討伐失敗の代償
父上は深く溜息をつくとオレを見つめた。
「リョーマ3年間よく耐えたな。辛かったであろうな」
父上がしみじみと言った。
オレは苦笑いでそれに答えた。
「父上、オレは殿下を止めることができませんでした。きっと討伐には失敗したのですよね?何があったのですか?」
その後告げられたことはオレの想像を絶していた。
殿下が近習と対魔物の特別訓練をした一般兵、500名の兵を引き連れて出発した。
城中に「ダークカーズヒュドラはオレが倒す」と叫び、意気揚々《いきようよう》として出て行った。
しかしいざ戦ってみれば、始めのブレスで半数が壊滅したのを見て殿下と近習達が恐慌をきたし、へたり込んでしまった。それを助け逃がすためにさらに多くの兵が死んだ。
逃げられた兵は殿下を含め30名にも満たなかった。
そして皆呪いを受けてしまった。
この呪い激しい痛みと倦怠感、徐々に魔力が奪われると共に全身が赤黒く爛れていくという恐ろしいものだった。
その後呪いを解くために急遽聖月山より招集された高位司祭でもある第三王妃ハーディア様に解呪を命じた。
無理やりにだ。
呪いを見た時にハーディア様はとても自分では解呪は無理だと伝えた。
他国から高位解呪師を呼ぶべきだと。
しかし痛みと屈辱に耐えかねた殿下は無理でもやれと、能力が足りぬのなら一緒に呼ばれた神官の修行中のフェリネシア第三王女も一緒にやれと言って強要した。
ハーディア様は娘である第三王女を巻き込むことを強く反対した。
しかし正妃である第一王妃である殿下の母上にも強く命じられ
逆らえず儀式を行った。
そして失敗した。
正確には殿下や近習達の解呪には成功した。しかし強力な呪いに抗しきれずハーディア様は死亡。さらにフェリネシア様にも移り半身に呪いを受けてしまった。
「・・・・・・・何で・・・・・」
オレは絶句した。
「何でフェリ様がそんな目に合わなくちゃいけないんだ・・・・」
父上が痛ましそうにオレを見て言った。
「しかもハーディア様を弔うでも無く、呪いの研究をしたい
と言う勇星教団に御遺体を引き渡したという。身の危険を感じた
フェリネシア王女殿下は我が家を頼り、送って行った聖月山
の兵士達に守られ逃げて来た」
「勇星教団・・・・・」
はるか昔、最初の魔王を倒した初代勇者『皇 将圀』を神と祀りあがめている。そして教団の認定した公認勇者を使い、魔王の打倒を掲げている宗教組織。主に小国を中心に勢力を伸ばし、殿下の元にも度々現れていた。
聖月山にも訪れて、是非傘下にと手を伸ばしてきたが断固として拒絶し以後出入りを禁じている。
「フェリ様はどこにいますか?」
オレは勢い込んで訊ねた。
「聖月山の中腹にある中屋敷だ。体力が回復したら本堂に移すつもりだ」
「行きます」
オレは身を翻すと中屋敷に向かうべく部屋を出て行こうとした。
「待てリョーマ。今聖月山には高位の解呪師はいない。他の八聖山に問い合わせている。かなり質の悪い強力な呪いだが希望を捨てるな。あそこにはラナーとアヤメも行っている。ラザンお前もついて行け」
ハっという声を後ろに聞きながら、オレは飛び出して行った。
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