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呪い姫を抱きしめたら月詠の導師に覚醒したので、王子を〆て姫を救う旅に出ます  作者: 輪三


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廃嫡

     _____セイドリア・レアル・アークレイン視点______


ガタガタと馬車が揺れている。

高価な衝撃吸収処理をして、豪奢なクッションを敷き詰めた車内は

他の馬車に比べて格段に揺れが少なく別格らしい。

だがそれでもこの少しの揺れだけでも腹立たしい。


「痛っ!」


私は何気に頬杖を付こうとして、殴られた右頬に触れたようだ。

御爺様に殴られたせいだ。

身体中も痛い、治癒魔術も禁止された所為でジクジクと痛みがさいなむ。

昨日のことを思い出す。


目が覚めたのは見知らぬ部屋だった。

ここは何処だ・・・・・。

徐々に記憶が甦り、急に怒りが沸々と湧いてきた。

皆のよそよそしい態度、レティに頬を張られたこと、告げられた婚約破棄。


「おい、誰かいるか!誰か!」


パタパタと走る音が聞こえた、侍女のようだ。


「セイドリア様、お目覚めでございますか?」


見知らぬ侍女だ、なかなか美しいな・・・・・。

急にムラムラしてきた。

丁度イイこいつで憂さを晴らすのも悪くない。


「うむ。こちらに来い」


「いえ殿下、公爵様、王妃様がお呼びにございます。お目覚めになられたら

すぐに部屋に来るようにとのことです。お仕度願いますか?」


「ええい、うるさい!」


私は侍女の方に歩み寄ると腕を掴み引っ張った。


「何をなさるのですか!」


「ええい、黙れ!イイからこっちへ来い」


そう言うと豊かな胸に手を伸ばした。でかい私好みじゃないか!


「お止めなさい!何を・・・キャアー・・・・」


その抵抗が余計に私を興奮させた。胸を鷲掴みにして服を破る。


「いや、おやめください!・・・誰か・・・・」


その場で押し倒そうとした時だ。


「何をしているか馬鹿者!」


低いが厳然たる声に動きが止まった。

侍女が胸元を押さえて、逃げていく。

「ケダモノ」と聞こえたような?

おいおい今までそんな反応されたことは無いぞ。

私はこの国の次期王だぞ。


つかつかと御爺様が私に歩み寄ってくる。マズいとこを見られたか?

だが何とかなるだろう。


「御爺様これは・・・・・」


立ち上がろうとしたところを足蹴にされた。


「何を!」


今度は胸ぐらを掴まれ無理やり立たされると

右頬を思い切り殴られた。

私は吹っ飛び、床を転がる。


「痛い・・・・な何をなさるのですか!・・・たとえ

御爺様といえども、私にこのような・・・グハっ・・・」


今度は腹を蹴られた。

痛い、今までこのような暴力を受けたことが無い。

痛みと屈辱、御爺様を睨もうとして・・・・。

目を見て愕然とした。

その目は冷たくまるで路傍のゴミを見るような目だった。


「目が覚めた途端に、ワシの屋敷の侍女を押し倒そうとする・・・・。

まるで盛った犬のようだなセイドリア」


私は目をらした。


「貴様は今の状況分かっているのか?」


冷たい声だった。今まで御爺様にこんな声で話されたことなど無かった。


「そうですよ!あなたは何て愚かなんですか!母は母は情けないです。

この親不幸者!」


キンキンと耳ざわりな声で母上が叫んだ。


「母上?そんな・・・・」


「分かっているのかと聞いている・・・・・」


また殴られると思い、恐怖で声が震えた。


「やめて御爺様!・・・・分からないです、分からないです・・・・」


大きく溜息を付くと御爺様は言った。


「この愚物が・・・・・トリスタン説明してやれ」


「はい」と言ったのは御爺様の屋敷の執事の一人だ。


「坊ちゃまは廃嫡となり王位継承権を剥奪されました。明日、夜が明け次第公爵領に向かい謹慎となります」


「廃嫡?王位継承権剥奪?・・・・・何で?」


私がそうつぶやいた途端だった。御爺様の顔が真っ赤に染まったのは。


「トリスタン!」


御爺様は執事に右手を差し出した。

執事はうやうやしく何か渡した。

ビュンという音と痛みを感じたのは同時だった。


「ギャア」


乗馬鞭だ、痛みが走る。


「この馬鹿が!貴様の所為で貴様の所為で!今まで築き上げたものが!」


痛い痛い痛い・・・・痛みと鞭の音が・・・・・何度も打たれ、服が破れ、

痛い

痛い

やめて

血が噴き出す


私はうずくまって泣いていた。


やがて肩で大きく息をしていた御爺様が鞭を落とすと吐き捨てた。


「貴様には失望した。セイドリア」


きびすを返すのがわかった。

そしてパンと高い音がした。


「貴様もだ、クミニーニャ。どういう教育をしていた」


「お父様、だってこの子が・・・・キャア!」


またパンと頬を張られた音がして、ドサっと腰を落とす音がした。


「貴様はここに残り混乱を収拾せよ。国母としての務めを果せ!

いつものように後宮で若い侍従と乳繰り合うなど許さぬぞ!」


冷厳とそう言うと御爺様は「それと・・」と急に声を落とした。

そして御爺様と母上の声が切れ切れに聞こえてきたのは、


「前の男との・・・・」

「寺院で・・・1歳に・・」

「・・・還俗させ・・・」

「本当ですか!あの子と一緒に暮らせる・・・」

「馬鹿者、陛下が亡くなってから・・・」

「関係した男は・・・・」

「盗賊に襲われたことにして・・・」


などだった。


やがて「あなたには失望しました!この親不孝者!」


母上もそう言うと部屋を出ていった。


ガタっと馬車が揺れ、現実に引き戻された。

昨日のことを思い出すと恐怖と怒り、屈辱で身体が震えてくる。

クソっ!

全部アイツの所為だ。

なぜ私がここまでの仕打ちを受ける!


全部リョーマの所為だ・・・・・。

お読みいただきありがとうございました。

少しでも面白いと思われましたら、ポイントや

リアクションをいただけましたら、励みになります。

よろしくお願いいたします。

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