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呪い姫を抱きしめたら月詠の導師に覚醒したので、王子を〆て姫を救う旅に出ます  作者: 輪三


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聖月山座主の戦い

_____________モルド・マークス視点___________


リョーマ達と分かれ30名の兵を引き連れ進発する。


「急ぐぞ!速足」


あぶみを蹴り速度を上げた。


「新兵は先輩の走りの真似をしろ!ずっと速足だと頑健な大山羊でも倒れるぞ。

速足と並足を混ぜ、疲労を溜めさせるな。そうすれば1日でも駆け通せる!」


中隊長のコラムが叫んでいる。

こちらの部隊の方で新兵5人は引き受けた。

大山羊は平地では馬よりは速度は劣るが体力は勝っている。


もっとも大山羊の体力が持っても、人間の方が1日騎乗はなかなかキツいのだが。

半刻(1時間)かからずに山を幾つか越えた。ここが聖月山の麓になる。


「コラム、小休止10分」


「ハっ。全軍停止!小休止10分。」


コラムの号令で停止する。

皆、鞍から降りて腰の皮袋の水と岩塩を大山羊に与えている。

我が兵団では人間より先ずは大山羊優先だ。


「斥候3組2名」


当番の小隊が散っていく。


「降りますかね?」


コラムが聖月山を仰ぎ見ながら呟いた。


「持つだろうよ」


確かに降り出しそうな空をしているが風が違う。大丈夫のはずだ。

それよりリョーマ達はもう戦っているだろうな。

ラザンもいるから大丈夫だと思うが・・・・・。


本当は小休止など取らずに一気に駆け上がりたいが、新兵がいるからそうもいかない。

その時だ、甲高い笛の音がに山間響き渡った。

この音は!


「敵襲!全員騎乗。方陣、警戒態勢!」


コラムが叫び、各小隊が慌ただしく陣形を作る。

東の方に斥候に出た2騎がこちらに逃げてくる。


「申し上げます!敵兵は勇星教団およそ100名。装備は標準。現段階では勇者は確認できません」


後方から敵が追いすがってくる。


「魔術師部隊『土壁』で進路を塞げ、以後は引きながら遅滞戦闘。長弓部隊各々の判断で打て。『土壁』完成後は小隊ごとに散会、以後は小隊長の指揮に従え」

コラムが迷いなく指揮をする。


「コラム数が多い、遊撃隊として一当たりだけするぞ。10名だけ貸せ。勇者がいないようなら離脱して一気に山頂を目指す!」


「了解!」


敵が150m位の距離まできた。長弓隊の矢が降り注いでいる。前方を走るのはドワーフ兵だ。ラウンドシールドを掲げ矢を防ぎながら走ってくる。矢が突きっ刺さっている者もいるが走ってくる。やはりドワーフは頑健だ。

魔術も当たっている。こちらは効果がある。倒れ伏している。


「ドワーフ兵はバトルアクスを使う。リーチに入る前に短槍で突き破れ」


皆が短槍に換装した。


「よし、迂回して逆落としで突っ込むぞ!後ろの4人は短弓で煙矢!」


後方の兵が次々矢を放ち、敵兵を煙幕で包む。

大山羊の蹄の音が山間に響く。

崖を駆け上がり、死角から中央を分断するように駆け下る。

振り返り部隊を見た。新兵が2人いる。


「ダンとカシルは短槍じゃなくて良い。得意な武器、ダンは斧。カシルは剣で良い。攻撃をいなすことだけに集中しろ。死ぬなよ!」


それだけ伝えると崑の先に付けた槍の穂先を確認しながら、前方に集中する。

煙で視界が利かず、敵が混乱している。

紡錘ぼうすい陣形で突っ込んだ!敵を立ち割って走り抜ける。

左右の崖上から長弓隊が敵を削っている。


コラムが殿しんがりで敵を防いでおびき寄せている。

その先に短弓の部隊を伏せているはずだ。

削って、おびき寄せて、集中砲火で叩く。


混乱したところを山の斜面からの突撃。

我ら偃月兵団は山岳戦の精鋭だ。


「いくぞ!」


オレは鐙を蹴り加速した。後ろから付いてきているのを音で確認する。

敵が追撃をかけようとしてる。離れて並走し一気に方角を変え背中を見せる敵に突っ込んだ。2人3人と突き崩し、駆け抜けた。大きく迂回するように走ると


また突っ込み打ち崩す。

もろいな。勇者はいないようだ。

こちらは10人いる。ダンは無傷、カシルは腕に裂傷を負っているが大した傷では無さそうだ。


「カシルまだいけるか?」


「大丈夫です」


「よし」


走り抜ける。本体に合流した。


「コラム後は任せた。無理せずこのまま遅滞戦闘で後退して削れ。援軍が合流したら逆撃をませ。」


「承知しました!お気を付けて」


「いくぞ!」


10名を促し、山道を駆け上がる。


2合目位まで上がったであろうか、林の中に入った。

後ろを見る、大丈夫のようだ付いてきている。

さらに駆け上がる。大山羊達は山道に入った途端に元気になっている。


久しぶりの長駆に少し腰が痛い。歳は取りたくないもんだ。

こんなことを言ったらラザンに鍛え方が足りないと言われてしまうな。

何度か坂道の折り返しを重ね、やがて林を抜けた。


これで5合目だ視界が開ける。ここは広場になっている。

道の脇まで来て立ち止まり下界を見下ろすと下屋敷の正面が大きく崩れ煙が上がっているのが見えた。

クソ!再建にまた金がかかる。


屋敷からいくらか離れた所に魔法障壁が張られているのが見てとれた。

本陣は無事らしい。

周りで交戦しているのも見えた。リョーマ達も間に合ったようだ。

無事でいろよ。


やがて遅れていた者達も集まってきた。


「ダン信号弾を上げろ。緑色だ、できるな?」


「はい。了解です」


ダンが腰から緑色のペイントされた信号弾を取り外し大山羊を降りると安全ピンを抜いて地面に置いた。

ポンという音と共に打ち上がり上空で破裂した。甲高い爆発音と共に緑色の閃光を発する玉が明滅し煙を上げながら落ちていく。


曇り空の昼間ならこの色が目立つだろう。


「これで向かえが来るはずだ、合流するまで踏ん張れよ。行くぞ!」


ダンが慌てて大山羊に飛び乗る。待たずに鐙を入れた。

駆け出す。だが詠唱の声、魔術反応を感じる。


「魔術師だ注意!」


言い終わる前にきた、持っていた崑に闘気を纏わせ跳ね上げる。

ウインドカッターか。

後方で悲鳴、やられたのは1人か。


「対魔術防御!」


負傷者を中心に魔術結界の魔石を投げ簡易魔術結界を発動していく。

これでこれ以上の不意打ちは防げる。

茂みから敵が飛び出してきた。男女だ。


「結界か面倒な!」


男が呟く。


「あんなの何発か喰らわせれば吹っ飛ぶだろう。気張んな!」


女がはすっ葉な口調で吐き捨てると、こちらに何かを振り回し突っ込んでくる。

鞭使いか?

飛び退る。

先程いた地面が大きく爆ぜた、なかなかの威力だ。


「へぇ避けるかい、やるねえ!だがこれでどうだい」


次々と鞭を繰り出す。風切り音と鞭が地面を叩く音が響き渡る。

鞭の先端は円錐状の穂先が付き、鞭には棘が仕込まれている。

当たればただでは済むまい。


右に左にかわしのぐ。俺の愛山羊ショコラちゃんの身体能力のおかげもある。

帰ったら特別な餌をやらないとな。

だがこのままではいずれ直撃を喰らう。


半円を描くように間合いを詰める。これ以上はショコラちゃんの身体能力でも躱せまい。

来た、こんで受ける。鞭がからまる。


「もらうよその武器!」


そう言うと鞭を大きく跳ね上げ崑を絡め取ろうとした。俺はその勢いを使い鐙から足を外しショコラちゃんの背中を蹴ると崑を放し、宙で1回転し女の方へ飛びこむ。


「チっ」


舌打ちする女の肩に蹴りを食らわし、着地と同時に間合いを詰め掌打を肩・胸・腹に叩き込む。


「グハっ」


女が血を吐きながら倒れる。


「よ、鎧を着ているのになぜこの威力・・・・・」


発勁はっけい。鎧の内部から破壊する武術だ」


丈夫だな。まだ起き上がるか?

とどめを刺そうと一歩踏み出した。


大きく飛び退る。

元居た場所に風の刃が殺到した。

あの魔術師か!


お読みいただきありがとうございました。

少しでも面白いと思われましたら、ポイントや

リアクションをいただけましたら、励みになります。

よろしくお願いいたします。

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