「ダルア、人質がいるんだ。できるだけ近付いて救出を優先しなきゃいけないんだ。
我慢してくれ」
「はい。ごめんなさい・・・助けてもらっているのに」
「そんなに時間は掛からないで戻ると思うよ」
「ありがとうございます。それにしても皆さまは名のある冒険者パーティーなのですよね?」
皆が顔を見合わせた。
マリアが口を開いた。
「冒険者では無いよ。そうだなぁ・・・聖導師リョーマと愉快な仲間達って
感じかな!」
ダルアがポカンとしている。
笑いながらマリアは言った。
「自己紹介がまだだったはね、私はマリアよ、こちらは姉の・・・」
「フェリです。ダリア君よろしくね」
フェリ様に言われ少し赤くなっている。
分かるぞダリアよ!
「ワシは・・・・そうじゃな、ルバだ。皆もそう呼んでくれ、様などいらぬぞ」
「聖導師様・・?でも聖雷山には・・?」
「オレは聖月山の月詠の導師リョーマだ」
「聖月山って大陸の中原小国群にあるあの聖月山ですよね?
そんな遠くから来たのですね!」
「まぁそうだ。それより救援を頼みに行った砦は遠いのか?」
「5kmは無いと思います」
「その砦の兵は救援とかは対応してくれるのか?」
「大丈夫だと思います。今の女王様になってからはこういったことに
対応してくれるようになったと上役が言っていましたし、聖雷山の巫女が
捕まっていると聞けば動いてくれると思います」
などと色々情報を確認をしているうちにアヤメが帰ってきた。




