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【十九話】 少年、マジックバッグを買う③

「我力、力を貸せ」


 ドラグがそう言うと、頭上に振り上げられた我力から紫色の魔力が溢れだす。


 すると、ドラグは一思いに剣をメタルマンに対して降り下ろした。


「『斬空剣』!」


 そのまがまがしい魔力を纏った剣がメタルマンに触れる。

 すると、先ほどは斬れなかったそのメタルマンに、アッサリと刃が通り、メタルマンを縦に一刀両断した。


 メタルマンが灰に変わる。するとそのなかに、ボトリ、と拳大の透明でキラキラした、謎のメタルマンを構成していた素材に良く似た物が落ちた。


「ふぅ、久々に使ったな、我力の魔法」


 ふぅ、と息を吐きながらドラグはそう呟いた。


『斬空剣』


 それは、我力が使うことのできる闇属性魔法の1つ。名前の通り、空間を斬る剣になると言う魔法だ。

 その原理は、まず、剣に空間魔法の膜を巡らせる。それを使うと、その剣の通った部分の空間だけが転移し、斬られる、という仕組みだ。

 そのため、いくら強靭な肉体であっても、強固な鎧であっても、刃先が届くならば関係なく斬ることができる魔法なのだ。


「なんだコレ?変なやつドロップしたぞ?」


 我力を鞘に納めると、ドラグはその場にしゃがみこみ、その謎のメタルマンからドロップした透明な物をまじまじと見つめる。


「別に変なもんでもなさそうだしなぁ」


 どうやら害がなさそうなのを確認すると、ドラグはそれをバックパックに入れた。


~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~


「って感じのことがあったんだけどさ、あれってもしかしてダンジョンのボスだったりするのかな?」


 デムズと受付嬢の前で、自分の身に起こった出来事をありのままに伝えるドラグ。

 その内容の衝撃さに、しばらく言葉を失う2人。

 ふと我に返ったギルマスのデムズがあっけらかんとしているドラグにこう言った。


「お、おそらくは、信じられないですけど、その謎のメタルマンというのが、このクエストのメタルウーマンなのでしょう」

「やっぱり?やっぱそうかなって思ったんだよ!」


 なぜか嬉しそうにするドラグ。


「そ、それで、その謎のメタルマンからドロップしたドロップアイテムは?」

「一応持ってきたよ、高く売れるかもって思って」


 そういってドラグは自分の後ろにあったバックパックから透明な拳大の物体を取り出す。

 それを見てデムズは、


「透明な結晶・・・クエストで依頼されていたものと同じ!」


 信じられないと目を見開くデムズと受付嬢。受付嬢においてはさっきからずっと驚きっぱなしだ。


「すみません、それいただけませんか?クエストの報酬は払いますので」

「報酬?なにそれ」

「先ほど言っていた、メタルウーマンの討伐とそのドロップアイテムの収集のクエストですよ」

「あ~、あったねそんなの」


 すでにクエストのことなど忘れていたドラグ。


「いいですよ、さっき貴金属のお店に行ったけど、買い取ってくれなかったし」

「そういってもらえるとありがたいです!」


 喜びの表情でドラグの手を取り上下に振るデムズ。


「よかった。それではドラグさん、報酬の受け渡しをいたします」

「あ、はい」


 ギルドの奥に行くデムズ。とんとん拍子で進んでいく話とデムズの勢いに少し圧されるドラグ。


 戻ってきたデムズが手に持っていたのは、今ドラグが金貨100枚を入れてある袋と同じくらいの袋だった。


「これが報酬になります」

「え、これが?」


 頭に疑問符を浮かべるドラグ。

 なぜならその袋は何の変哲もないただの小袋だったからだ。

 そんなドラグにデムズは言葉を付け加える。


「すみません、説明不足でした。この袋には、実は金貨1000枚が入っています」

「・・・え?」


 急におかしなことを言い始めたデムズに対して、訳が分からない、といったような顔を向けるドラグ。

 そんなドラグに、デムズはとっておきの物を見せる少年のような顔をしてこう言った。


「この袋、実はマジックバッグなんですよ」

「マジックバッグ!?」


 デムズの言葉に驚きと喜びの声を上げるドラグ。


「え、まじで?」

「はい。しっかりと依頼主からクエストの報酬として預かったものですので、このマジックバッグも中身の金貨1000枚も全てドラグさんのものです」

「・・・・・・・・!」


 思わぬところでマジックバッグと対面を果たしたドラグは、驚きのあまり大口を開けたままにしながら、恐る恐る手を伸ばしてデムズからそのマジックバッグを受け取った。

 受け取ったマジックバッグは、本当に金貨1000枚も入っているのかと思うほどに軽かった。しかし、袋のなかを覗いてみると、確かに数えきれないほどの金貨が、輝きを放っていた。


「本物だ!」


 初めて見た本物のマジックバッグに、また、今まで見たことない数の金貨に、思わず叫んだドラグ。


「本当に困ってたんです。ありがとございました!」

「あ、あぁ、むしろこんなにいいものもらえて嬉しいって言うか?」


 ドラグの手を握り、激しく上下させるデムズ。その勢いに圧されるドラグは苦笑いを浮かべる。


 しばらくして、気が済んだのか、ドラグの手を放したデムズはもう一度だけドラグに礼を言った。


「本当にありがとうございました!」

「う、うん。じゃあ、またね」

「はい!またのご利用お待ちしております!」


 こうして何やら偶然マジックバッグを手に入れたドラグは、金貨1100枚を持って、またメタルマンの巣窟へと戻って行った。

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