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呪い姫を抱きしめたら月詠の導師に覚醒したので、王子を〆て姫を救う旅に出ます  作者: 輪三


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これからの指針

「はじめましてリョーマです。あの頭を上げてください」


「北条 宗親と申します」


「秋山 太郎衛門と申します」


ますます頭を垂れていく。


「北条殿、秋山殿それでは話しづらいだろう。席に着かれてはどうであろうか」


父上が勧めた。

二人は顔を見合わせ、「では」と言って席に着いた。

すると北条殿は黄色の結界石をテーブルに置き魔力を込め発動させた。


黄色の光が結界石を中心に5m程広がった。

これは遮音結界。この中の音は外に漏れない魔術具だ。

ずいぶん厳重だと思った。


「この度は聖導師、月詠の導師への御覚醒ごかくせいおめでとう存じます」


北条殿がそう言われると秋山殿も習い「おめでとう存じます」と言われた。


「ありがとうございます」


そう応えるとしばらくの沈黙の後、北条殿が口を開いた。


「今回我々がリョーマ様をお訪ねしたのは、あるお話をするためでした。

しかしこの度の聖導師への御覚醒で事情が変わりました」


「それはどういうことですか?」


「いささか今の状況では私の権限でお話をすることはできなくなりました」


分からないどういうことだ?


「聖導師に覚醒したことが、御迷惑になっているのですか?」


そう言うと北条殿が笑顔で首を振られた。


「いえいえとんでもないことです。先程申し上げた祝辞の言葉は世辞では

ございません。心よりの言葉です。本当に我らもリョーマ様を誇らしく思います」


「誠に・・・・・」


と秋山殿も短く言った。


「我らの話は今回は見合わせましょう。その上でお尋ねしたいのですが、

リョーマ様は今後どのような道に進まれるのでしょうか?」


「それは・・・・・」


チラと父上の顔をうかがった。


「このお二人は信用できる。俺も今の状況はお話しした」


父上がそこまで言うなら。


「オレは八聖山を巡って調べたいことがあります」


「・・・・・それはリョーマ様が大切に思われている方の呪いを解く方法を

探すということでしょうか?」


大切に思われている方と言われると顔が赤くなるのを感じる。

オレは黙って頷いた。


「お話しは座主様から伺っております。そのことについて良き思案がございます」


そう言う北条殿は懐から紫の豪奢ごうしゃな布に包まれた何かを取り出した。

うやうやしく包みをほどき、「これを」と言ってそれをオレに差し出した。

黙って受け取り、箱を開ける。


「これは・・・・・・」


それは美しく細工され、銀の台座にはまった黒い楕円だえんの宝石のような物だった。銀もただの銀では無く、ミスリルではなかろうか?大きさは親指大程もあり、凄く深い漆黒は鈍く独特の光彩を放っていた。

ミスリルの細い銀鎖と黒い革のようなひもり合わさった物が付いていて、首から下げれるようだ。


「すごい綺麗だ・・・・・」


手に取ると見た目以上の重さを感じた。また宝石からは強い魔力も感じる。


天翔石てんしょうせきにございます」


「天翔石?」


「はい、それは伝説聖遺物レジェンダルレガシーと呼ばれる物です」


伝説聖遺物レジェンダルレガシー・・・・・」


「分かりやすく申しますと、これを使えば転移が可能です」


「転移?遠くへ移動ができるということなのですか?」


「そうです。ただ何処へでもというわけではございません」


「行ける場所が限られていると?」


「はい。この世界には天から流れいく神気がございます。また大地には龍脈と呼ばれ、力が集いそれを地下に流れる場所がございます。天翔石は神気を受け止め増幅させることができ、それを大地の龍脈へと繋げる鍵のような物になります」


「じゃあこれを使えば龍脈が集う場所へ行けると!

でも・・・・・フェリ様の呪いを解くために何処へ向かえばいいんだろう?」


「シルドニア獣神国へ行かれるべきかと」


「そこに行けば呪いが解けるのですか!」


オレは勢い込んでたずねた。


「確約はできません。ですがあそこにはダークエルフの賢者ソレスタリア様がいます。呪いの研究では世界一だと言われています。それに聖導師に関しても多くの

知識を有しております」


「本当ですか!」


「はい。リョーマ様そしてフェリネシア殿下が今一番向かうべきはそこかと」


「御教示ありがとうございます!でもそのような貴重な品をお貸しいただけるのですか?」


「無論です。それはリョーマ様へと・・・・・ある方からお渡しするよう、お預かりした品の一つです。本当はこれを使い一緒に櫻倭国へお連れするつもりでした。

ですが事情が変わった今、リョーマ様は一刻も早くシルドニア獣神国へ行き、姫様の呪いの解き方と月詠の導師としての力の使い方を学ぶべきでしょう」


「月詠の導師の力の使い方を?それも・・・・・」


「それも賢者ソレスタリア様です。私は若かりし頃ソレスタリア様に師事し闇魔術を学ばせていただきました。

師は長命なエルフです。二百年前の先代、月詠の導師様にお仕えしていたと聞いております。

あの方ならきっとお力になっていただけるでしょう」


オレは急な展開に眩暈めまいがしそうだった。でも希望の光も同時に感じるのだった。


「父上!これでフェリ様を!」


「ああ治る方法が見つかるかもしれん。普通にシルドニア獣神国に向かうなら船などを乗り継いで半年はかかる。飛竜を使っても、この季節は風が逆向きだ。ましては姫様との長旅は厳しい。天翔石を使えるなら簡単だ、良かったな!」


「はい!」


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