空からの襲撃
敵に動きがあった。旋回をやめ、こちらに向かってくる。
50騎位だろうか?どんどんと近づく、矢を射掛けてきた。土壁に阻まれてこちらには通らない。
こちらの上空にまもなく達する。秋山殿や味方の弓兵が弓を引き絞る。
上空を過ぎ去る。何かを落としてきた。
味方の兵が矢を放った。命中し何騎か落ちていく。
ラナー姉様達魔術師も攻撃している。こちらも何騎か落とした。
落下物が土の障壁や地面にぶつかり激しく炎を上げた。
油壺のようだ。炎が上がり黒煙が湧き上がる。幸い直撃は無いようだ。
続いてまた50騎位が飛来してくる。同様の攻撃をしかけてきた。
矢は防げる、油壺の炎が上がり黒煙が増える。ただの油では無いのか?
今のところこちらの反撃が有利で矢や魔術でまた数騎落とした。
さらにまた同様に50騎が飛来する。だが今度は矢の攻撃は無く、さらに上空から油壺だけ落とされた。さらに黒煙が増し、辺りの視界を奪う。
それが目的か!となると次は・・・・・!
「視界を奪い、白兵戦を仕掛けてくるぞ!注意しろ!」
敵がこちらに低空で接近してくるのが、煙の間から切れ切れに見えた。
魔法障壁の中の方が煙の影響が少ない。100騎位か?
「前方から100騎、低空でくるぞ!」
こちらに低空で飛来する。土の障壁手前50mで敵兵がペガサスから地上に滑るように降りてくる。およそ半数50騎位か?残り50騎は騎手のいないペガサスの手綱らしき物を握って上空へ舞い上がった。
降り立った敵兵が剣を抜き、また槍を構え突撃してくる。
「来るぞ!およそ50。弓兵は打て!白兵戦用意!」
味方の兵が矢を放ち、魔術が飛ぶ。秋山殿5矢を続けて放つと弓を捨て刀を抜いて飛び出した。他の弓兵もそれぞれ弓を捨て飛び出す。
激しい斬り合いが始まった。兵数はほぼ互角。こちらは魔術師から支援魔術が飛びバフ効果でステータスを上げている。秋山殿がまた敵兵を斬り倒した。強い!若干有利か?だがまだ150の敵兵がいる。
上空を大きく回り込むペガサス兵の姿が見えた。
「反対側から来るぞ!アヤメ残りの兵を率いて迎え撃て」
「はい若様!いくぞ野郎ども!」
「おう!」
・・・・・野郎どもって・・・・・。
本陣は手薄だ。戦えるのはオレとマリアと魔術障壁を張っている北条殿だけだ。
「マリア、フェリ様の守り頼むぞ」
「うん、分かっているよ!」
「リョーマ予備兵がいません。いざとなったら魔術障壁は私が変わります。
北条殿に援護をお頼みしてください」
「しかし・・・・・」
「リョーマ様それも仕方無いかと。さらに勇者が出てきたらリョーマ様自身が対応しなければなりません。その間は私が攻撃魔術と指揮を取ります」
「・・・・・そうですね、私が出た後は北条殿お願いします」
「承知しました」
メルーサ叔母上とラザン達は・・・・・。
あちらも勇者らしい目立つ敵3人と戦っている。軍同士の戦いも決着はまだつかない、援護は期待できない。
「若・・・・・。いざとなれば我らが姫様達の盾となります」
振り返ると頭に血を滲ませた包帯を巻いた兵が立ち上がっていた。その他手傷を負って後方に下がっていた数人の兵も続く。
「みんな・・・・・すまない、頼むことになるかもしれない・・・・・」
「はっ!命に変えても!」
そういうとフェリ様を守る様に動ける兵20名余りが配置につく。
「皆様ありがとうございます、癒しを与えます。
癒しと治癒の女神ヒューグリレイムよ、彼の者達に慈悲の光を賜らん事を
ヒューグ・ケア・ライト・ソーン。ヒールLV.3」
フェリ様が神聖範囲回復魔術を発動する。
淡い緑色の光が傷ついた兵達に降り注いだ。
「おおー凄い傷が!」
「動くぞ!これで守れるぞ!」
「ありがとうございます。姫様!」
皆に癒しの奇跡があったようだ。これで少しは守りが・・・・・。
「みんないざとなったら頼む!」
「「はっ!お任せ下さい!」」
「伝令を頼む。ラナー姉様のところに行き、反対側からも敵が来ている。
可能なら一組そちらに回してほしいと伝えてくれ」
「はっ!・・・・・・」
復唱して駆けていく。
これでいざとなれば動ける。
聖月山の頂上を見た。霧が出て山頂が見え隠れしているが、今だ銀色の流旗のままだ。
父上の方にも敵が伏せてあるのであろうか?
くそ、赤い流旗さえ出れば一気に覆せるのに。
こちらに3人駆けて来る。魔術師部隊だ。ラナー姉様達はあちらに残ったようだ。
「リョーマ様、あちらの援護に参ります」
部隊長のコナールが2人を連れて駆け去る。
「頼む!」
秋山殿の方を見た。少し押しているか?
ラナー姉様の魔術師隊も前に出て援護と負傷者に治癒魔術をかけているのが見える。1部隊減らした分負担が大きいか?
だがアヤメの方が兵は少ない。魔術師の援護は必要だろう。
その時だ、頭上から次々と何かが降り注いだ。紫電と轟音が魔術障壁に当たった。
メイド達が悲鳴を上げる。
「数人掛かりでサンダージャベリンを放っているようです。サンダーアローより強力です」
北条殿が呟いた。額から汗が流れている。
頭上を見た。かなりの高度からだ。あれでは矢も魔術も届かない。
今は魔術師の援護で均衡を保っている。『銀月』は使えない。
「北条殿、今の攻撃が続いたら魔術障壁はどのくらい耐えられますか?」
「・・・・・3回が限度かと」
くそ!どうすればいいのか?
考えろオレ!斬撃を飛ばす?無理だ、とても届かない。
どうすればいい?
また紫電と轟音が轟く。悲鳴が上がる。
・・・・・・・・・・・!
聖導師は想像を具現化できる。
ならば!
「みんなここは頼みます」
そう言うと魔術障壁を飛び出し周りを疾走した。
魔導はイメージだ・・・・・。




