リョーマの空中戦
「雲壁」
障壁の上に30CM位の足場を次々と創造していく。
「月俊」
目にも止まらぬ速さで空中に飛び上がる。
次々と『雲壁』で足場を発生させ、『月瞬』で上へ上と跳ね上がる。
20人のペガサスナイトが魔術を詠唱しているのが見えてきた。
「銀月」
この高さなら下の戦いの魔術には影響すまい。
『雲壁』と『月瞬』に『銀月』まで並行して発生が出来ている。
スキル『並列思考』のおかげだろう。
「「サンダージャベリン!」」
上空から魔術が放たれる。『銀月』が吸い取る。
オレは『雲壁』を敵の只中に多数発生させた。
『月瞬』で突っ込み、抜き打ちで太刀を走らせた。
「ギャアー」
首から血を流し落下していく。鎧を着ているが、ペガサスナイトということで軽い鎧なのだろう簡単に刃が通った。
乗り手のいなくなったペガサスも足場に4人5人と切り倒していく。
「散会しろ!」
敵の叫びで散ろうとする。
させない!
『銀月』を2つに割るイメージをする。
できた!
それを散ろうとした左右に飛ばす。
破裂のイメージ。
爆発。
閃光と轟音、敵が落下していく。
1人逃れた者がいた。衝撃でダメージを受けたのだろうフラフラと飛行が定まらない。
『雲壁』と『月瞬』で追いつき刀を一閃。敵を鞍上から斬り落とす。
そのままペガサスの手綱を取り飛び乗った。
暴れて振り落とそうとする。
上手くいかないか?
そうだ!
ペガサスの首にしがみつき、無理やり頭を掴み目を合わせ見つめた。
「月誘」
魅了をイメージ、馬に通じるのか?
低いいななき、おぉ!大人しくなった。
首筋を叩く。
辺りを見渡した。
かなりの上空だった。
「高っ!」
夢中だったから気付かなかった。あまりの高さに恐怖を覚えた。
ペガサスの背にしがみつき手綱を取った。
結構怖いかも。
下はどうなっているか?
「まずい」
本陣の西側から低い姿勢で敵が近づこうとしている。数は50名位だろうか?
オレは馬首を巡らしそちらに行こうとした。だが
「行かせん!」
下からペガサスナイトが一騎突っ込んできた。一際大きな馬体に派手な馬装を着ている。
ランスを突き出された。
太刀で切っ先をそらす。
そのまま上空へ抜け、旋回して対峙した。
「我が名はジルフェゴール・ボラン。勇星教団B級勇者にしてペガサスナイト部隊
隊長である。戦いぶり見事なり。名を承りたい」
「オレの名はリョーマ・マークス。えーっと月詠の導師だ」
「やはり貴殿が・・・・・新たなる聖導師か。いざ尋常に勝負されたし」
時間が無い。早く下に行きたい。だがコイツを倒さないと無理か、ならば!
「その前に訪ねたい。なぜ聖月山を襲う?目的は何だ?」
「呪い姫を生きたまま回収。それと貴殿だ」
「聖導師だからか?」
「左様。もう良いかな?」
そう言いうとジルフェゴールと名乗った騎士が離れていき距離を空け旋回しこちらに正対した。空中で止まりランスを構えた。
「いくぞ!」
ペガサスは大きく翼を羽ばたかせ、こちらに突進してくる。ランスの切っ先がが鈍く輝いて見えた。
ランスの突きとペガサスの滑空が同時だった。
「チャージアサルトストライク!」
切っ先が伸びる、躱しきれない。
かろうじて刀で逸らす。
オレには当たらなかったが乗っているペガサスの臀部を切り裂いた。
悲鳴のようないななきが響く。
痛みで魅了も解けたのか身体を大きく上下させオレを振り落とそうと暴れる。
ジルフェゴールがまた突撃してきた。
ダメだとても乗ってられない。
鐙を外し背中に飛び乗った。
切っ先が伸びる、背中から飛び上がり躱す。
『雲壁』と『月瞬』を続けて発動し上空に駆け上がる。
ジルフェゴールの上を取った。大きく羽ばたき下から駆け上がってくる。
オレはそれに向けて、まるで坂道のように長く『雲壁』を発動した。
太刀を鞘に納め、『黒霧』を握る。一瞬で居合の構えを取った。
ランスの切っ先が伸びる。
『月瞬』からの抜刀。魔力を込め大太刀の長さにする。
下から切り上げるような一閃が腹から肩に抜け斬り裂いた。
馳せ違う。振り返るとランスを落とし、馬上に倒れ首にしがみついているのが見えた。
それでも手綱を放さず大きく旋回させている。
そのまま突っ込んできた。
「見事だ!だが・・・・・」
そう叫ぶと馬体をぶつけるように突っ込んでくる。
躱しもう一度斬るべく振りかぶり斬り下ろす。
右肩から暗褐色の刃が斬り割く。
だがそのまま抱きつかれた。
「なに!・・・・・」
一緒に落下していく。
「放せ!」
『黒霧』を短刀の長さにして何度も突き刺すが抱き締める身体は外れない。
みるみる地上が近付く。
マズいこのままでは一緒に地上に叩きつけられる。
「初代勇者様、御照覧あれ!聖導師を道連れに御身の元へ!」
叫んでいる。
冗談じゃない!
その時だ角笛の音かが大きく鳴り響いた。
何か大きな影が凄いスピードでこちらに飛んで来るのが見えた。
「ドラゴンスピナー!」
済んだ高い声が耳朶を打ったのは一瞬。
衝撃。
視界が地面から上空へ変わる。
かなり長い槍が羽根を折り畳み回転する飛竜から突き出され、ジルフェゴールを突き刺しながら上空へ舞い上がった。
オレも上空へ跳ね上げられ死の束縛から開放された。
竜騎士は槍先のジルフェゴールを捨てると、オレの方に滑空し乗り手が腕を伸ばしてきた。必死にそれを掴んだ。
そのまま後ろから抱き着く。
「キャっ!」
甲高い可愛い声を上げられた。
固い鎧の胸甲と腹の辺りに手を回していたようだ。
「ご、ごめんなさい!」
鎧越しだよ。ゆるしてー。
「大丈夫・・・・・」
短い答えが返ってきた。良かった声色に怒りは感じない。
そのまま大きく旋回している。
頂上を見た。
「赤い流旗だ!」
それは大きく鮮やかな赤色で曇天の空にたなびいていた。




